ハッピー・ウエディング!│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#088

ハッピー・ウエディング!

2017-12-08 17:29:00

 先日、下半期で一番楽しみにしていたビッグイベントがありました。私には大好きな仲間がいます。12歳からの10年間を同じ学び舎で過ごし、その結果同じように女子力が欠落してしまった大好きな仲間たち。この連載でもダメな彼女たちは何度も登場していますが、このたびそのうちの一人、Fが6年つきあっていた彼氏とめでたく入籍しまして、その結婚式に参列してきました!もう40歳の私たち(早生まれだから私はまだ39歳。ここ大事)、友人の結婚式に出ることなんて久しぶりすぎて、ときめき胸キュンおばさんたちは新婦以上にてんやわんやの大盛り上がりだったのであります。

 結婚式当日、空は綺麗に晴れ渡っていました。私は通常通り朝6時に起床し、朝ごはんを食べながら前日のおばさんたちのメールを読み返しました。「何時に行く?」「何時のバス?」「それで間に合うよね?」と、もう40歳の大人なんだからそれぐらい自分で考えろよというメッセージが飛び交っていました。そして女子力のない私たちといえども、着ていくドレスはやはり重要。今年夏に二人目を出産したMが「着て行こうと思った服、パイオツの部分がきつすぎてファスナーがあがらなかった」と嘆いたと思ったら、Kちゃんは「ネットで買った服、まだ開けてないんだけど着られるかな?」と言いだす始末。Kちゃん、着られるかな?じゃなくて、まずは開けようよ。ちなみに私は背中の部分がぱっくり開いたロングワンピース。本来は背中の産毛を剃るべきなんでしょうが、四十肩が回りませんでした。披露宴は13時開始、その前の挙式にも参列する人は「11時45分までにお越しください」と案内状に書いてありました。着慣れないドレスと靴でバタバタするのはイヤだったので、余裕を見て家を出たら会場に10時30分に到着してしまいました。おばさん、時間の読み違え方が半端ない。まあ一人でゆっくり茶でもするかと思っていたら、そこにはMちゃんの姿が。夏の良縁祈願祭に一緒に行ったMちゃんですが、私同様いまだ良縁には恵まれていません。まあ来年も懲りずに行くけどね。挙式の時間も近づき、続々とやって来るおばさんたち。「クロークどこ?」「トイレどこ?」「受付どこ?」もう40歳ともなると全てにおいて他力本願です。無駄な労力は使わない。Kちゃんは、ドレスが無事に入ったようでシースルーになった箇所からチラリとお腹がのぞいてセクシーでした。挙式が行われるチャペルにはステンドグラスを通して明るい光が降り注ぎ、おばさんたちのほうれい線を照らします。みんなは「披露宴の時に使います」と受付時に渡されたケミカルライトを手に「これ、讃美歌の時に振るんでしょ?」「オリオリオー、ヤリヤリヤリヤー」「まさかのウォンビーロング」と大はしゃぎ。そんな私たちを見て、バージンロードを挟んで座っている新郎の友人たちはどんな風に思ったのだろう。何しろ新郎のK太は12歳年下なのです!結婚式や二次会は、男女の出逢いの場の一つだったりするので、K太の友人たちはさぞやがっかりしたことでしょう。ごめんね。でも、こればっかりはFを選んだK太のせいだからさ。そんなこんなで挙式が始まる前は大はしゃぎの私たちでしたが、いざFがチャペルに姿を現すと、途端に涙腺崩壊。急に泣き出すばばあたち。もう何だろう。更年期障害ですかね。それにしても私、今まではもし自分が結婚できたとしても絶対に結婚式なんてやりたくないと思っていたのですが、バージンロードを歩くFの可愛い姿を見たら初めて「結婚式っていいな」と思いました。挙式を終えると私が楽しみにしていたブーケトスがありました。今回ばかりは全力で取りに行こうとスタンバっていたのですが、ブーケは私の頭上を越え、Fの後輩ちゃんのもとへ。私と同じようにブーケを楽しみにしていた40歳独身のおばさんたちは「あの子、20代だよね?ブーケなくても結婚できるのに…」としょんぼり。ブーケさえあれば結婚できると思っているあたり、もうイカれちゃってます。美しいお庭に面した明るい披露宴会場は、始終和やかムードでありました。ぐるりと席を見回しながら、自分の披露宴だったら誰を呼ぼうかなどと考えて、ここは女優らしく芸能人の友だちもと思ったのですが、披露宴に呼ぶほど仲が良い芸能人が東幹久ぐらいしかいなくて微妙な気持ちになりました。新郎新婦が勤めていた幼稚園の卒園児たちによるサプライズなどにニコニコわいわいしていたばばあたちですが、Fがお母様への手紙を読み始めた途端、またしても全員号泣。結婚式って女の子にとって究極の親孝行なんじゃないかなと思いました。この後はもちろん二次会に参加したのですが、新婦のFがシャンパンをガブ飲みして、まるで『警察24時』に出てくる「何度も交番にやって来る酔っ払いのおばちゃん」みたいになっていました。自分の式であんなに酔っ払ってる新婦って初めて見たなあ。さすが、チーム女子力ゼロ!それでも結婚できる!私も微かな希望を持って精進しよう。ちなみに私が座ったこのテーブル席、40歳の女子たち全員旧姓のままでした。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website