ぐーすかぷん│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#018

ぐーすかぷん

2015-01-11 10:34:00

 あけましておめでとうございます。2015年になりました。『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』で描かれた年であります。あれが公開になった時、2015年というのは銀河レベルに遠い未来だと感じていたので、小学生の私は計算もせずに「こんな未来が来るのかー。ま、その頃にはもう死んでるだろうけど」と思っていました。まだ36歳、ばりばり生きてます。今月には37歳になります。女盛りですね。ますます女子力を高めていかねばなりません。そう思いながらもお正月は例年通り、全力で寝正月を過ごしました。大晦日の夜、紅白歌合戦が終わると、私はテレビと部屋の灯りを消して携帯電話の電源を切り、窓をそっと開けました。窓からは残り僅かな2014年のひんやりとした空気が流れ込んできました。私は、年越を外の空気で感じてみようとベッドに横たわりその瞬間を待っていました。どこかの家から「あけましておめでとう」なんて声が聞こえてくるのかな?冬の透明な空気にのって除夜の鐘が聞こえてくるのかな?そんなことを考えながら、わくわくしていたのですが、はっ!と寒さに身を震わせ起きたら、午前3時。えーん、えーん、寝ちゃったよー。ということで、そのままフテ寝という新年の幕開けでした。そこからは全身全霊で寝正月。背がのびたんじゃないかと思うぐらい寝ました。寝る子は育つ。寝るというのは人間にとってかかせない行為です。美は眠っている間に作られるなどと言われることもあるのだから、睡眠と女子力も深い関係があるのだろうと思います。

 今では普通のベッドに寝ておりますが、数年前まで私は2段ベッドに寝ていました。小学校2年生の時に祖母が買ってくれた2段ベッド。家にやってきたそれは子どもの私にとって大きな遊具のようで、とても嬉しかったことを憶えています。問答無用で私が上を陣取り、姉が下。小学校6年生の時には天井にニューキッズオンザブロック(今年も出てくるのか!)のポスターを貼り、彼らに見守られながら眠りについていました。それがあれよあれよと時が経ち、27歳の春、姉がお嫁にいくことになり「ああ、やっと自分の部屋ができる」と思っていたら、今度は下の段に母が寝始めました。三十路を過ぎても母と2段ベッドなんて悲しすぎる。でもそのおかげで私はかなり寝相が良いです。シングルサイズの柵に囲まれて20年以上寝ていましたからね。それは私の身体にしみついているので、仕事で宿泊した豪華ホテルのキングサイズベッドでも半分しか使わないという貧乏くささ。だから大きなベッドは必要ありません。今はシングルベッドに寝ております。と、ベッドにはこだわりがない私ですが、就寝時に絶対にかかせないものがあります。それはパジャマです。大人になるとパジャマを着ない人が多いですよね。子どもの頃は着ていたはずなのに、高校の修学旅行ぐらいから上下お揃いの『ザ・パジャマ』を着る子が少なくなって、大人の階段のぼってますみたいな空気がありました。それでも私は頑なにパジャマ。ナイトウェアじゃなくてパジャマです。ふわふわ、もこもこなんて興味なし、フードがついているなんて論外!綿100%で、前はボタン。友だちと旅行に行くと「患者がいる」と言われます。コラムの第1回目にも書いたようにパジャマtoパジャマができるように、冬用夏用と季節によって何着も揃えています。先日、初売りに行った時も新しいパジャマを物色しましたが、良い塩梅の患者パジャマが見つかりませんでした。

 そんなパジャマのおかげで快眠の私、今でも寝ようと思えば10時間以上は寝られますが、撮影前日は5時間と決めています。きゃっ、女優らしい発言!顔がむくまないこともあるし、もう少し眠りたいという欲望がある状態の方がちょうど良いんですよね。満たされると緊張感がなくなるタイプなもので。忙しいアイドルが「特技はどこでも寝られることです。えへ」と言うのをよく聞きますが、私は絶対にできません。寝ようと思えば寝られますが、絶対にしません。何故なら、就寝時の私には致命的な弱点があるのです。それは目が開いていることです。「少しぐらいでしょ?」と思われるかもしれませんが、私の場合違うのです。高校生の時、授業中に頬杖をついて寝ていた私に隣の子が普通に話しかけてきたぐらいばっちり開いているのです。その昔、彼氏に「どう頑張っても寝顔だけは好きになれない」と言われたこともあります。綺麗な寝顔の人が羨ましい。私の寝顔は女子力が低すぎる。今年は寝ている時でも女子力をあげていこうという所存であります。みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。写真は、以前バンコクで買ったパジャマです。妖精だお。

image2

最近のコラム

西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。

 
西山繭子さんの新刊
【バンクーバーの朝日】
~フジテレビ開局55周年記念映画 公式ノベライズ~
戦前のカナダ・バンクーバーで生き抜く
青年たちの葛藤・奮闘・友情を描いた最高傑作!


バンクーバーの朝日
西山繭子
マガジンハウス文庫
320p 620円(税別)


オフィシャルサイト→FLaMme official website