ブルーノでござる│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#099

ブルーノでござる

2018-05-28 12:52:00

 やっと衣替えが終わりました。いつもだったらGWにやるのですが、今年は朝から晩まで働いていたのでのびのびになってしまいました。クリーニング屋さんから冬物を受け取り、衣装ケースの中にある夏物と冬物を入れ替えます。衣装ケースの一番底には、普段は着ないけれど思い出として残してある服があります。高校時代のセーラー服、チアリーディングのユニフォーム、東亜国内航空の制服、98年W杯のTシャツ、大久保嘉人選手のサイン入りマジョルカユニフォーム。セーラー服とチアのユニは、たまに出番があるのですが(いつだよ)、その他はなかなか日の目を見ない。東亜国内航空の制服は母が着ていたものなので、死に装束として着させてそのまま燃やすとして、最近の日本代表の動向すら知らない私がW杯のTシャツを着て応援することはないし、大久保選手のユニはサッカー好きの甥っ子にあげようにも『マユコちゃんへ』と書いてあるしで、やっぱり保管。極力、物を少なくしたい私ですが、こんな風に思い出を大切にする一面もあります。女子力高いでしょ? 

 話は変わって(便利な言葉)、前回のコラムで4月は楽しいことが3つあったと書きました。1つ目はエド・シーランのコンサートでした。そして2つ目はブルーノ・マーズのコンサート。そして3つ目は母とのニューヨーク旅行。あ、でも3つ目は苦行に近かったなあ。それについてはまたそのうちに書こうと思いますので、今回はブルーノのお話。4月にさいたまスーパーアリーナで行われたコンサートは追加公演を含め4日間が全て完売。VIP席なんて10万円もするというのにあっという間に売り切れてしまったのだから驚きです。一緒に行く友人とどの席を買うか相談した時、「ベッドで腕枕しながら歌ってくれるなら10万円も納得いくけど、見るだけでしょ?おさわりなしでしょ?もっと安い席にしよう」ということで18500円のスタンド席をチョイス。正直、それでも高いと思いました。この外国人アーティストのチケット高騰はいつから、そして誰から始まったのでしょうか。92年に行ったマイケル・ジャクソンのコンサートは8000円で、96年の時は9000円でした。昔の話でしょ?って、確かに昔の話なのですが、1990年代以降、日本の物価指数ってほぼ横ばいなんですよね。もちろん以前のように大きなスポンサーがつかないなど色々と要因はありますが、コンサートを楽しみたい若い子には世知辛い世の中だなって思います。もし今、マイケルが生きていて日本でコンサートをやったらどんな値段設定になるのか考えただけでも恐ろしい。今回はそんなマイケル世代のおばさん3人で出陣したわけですが、天才ブルーノはおばさんの心もわしづかみであります。バレエスタジオで一緒の60代のマダムも観に行くと言っていました。「私も行くんですよー。××さんは、どの席で観られるんですか?」「そりゃ大人だから10万円の席よ」と豪快に笑うマダムは私の憧れです。まだまだその境地には行けていないアラフォーのおばさんたちは、赤羽で一杯やってからのブルーノへ。10代の頃、一緒にダンスをやっていた友人たちなので思い出話に花が咲き「もうブルーノ行かなくていいか」と言い出す始末。いや、もちろん行きましたけどね。会場はお洒落をした若い子、エグザイルっぽいヤンキー青年、エグザイルっぽいヤンキー少女、そしてエグザイルっぽいヤンキー中年などで溢れ返っていましたが、総じてエグザイル感が強かったように思います。あ、ちなみにエグザイル風に言わせていただきますと、エグザイルの方とは何人か一緒にお仕事させていただいたことがありますでございます。あれ?マルシア風になっちゃった。まあ、いいや。とにかく言いたいのは、エグザイルのみなさんは良い人でしたってこと。ブルーノのコンサートは、エド・シーランの翌々日だったのですが「間にリッキー・マーティンをはさんだら、もうコンプリートだったね」と友人に言うと「だね、だね」と納得。リッキー・マーティンは日本ではイロモノ扱いですが、めちゃめちゃ素敵なんですよ。コンサートに行った時、隣の席にいた母が思わず「ヘイ、リッキー!」と言ってしまったぐらいですから。ブルーノも本来ならばそのリッキーにも劣らぬセクシーさなのですが、今回は太っていて、あれれ?といった感じでした。しかしパフォーマンスはいつも通りの華やかさ。前回のコンサートではトイレで用を足しながら聴いた『Marry you』も今回はしっかり堪能できました。前回、ビールを飲みすぎてトイレに行ってしまったのは痛恨のミスと思われそうですが、私としては「用を足しながらブルーノの生歌を聴くって、同棲している以外ありえなーい」とトイレで幸せを噛みしめておりました。写真のサインは、レコード会社のブルーノ担当の方にいただきました。ブルーノが書いたか、その担当の方が書いたのかは知りません。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website