卑弥呼
2014-09-04 16:48:00
朝、テレビを見ていると、だいたいどこの局も占いをやっていますよね。今日の水瓶座は6位でラッキーアイテムはウエハースでした。なんだそりゃ。私、占いってまったく信じないんですよね。というか、むしろ苦手。女が全員占い好きだと思ったら大間違いだぞ!これはアボガドもそうだぞ!私はそんなにアボガド好きじゃないぞ!ちなみにスペイン語でアボガドは弁護士だ!それは知り合いたいぞ!
話しを占いに戻します。私の知人で、スーパー出不精でドタキャン女王のくせに、当たる占いがあると聞けば時間も交通費もおしまず山奥まで足を運ぶという人がいます。高額なところでは一回の占い料が5万円を越すんだそうです。「えー!5万あったら、持ってるDVDを全部ブルーレイにするよ!まずはグーニーズ」と言う私もつまらない女だけど、「5万円で悩みが解決するなら安い」と真剣な彼女もどうかしている。ん?でもちょっと待って。占いは悩みを解決するものじゃない気がするなあ。そもそも占いとはなんぞやと辞書をひいてみました。
①ある定まったきざしや形象によって、将来のなりゆきや吉凶を判断する
②予言する
うん、やっぱり。悩みが解決するものではないですよね。それでも人は悩みを抱えた時に占いに走る傾向がありますね。すごく有名な占い師のパーティーなんて政界や経済界の大物からの花がわんさか届くなんて話を聞いたこともあります。それって極端に言えば、日本の行く末を占い師が握っているってことですよね。卑弥呼の時代から、何も進化していないんだなあ。どうでもいいけど、卑弥呼って女子力低そう。
私が占いを信じない、というか苦手になったのはそれなりの理由があるのです。思い出しただけで、悲しみと怒りとアホらしさが一気にこみ上げてくる理由だけど……。小学五年生の時、クラスにタロットカードを持ってきた男子がいました。初めて見るタロットカードにみんなは興味深々で、昼休みにその男子を取り囲んでいました。その輪の中に私もいて、それは占いじゃなくて単純にタロットカードの絵に惹かれてのことだったのです。見たこともない中世画のようなカード。すると、その男子が私を占ってくれると言い出しました。みんなが「いいな」と羨望の眼差しを向ける中、彼に占ってもらいました。少しだけドキドキしながら待っていると、私の前に突き出されたカードにはおどろおどろしい死神が描かれていました。大きな鎌を持った死神。クラスの男子数人が笑いながら私を指差して「西山が死ぬぞ」と連呼しました。私は「ふん、ばっかじゃない」と鼻で笑って無視したけれど、しばらくは完全に欝。車に轢かれるのではないか、不治の病にかかるのではないか、小学生の私は毎日ビクビクしていました。さすがに異変に気づいた母に理由を聞かれ、私はやっと胸のうちを打ち明けました。号泣しながら「私死ぬんだって」と胸にすがりつくと母は「そんなことあるわけないでしょ」と一蹴。その一言で気持ちは少し楽になったけど、それでもしばらく引き摺ったなあ。タロットカードを生業にしている人には申し訳ないですが、私は今でも大嫌いです。
これをきっかけに占いが苦手になったのですが、思春期の女子校となるとやはり占いが切り離せないのですよね。やたらとこっくりさんをやりたがる子がいたり、卑弥呼似な子がいたり。当時のクラスメイトの間では雑誌「オリーブ」の占いが一番当たると人気でした。猫も杓子もクラスメイトも「オリーブ」の発売日には一喜一憂していたのを覚えています。みんなが一番重点を置いているのはもちろん恋愛運でした。ある日、一人のクラスメイトが「今月、告白したら成功するかもだって!」と嬉しそうにはしゃいでいたことがありました。彼女は私と同じ水瓶座。まわりの女の子が「しちゃえ、しちゃえ」と囃し立てる中、私はひっそりと息を呑んでいました。頭の中では声にならない言葉がぐるぐる。「あなたが告白しようしてるその男、ついさっきも私のポケベルに『724106?』 と送ってきたよ……。学校に決まってんだろ。朝には『0840』夜には『0833』と送ってくるよ……。ガン無視してるけど」私は彼女に話すことができませんでした。そして彼女はオリーブの後押しもあり、勇気を出して彼に告白。結局、まぶたを腫らせた彼女を見ることになったのですが、やはり占いに頼るのは危険だなあと思います。でも占い好きって女子力高そうで可愛いんだよなー。
ってことで、先ほど朝の占いにあったのでウエハースをゲット!何か良いことあるかな~?とわくわくしていますが、今日も外出の予定はありません。でも久しぶりに食べたビックリマンチョコが美味しかったから、ラッキーアイテムってことで良いや。女子力どころか欲も低い西山です。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website