女子力って何ですか?
2014-04-21 00:44:00
はじめまして、西山繭子と申します。このたび、こちらでコラムを書かせていただくことになりました。当初、「お好きなことを書いてください」との依頼があったのですが、本当にお好きなことを書いていたら色んなものを失いそうなので、ここは一つテーマを決めて書くことにしました。そのテーマとは、ずばり「女子力」。喉から手が出るほど欲しい「女子力」であります。
「女子力」は言わずと知れた2009年の新語・流行語大賞。私の情報源の全てであるwikipediaによると、『輝いた生き方をしている女子が持つ力であり、自らの生き方や自らの綺麗さやセンスの良さを目立たせて自身の存在を示す力』だそうです。改めて読んだら、女子力が高い人ってただのイヤな奴じゃないか。それでも女子力を上げたいと努力する女たち。恐るべし女子力。私は、もちろん女子力が高いと言われたことなどありません。今だって、平日の昼間だというのにパジャマでこの原稿を書いています。今日は外出の予定もないので、このまま夜までパジャマ。そして入浴後に新しいパジャマに着替えます。いわゆるパジャマtoパジャマってやつですね。甥っ子(6歳)なんて、私がいつもパジャマなものだから「まーたん(私のこと)って病気なの?」と言い出す始末。うん、そうだ。この女子力の低さはもはや病気なのだ。私はこのコラムを書くことによって女子力に真摯に向き合い、そしていい女になって、願わくばヴィクトリア・シークレットの下着モデルになって、金持ちと結婚したい。金持ちになってハーゲン・ダッツのカップアイスを全種類食べたい。
ここで、これまでの人生を振り返って36年間女として生きながらも女子力が培われなかった原因について考えてみたい。私が物心ついた時には、我が家にはすでに母、姉、私の女三人しかいませんでした。そして私は何故かぼんやりと自分が家族を守らねばという使命感に襲われ、「自分は家族の中で男であるべき」と思ってしまったのです。まずここで躓いている。髪の毛はずっとショートカットだったし、スカートが大嫌いで半ズボンばかり履いていた。学校が終われば男の子たちと野球をして、憧れの人は大洋ホエールズのポンセだった。男の子に間違われることを誇りに思い、サンリオよりもレゴを愛した。小学4年生からは眼鏡をかけ始めたので、風貌はハリーポッターそのものでした。そんなボグワーツ魔法小学校生活が終わり、私が進んだのは中高一貫の女子校。ここでさらに躓くことになる。私の大好きな本、辛酸なめ子さんの『女子校育ち』にも書かれているように女子校は本当に危険な世界。魑魅魍魎がはびこる巣窟のようだ。夏はスカートをたくし上げて、下敷きでパタパタと股をあおぐ。冬はスカートの下に学校指定のあずき色のジャージを履いて寒さを凌ぐ。いい女=おもしろい女と勝手に脳内変換され、一般的に女子力が高いといわれる行動をしていると、わりかし白い目で見られる。その概念は卒業して20年が経とうとしているのに、いまだ私を苦しめています。当時の仲良しとは頻繁と言わないまでにも年に数回集まる。総勢13人のアラフォーたち。そのメンバーで今現在、既婚者は2人である。既婚者1号は6年前に結婚し、2号は昨年結婚した。このペースでいくと最後に結婚する人は80歳だ。先日もみんなでお花見をしようということになった。そのお知らせメールには『食べ物は一人一品持ってくる。市販でもババァでも可』と記されていた。この『ババァでも可』というのは母親に作ってもらうという意味だ。すでに自分たちもババァだというのに最低だ。当日、独身者が8名ほど集まったのだがレジャーシートの上に並んだ食べ物に手作りは一つもなかった。しかもいなり寿司を買ってきた人が三人もいて、いなり地獄だった。会話は相変わらず下世話で知性のかけらもない。我が母校の校訓「恥を知れ」なんてどこ吹く風。恥なんて知りすぎて忘れてしまったよ。
こんな私が女子力を高められるのだろうかと前途多難ではありますが、このコラムの執筆と共に精進していきたいと思っております。ここまで書いて「このおばさんは誰なのだろう?」と思われた方のために今さらジローで自己紹介をしておくと、職業は「女優・作家」です。プロフィール上は。私自身はいまだどちらもできていないと思っているので「女優に憧れる作家志望」だと思っています。数年前、父親である伊集院静氏に文筆業も始めた旨を話すと「役者に物書きに、金にならない仕事を二つもするなんて、あなた変わってるね」と言われてしまいました。自分で選んだ道なのだから仕方がない。そして自己紹介がてら貼らせていただいた動画は私が所属する事務所フラームの女優14名が大集結しての撮影風景。今をときめく売れっ子女優さんがいっぱいおります。私は、この事務所に15年所属しているのですが、いまだに私がフラームにいることが奇跡のように思います。先日もドラマのプロデューサーにも「西山さんって、フラームっぽくないですよね」と言われてしまった。だからこそ女子力を高め、何とかフラームに似合う女性にならなくては!と思うのです。しかし、このコラムでますますフラームのイメージから離れるのではないかという一抹の不安も…。
というわけで、皆様、西山繭子の女子力向上にお付き合いのほどよろしくお願いいたします!
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website