ストレングスファインダー│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#101

ストレングスファインダー

2018-06-25 12:14:00

 朝起きてテレビをつけたら、日本の勝利に喜ぶふりをして渋谷でバカ騒ぎをしているたくさんのアホたちが映っていたので、そっこーでテレビを消した西山です。コロンビア戦は前半途中まで見て早々に就寝してしまいました。サッカーは好きですが、疲労には敵わず。会社での仕事が肉体的にも精神的にもきつくて、そのストレスが腰にきてしまい、昨日の貴重な休日も一日中ベッドで横になるハメに。休日を上手に過ごせないと、もう絶望的な気持ちのまま出社することになります。いやだな、いやだなと思いながらも、いざ出社してみると平常心で仕事ができるので、我ながらおめでたい性格だなと思います。

 その職場で、先日『ストレングスファインダー研修 ~自分の才能を知り強みとして活かす~』という研修を受けました。もう字面からしてオモシロヤバい空気が漂っています。私はこれまでにそういった研修や自己啓発的なものを一切受けたことがなく、むしろバカにしているきらいがありました。いや「ありました」と書きましたが、正直に言うと研修を受けた今でもどこか懐疑的であります。だって何か、気持ち悪かったんだもん。みんなで前向きに「自分を変えていこう!」って余計なお世話だわ。私のようなひん曲がった人間には、完全に逆効果になるのだなと思いました。この研修には一人のメインの先生と「コーチ」と呼ばれるアシスタント的役割の方がつきます。そのコーチの方々が自己紹介で「以前は××の仕事をしていたのですが、壁にぶつかった時、このストレングスファインダーに出会いまして、人生がぱっと開けたんです!」とか「自分の人生を変えてくれたストレングスファインダーをぜひたくさんの方に広めたい!と思いまして」などとおっしゃっていて、何これ?青汁のCM?と思ってしまいました。このストレングスファインダー、ざっと大まかな説明をしますと、まずはお金を払ってアクセスコードを手に入れたら、オンラインで177の質問に答えます。人生でこんなにたくさんの質問を受けることなんて、有名人になって未成年と飲酒して謝罪でもしない限りないでしょう。いや、それでも177はないか。ちなみに質問は「人生で一番大切なものはお金か?」とかそんなやつ。数十秒で次の質問ページに変わってしまうので、悩んでいる暇はなく、直感で選ばないといけません。その回答によって打ち出された自分の資質のトップ5が出るのですが、資質は全部で34あって全てを知りたかったらさらに課金してくださいって、もう私にしてみたらモンストかよって話なのです。研修の冒頭、先生がこのストレングスファインダーはアメリカの成功者の経験に基づいていて、いかに信用があるかというのをトランプ大統領まで引き合いに出して説明してくれたのですが、築40年以上の雑居ビルの中にあるオフィスでそんな壮大な話をされても、と困惑してしまいました。その時に「よくあるOJTの場合はですね」と先生が当たり前のように口にしたのですが、無知な私はOJTって何かしら?と首を傾げ、O、J…ティンプソン?いや、あれはシンプソンだからSよね、と早々に足踏み。もう!こんなんだったら女子力を上げる研修の方が良いのになあとぼんやり考えておりました。ちなみにOJTとはOn-The-Job Trainingのことだそうです。何のこっちゃ。そしてこの177の質問で打ち出された私が持っている資質のトップ5は1.収集心、2.内省、3.競争性、4.学習欲、5.ポジティブという順番で、最後の最後にとんでもないのが入ってきたなという印象。自分ではスーパーネガティブだと思っているので意外でした。ネガティブすぎて回りに回ってポジティブに変異したのだろうか。収集心とは、物を集めることではなくひたすら知識を集めることで、これは納得。内省というのは一人きりで考えるのが好きということで、これも納得。そして学習欲にも大納得。経済学の父アダム・スミスも「お金を稼ぐ目的は教養を学ぶためだ」と言いました。私はお金と時間が許す限り、常に何かを学んでいたい。無知の知。イエス、ソクラテス。4位だった競争性に関しては、今では失ったと思っていたので「へえ」でした。この研修は同僚とグループを組んでやったのですが、その競争性に関してのエピソードとして、小学校の運動会の徒競走で1位になるためにタイムを計る時わざと遅く走って(本番はタイム順に走るため)、運動会でぶっちぎりの1位になって嬉しかったという話をしたら同僚がドン引きしていました。そしてこういった研修にありがちな『お互いを褒める』というコーナーでは、同僚の男性が「西山さんがいると場の雰囲気がパッと華やぐ」と言ったので「それって、ただ美人だからってだけでしょ?そうじゃなくて、内面的なもので褒めて下さいよ」とぶったぎり、同僚さらにドン引き。互いの資質をよく知ることで、関係性を潤滑にして仕事の効率を上げていこうと研修の意図をどこまでも汲めない西山繭子なのでした。しかし、この研修に感謝していることもあります。こうしてコラムが書けたってこと。これ、とっても大事です。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website