大切な武器│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#003

大切な武器

2014-05-26 12:05:00

 こんにちは、暖かくなってきて夏物のパジャマtoパジャマ(コラム第1回目参照)にシフトチェンジした西山です。と言いつつ、今は家にいるにもかかわらずパジャマではなくジャージです。第3回目にして女子力が向上しております。まあ、先ほどスーパーに牛蒡を買いに行ったからなのですけどね。母から「牛蒡買っておいて」というメールがきたもので。夕飯、きんぴらかしら?もしくは急激に女子力をあげている私に嫉妬して、母が私を牛蒡でぶっ叩こうとしているのかしら?女の嫉妬って怖いわー。女子力があがるというのも大変ですね。
 そんな女子力あがりっぱなしの私、先日渋谷を歩いていて思ったのですが、同じ顔の女の子がめちゃくちゃ多いのですよね。「あれ? この子さっきもすれ違ったんじゃない?ひょっとして私はずっと同じ道を歩いているのか?」とスーパーマリオの8-4面で堂々巡りをしている気分になるほどでした。彼女たちに言わせたら「は?老眼じゃね?」かもしれない。しかし私の眼はスーパー節穴だけど、まだ老眼ではない。みんなのメイクが私の眼を狂わせているんだよー!なのです。『太眉、しっかりアイライン、赤い口紅』このメイクの子が本当に多かったです。流行っているのでしょうけど、このメイクって非常に難易度が高いと思うのです。似合わない人がやるとね、うーん、オブラートに包んで言いますと、スティーブ・ドブスになりかねない。でも流行のメイクをするというのは女子力が高い証なのだなとも思います。メイクは女にとって大切な武器ですものね。

 自分のメイク史を振り返ると、最初は眉毛をいじることからでした。コギャル、安室ちゃん世代の私、高校生の時は意気込んで眉毛を細くしたものです。今でも春夏の甲子園で細眉の球児たちを見ては当時のことを思い出します。初めて本格的なメイクをしたのは大学入学前の春でした。地元の駅ビルに入っていた化粧品カウンターで、販売員のお姉さんが私の顔にファンデーションをぬりぬり、お粉をパタパタ、アイシャドウをささっ、チークをポンっ。「ほら~、こんなに綺麗になった~」と言われ、化粧を施された顔を鏡で覗いてみると、確かに大人っぽい自分がそこにはいたのですが、それよりも私が思ったのは「メイクってめんどくさい」なのです。その気持ちは20年近く経とうとしている今も変わらず、メイクは極力したくない。とは言え、すっぴんはもう厳しいお年頃であります。よくブログやSNSですっぴんを晒す人たちがいますが、私には絶対できない。メイクが面倒なだけあって、普段からメイクは濃くないので、すっぴんが別人ということではないのです。じゃあ何故できないか、一言で言えば『不幸』それに尽きる。すっぴんの私は何だかとても不幸なのです。
 
以前、ブラジル領事館で旅行用のビザをとった時のことです。私は申請のために提出した写真がビザに使われるとは思っていなかったので、すっぴんで撮った証明写真を提出していました。戻ってきたパスポートを開いてあらびっくり。そこには不幸という名のメイクを施したすっぴんの私がしっかりと貼り付けられていたのです。もうね、生活に困窮して犯罪に手を染めたおばさんみたいな写真なのですよ。あと2年もこのパスポートを手に旅するのかと思うと辛い。W杯でブラジルに行かれる方は気をつけてくださいね。
 
あまりにも不幸オーラが出ていて、女優と思われないこともありました。ドラマの撮影のためスタジオに入り、楽屋で待っていたところトントンとノックの音が。開けるとそこには初めてお会いする若いスタッフの方がおりました。私の顔を見てから、ちらりと時計を見て「西山さんって何時頃いらっしゃいますか?」と真顔。あわわわわ。この人、私が本人だってわかったら慌てるよな。その後きっと気を遣うよな。ここはマネージャーってことにするか? いや、無理だろ。「あの、ごめんなさい…。私が西山です…」何故か謝ってしまいました。
 
やはり不幸を隠すためにもメイクは必須ですね。とは言え、私は勤め人ではないし、仕事の時はメイクさんにやっていただくので、メイクをする機会が一際少ないのです。会社勤めの友人に訊いたところ、毎日メイクをしているとファンデーションが3ヶ月ほどでなくなるそうですが、私は1年半経ってもまだなくなりません。ファンデーションでさえこの状態ですからメイクボックスには10年選手のアイシャドウもいます。ここが女子力の低さだなあ。化粧品会社はシーズン毎に新色を出しているというのにね。もっとメイクを研究しなくてはいけない。善は急げと、ネットで流行りのメイクを検索してみました。「モテメイク」「フェロモンメイク」「ナチュふわメイク」「攻めメイク」…。ふむふむ、色々あるな。女子力が高い人はシチュエーションに合わせて様々なメイクを試みているのでしょうね。ちなみに気になった「ルビサファリメイク」を調べたところ、ポケモンの何かでした。
 写真は、まずここから躓いていると思われる私の化粧ポーチです。月に一度は洗濯しているんですけど、使い込みすぎてパンダちゃんが野性化しちゃってますね。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website