オランダ紀行1│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#123

オランダ紀行1

2019-05-27 16:09:00

 みなさん、ごきげんよう。こちら、とってもごきげんな西山繭子です。なぜならつい数日前までオランダで最高に素敵な休日を過ごしていたからです。年末年始にアウシュビッツに行った際、『アンネの日記』を改めて読み、次の旅はオランダと決めておりました。しかしせっかく行くのであればアンネの家だけでなく、フルに旅を楽しむぜい!と今回はイベントが目白押しの一人旅となりました。ということで、今回はオランダ紀行を皆さんに楽しんでいただこうと思います。1日目。横浜で行われていた世界リレーのオランダ代表選手に前後左右を囲まれるという地獄のフライトを経てアムステルダムに到着。しわっしわになった顔で、まずは空港内のお店にSIMカードを買いに行きました。プランを選んだあとはお兄ちゃんが設定を全てやってくれるので楽チン。最後には笑顔で「アムステルダムを楽しんでね!」と言ってくれて、もうそれだけでオランダ最高!と思いましたよ。初めての国の第一印象ってすごく大事です。そしてタクシーで市内へと向かいます。この運転手との出会いがまたラッキーでありまして、この旅で何度かお世話になることになりました。アムステルダム在住22年、キルギスタン出身のカロさん52歳。しかもアムステルダムの前はポーランドに7年住んでいたと聞いて「私、ポーランドに行って、次の旅はオランダにしようって決めたんだよ!なんか、ごいすー!」と興奮しつつ僅かに覚えたポーランド語を披露。カロさんはキルギス語の次に得意なのはポーランド語だそうで、えらく喜んでいました。そして到着したのはAirbnbで予約していたマリアさんの家。ドアのチャイムを鳴らすと「ハーイ!」と素敵なマダムが顔を出しました。たくさんの絵が飾られたお洒落なリビングでコーヒーをごちそうになりながら、しばしおしゃべり。彼女は近所の美味しいお店などをたくさん教えてくれました。今回は1週間ずっとアムステルダムにいると決めていましたが、この宿泊先のチョイスが功を奏したと言っても過言ではないでしょう。おしゃべりのあとはビールの買い出しがてら近所をお散歩。晴れ渡る青空のもと、運河沿いに建つ可愛らしい家々を眺めて「もう最高じゃないかー!」と1日目にしてアムスの虜になった私なのでありました。2日目。朝ごはんがてらさっそくマリアおすすめのカフェへ。美味しいコーヒーにアップルパイ、何よりも店員さんがとても親切で滞在中にほぼ毎日来ることになりました。午前中は街の概要を把握するためにトラムでぐるぐる、降りてはてくてく。アムスは女子力をくすぐる可愛いカフェや店が点在しています。きっと歩いているだけで私の女子力もアップしたに違いない。ただし注意しなくてはいけないのは自転車。自転車大国だとは聞いていましたが、想像以上にみんなが飛ばしまくっています。うっかり自転車専用道路になんて立とうものなら命の保証はありません。昨日マリアが「この街のボスは自転車よ」と言っていた意味がわかりました。午後は日本から予約していたアンネの家へ。日本語のオーディオガイドを聞きながらアンネたち一家が暮らしていた家の中を歩きます。屋根裏部屋には、日記に何度も登場するアンネが唯一外の世界を見ることができた小さな窓がありました。青空の下で新緑が揺れてきらきらと光っています。2年間この隠れ家から出ることのできなかった13歳の少女にとって、この光はまさに希望だったのだろうなと思うと涙が出てきました。ぐずぐずと鼻をすする私に、隣にいたおじさんが「大丈夫?君は優しい子なんだね」とぽんぽんと肩を叩いてくれました。しかし、そのあとおじさんはアンネの家のカフェでハイネケンをラッパ呑みしている私を見て「騙された」みたいな顔をしていました。騙してはいません。どっちも私なんです。その後は街歩きをしながらオランダ名物といわれるポテトフライ、コロッケ、ハーリング(ニシンの塩漬け)を食いだおれ。帰国後の体重がえらいことになるのはこの時はまだ知る由もありませんでした。3日目。これまた日本から予約していたゴッホ美術館へ。あまりの人の多さに落ち着いて観賞できずというのが正直なところですが、近くにあったMOCO美術館が思いのほか楽しかったので良しとしましょう。夜はオランダ国立バレエ団の『白鳥の湖』を鑑賞。昼間、このためにプライマーク(激安ファッション店)でワンピ、靴、ピアス、バッグを購入。総額53ユーロでばっちりキメていきました。ロビーではシャンパンを楽しみ、そして美しい舞台に酔いしれたのですが、いかんせん長い!19時半開演で終わったのが23時って!観に来ていた子どもたち、よく起きていられたなあ。おばさん、実はちょっと寝ちゃったよ。そして4日目…って、もう原稿の枚数がない!ということで『西山繭子ハイネケンばかり飲んでる場合じゃないよ紀行』は次回につ・づ・く。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website