夢の国│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#117

夢の国

2019-02-25 14:46:00

 今日の東京は春のような穏やかな天気です。このまま暖かくなって欲しい。夜、寒さに震え湯たんぽを抱きながら眠りにつき、朝、びっしゃびしゃの結露をセームタオルで拭いては絞り、拭いては絞れど、なおわが生活楽にならざり、ぢっと手を見ると、相変わらず生命線みじかっ!いつ死んでもおかしくないレベルでみじかっ!と言いつつ、私のようなストレスフリーの人間は周りにイヤがられながらも長生きするのでしょう。先日も新しく担当になったマネージャーのEさんと今後の打合せをしたのですが、担当になって数日にしてEさんは不安にかられたことでしょう。「西山さん、今のプロフィールの特技が【早起き】になっているんですけど、何か他に書けることってあります?」「えー、何もないなあ…。ラップでも練習しようか?」「・・・。いえ、大丈夫です」「舞台とかミュージカルとかはどうですか?」「アニーはやりたいって今も思ってる」「ウォーバックスの秘書とかですか?」「違う。アニー。アニー役がやりたい」「・・・。それは、難しいですね」「ドラマや映画で、濡れ場のシーンとかってあるじゃないですか?そういうのがイヤだとかありますか?」「本番以外ならOKです」「・・・。フラーム的に、それは絶対にないです」ああ、かわいそうなEさん!でも私はEさんが担当になって、新しい良い風を一緒に吹かせられるのではないかとわくわくしているのです。そんな西山、なんと先日は女子力をあげる聖地ともいえる場所に行ってきました。それは東京ディズニーランドであります!
 東京ディズニーランドがオープンしたのは私が5歳の時。確かすぐにお母さんに連れて行ってもらったと記憶しています。それまでテーマパークと言えば川崎の向ヶ丘遊園しか知らなかった私は、あまりの夢の国っぷりに恐怖すら憶えました。広大な敷地の中、ここで迷子になったら一生お母さんに会えなくなってしまうと、母の手をぎゅっと握ったものです。それから小学生の時は毎年、休日となる学校の創立記念日に合わせて遊びに行きました。当時は平日であれば、わりかしすいすいと色んなアトラクションに乗れて今のように「いつ行っても混んでいる」ということがありませんでした。中学生の時も何度か学校の創立記念日に友達と行きましたが、先輩に会って夢の国でぺこぺこしたあげく「西山のスカートが短すぎる」とか、学校外だと言うのにイチャモンをつけられたりするのが嫌で、そのうち足が遠のきました。その後も何度か行ったことはありますが、ディズニー愛がまったくない私、気づけば今回は15年ぶりの訪問となりました。正直今回だってまったく行きたくなかったのですが、チケットをいただいたので「もったいない」という貧乏根性で重い腰をあげることに。1月の冬休み真っ只中、姉と一緒に甥っ子1号(小5)、2号(小1)、3号(年中)を連れて行くこととなったのです。朝8時、ゲートの前にはすでにたくさんの人が並んでいました。私はとにかく完全防寒スタイルでニットの中にもホカロンをペタペタ。なのでミニスカートで彼氏と手をつないでいる女の子を見て驚愕です。さらに驚いたのはペアルックのカップルの多さ!41年間、ペアルックというものをしたことがない、と言うかする気もない私からすると理解不能なのですが、本人たちは楽しいんでしょうね。女の子同士も服装を合わせたり、あとは制服のコスプレ?ジャケットにチェックのミニスカートというスタイルをよく見かけました。おばさんは最初、普通に修学旅行生だと思っていたのですが、22時の閉園間際まで彼女たちがいたので、コスプレだということに気づきました。「まーたんも今度、セーラー服で来ようかな」と言うと、甥っ子1号に「きもっ」と言われてしょんぼり。可愛かった初めての甥っ子がどんどんと大人になってゆく。園内ではひたすら甥っ子たちが乗りたいものを回りました。カヌーなんて人生で初めて漕ぎましたよ。甥っ子3号はオールの使い方がめちゃくちゃで、水しぶきが後ろに乗っている私に全てかかるという始末。そしてスターウォーズ好きの彼らに連れられて3回もスター・ツアーズに乗り、完全に乗り物酔い。並んでいる間は甥っ子1号と2号の小競り合いに何度も声を荒げ、もう精根ともに尽き果てました。ただ、ミート・ミッキーでは、この私ですらミッキーを目の前にしたら異常にテンションが上がってハイタッチにハグ。ミッキーを前にすると人は狂うのだなということがわかりました。帰り際、「また来ようね」という甥っ子たちに「もう、まーたんは死ぬまで来ません」と正直に言ってしまう大人げない叔母さんではありますが、まあ死ぬ前にもう一度来られて良かったよ。写真は撮る方(姉)も撮られる方(私)も慣れていないため、シンデレラ城をばっちり隠してしまうという残念な写真です。でもカチューシャまで買って、全力で楽しもうとしている努力は認めて欲しい。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website