ぼんじゅーる│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#125

ぼんじゅーる

2019-06-24 13:48:00

 オランダから帰国して10日ほど。西山繭子、今度はフランスへと旅立ちました。何だか優雅な生活のようですが今回の旅は父の海外取材の手伝いでありました。パリまでの約12時間、今回はANAということもあり日本語字幕が充実なのでひたすら映画を観て過ごしました。BOSEのノイズキャンセリングヘッドフォンを手に入れてからというもの、機内で映画を観るのがとっても快適。まずは先日アムステルダムでコンサートを楽しんだヒュー・ジャックマンが出ている『レ・ミゼラブル』。実は初めて観たのですが、劇中のアン・アサウェイの『夢やぶれて』に大号泣。彼女の作品はコミカルなものばかりを好んで観ていたのですが、いやー、すごい女優さんだわ。その次は『ララランド』。これはすでに何度も観ているので、自分の好きなシーンだけを選んで観るというやり方。私はこれまでアメリカ人のお尻に傾けるあの情熱が理解不能でした。男だけではなく、女が「ねえ、彼のお尻見て。最高」というシーンを映画で見かけるたびに、その感覚がよくわからなかったのですが『ララランド』のライアン・ゴズリングがタップダンスを踊るシーンを観てからは、男の尻に胸がときめく感覚がわかるようになりました。もうね、あのシーンはライアンの尻を見るためにあると言っても過言ではない。そしてひとしきり気が済んだら今度は『セカンド・アクト』で主演のジェニファー・ロペスの尻を堪能。こりゃ天下のアレックス・ロドリゲスも骨抜きですわ。そして次は『ベスト・バディ』でモーガン・フリーマンの尻を…堪能はできませんがトミー・リー・ジョーンズとのいぶし銀な掛け合いを楽しみました。お次は『バイス』でクリスチャン・ベールの尻を…こちらも堪能はできませんでしたが、サム・ロックウェル演じるブッシュ大統領に震えました。そして最後に再び『ララランド』でしめるという充実のラインナップ。ちなみに今、JALの機内プログラムでは私の出演回の『相棒』をやっているそうで、姉はサービス中にお客さんのモニターを見てびっくりして「これ、うちの妹です!」と言ったそうです。恥ずかしいからやめて。そして2年ぶりのパリに到着。定宿であるHotel Danielではオーナーのセシルを始め、馴染みのスタッフたちが笑顔で迎えてくれます。ラウンジで紅茶を頼む父の横で、ロングフライトも何のそのパリに来たのだからまずはシャンパンでしょ、と娘はくいっとグラスを傾けます。「君、元気だねえ」「ええ、まだ若いですから」そして、その日の夜はこれまたお決まりのSAMOという韓国料理屋へ。父との旅であきらめなくてはいけないものの一つに現地の料理というのがあります。父とフランスに来るのは三度目ですが、フレンチなんてものは食べたことがありません。9割和食、ちょっとひねって中華、韓国料理。フランスのニースに行ってまですき焼きを食べるとか、本音を言えばどうかしてるぜ、ですが父の言うことは絶対!なので仕方ありません。まあSAMOのおばちゃんたちも「あらまあ久しぶり」と声をかけてくれるので、通い続けるというのも素敵なことだなと思います。翌日は時差ボケ解消のためにも朝からパリの街をウォーキング。いつも人で溢れ返っているパリですが、早朝はとても静かで美しい街並みをゆっくりと楽しむことができます。もう10回ほど訪れているパリですが、何度来ても女子力をくすぐる街だなあと思います。ただ、調子にのって歩きすぎでしまうのでいつも切符を1枚持って帰りは地下鉄というフリースタイルなウォーキング。この日は撮影もなかったので、父が原稿を書いている間は貴重な自由時間。お決まりコースはまず老舗パン屋のポアラーヌでクッキーを購入。これは滞在中に食べる用。そのあとはルーブル、オルセー、オランジュリーをまわって好きな絵をダッシュで鑑賞。モナリザの前は相変わらずものすごい人だかりで、毎日毎日こんなにたくさんの人に囲まれてモナリザもさぞかし疲れるだろうと思いました。お昼はこれまたお決まりのステーキ屋へ。ここはメニューがステーキしかないため、焼き方をオーダーするだけという楽チンさ。昔より肉が小さくなったなあと思いつつも親切にしてくれたウェイトレスにチップをはずんで帰りました。と、ここまでするともう特にしたいことがない!ということでチュイルリー公園でパトリック・モディアノ『サーカスが通る』を読んでいました。パリで読むとまた一味違って良いんだな、これが。翌日から始まる撮影に備えてゆっくりと鋭気を養います。今回はパリ3泊、フィレンツェ3泊、ミラノ2泊、そして再びパリ2泊という長丁場。体調を崩さないことは当然のことですが、何よりも父をキレさせないことが私に課された重要な任務です。次回はその結末やいかに!のイタリア編を書きたいと思います。

image2

最近のコラム

西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website