ご祝儀びんぼー│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#052

ご祝儀びんぼー

2016-06-09 13:30:00

 こんにちは、ファンキー西山です。独身の私にはまったく出逢いがないのに、既婚者にばかり出逢いがあるってどういうことなんですかね。そもそも私、あの人苦手だったから、このニュースが出た時に、私の男を見る目は間違ってなかったんだなあと思いました。大の大人が、あんな人畜無害な歌を熱く歌うなんて、まともじゃないでしょ。しかし、こうなってくると結婚という制度が何なのかわからなくなってきますね。しかも私にはもう縁のない話なので、このままわからぬまま一生を終えそうです。お母さん、ごめんなさい。自分の結婚どころか、この歳になると結婚式に参列することも少なくなりました。ピークは25~30歳までかな。月に3回なんて時もあって、それはそれは大変でした。ご祝儀、ドレス、美容院、はたまた二次会、三次会となると1回の結婚式で10万円近くは飛んでいきます。「ドレスなんて毎回買わなくていいじゃん」と思われそうですが、この結婚式のほとんどが中高大の同級生の式だったので、出席するメンバーも同じ顔ぶれなんです。若い頃は今よりも女子力が高かったので、同じドレスは着たくありませんでした。先日、アメブロで『全身ユニクロで結婚式へ♪』というタイトルを見つけて自分の目を疑いました。読んでみると、その女性は結婚式にユニクロのノースリーブトップスとジョガーパンツで参列していました。アクセサリーをつけて小奇麗なセットアップ風にしていましたが、昭和生まれの私からすると全身ユニクロで結婚式に参列することは、仕方ないことであっても誇れることではないので、堂々とブログに書ける神経が理解できない。しかもそれは妹さんの結婚式でのことだったようで、私が姉に「私の結婚式にお姉ちゃんが全身ユニクロで来たら追い返すなあ」と話すと「追い返されても何でもいいから、妹の結婚式に出てみたかった」と過去形で言われました。しかし、そもそも私は昔から結婚式に対して憧れがありませんでした。例え結婚しても結婚式はしないと豪語しておりました。ああ、今となっては虚しい遠吠え・・・・・・。女性の多くは純白のウェディングドレスを着る晴れ舞台に憧れるものなので、きまって「どうして?」と尋ねてきます。えー、だって、結婚式なんてあげたら別れにくいじゃん。これが正直な答なのですが、一般的にはそんなことって考えないようです。今までお祝いした新郎新婦、実際に何人か別れているんですけど、それに関してお詫びをされたことってないんですよね。私だったら、ご祝儀をいただいたのに申し訳ないって思っちゃう。この気の遣いよう!私、女子力高いなあ。

 そして結婚式に興味がないもう一つの理由に「楽しくない」というものがあります。来賓のスピーチがあってスライドショーがあって両親に感謝の手紙を読んで(この時にはいつも泣いているけど)というのが通常の流れで、その中に時折どうしようもない余興が入ったりするんですよね。そのどうしようもない余興、私もやったことがあります。私は中高6年間バトントワリング部に所属していたのですが、私以外のメンバーは本当に真面目で良い子たち。部活引退までに残ったのは私を含めて15人なのですが、私以外の全員が20代のうちに結婚しました。このブログに登場する仲良したち(#021『女子会』参考)とえらい違いだな!真面目で良い子たちって、幸せになれるんですね。神様は見ているのだね。そのバトン部メンバーの結婚式での余興のことなのですが、どういう経緯か知りませんが、気づいた時にはハンドベルに決定していました。ハンドベル部だったならまだしも、バトン部なのに何故。誰かがわざわざレンタルしてくれたハンドベルを手に持ち、わざわざカラオケボックスで練習。しかも曲は結婚式に関するものではなく、初心者におすすめの『エーデルワイス』でした。確か私は「ソ」のベルをひたすら鳴らしていた気がします。余興の間、何ともいえぬ空気が披露宴会場に流れていましたが、バトン部のみんなは「うまくいったね!」とご満悦の様子で、つくづく6年間よく一緒にいられたなあと思いました。

 とここまでアンチ結婚式の意見を書いてきましたが、私には、唯一結婚式をしたいと思う男友達がいます。彼と結婚したいんじゃなくて、結婚式をしたい。その旨を彼にも話したことがあります。「どんな結婚式?」と訊かれ、私の計画を話しました。まず披露宴会場で私と並んで座っているのは、まったく関係のないイケメン外国人。その時点で来賓の皆様は「どういうこと?」ってなりますよね。そんなことは無視して私とそのイケメンは、型どおりの披露宴を行うんです。で、司会をしているのが新郎。新郎なんだけど、新婦の私とイケメンの馴れ初めを紹介したりします。その計画を聞いた彼は「うーん。俺はいいけどさ、そこにいる俺の両親の気持ち考えろよ」と怒られました。だめか。やはり私は結婚式には縁がなかったようです。まあ今まで仕事で何度も結婚しているしね。海外ウェディングまでしていますから。写真はクロアチアのドブロブニクです。アドリア海が綺麗だなあ。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。

 
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