白ワインが呑みたい
2014-08-21 18:00:00
夏らしいことを一つもしていないのに、もう8月下旬。私の夏が終わっていく。海、浴衣、花火、ビアガーデン、BBQ、ビール、焼酎、ワイン、白ワイン、冷えた白ワイン、きんきんに冷えた白ワイン。ようは白ワインが呑みたいんです。最近はプイィ・フュメがお気に入り。7月のパリでは馬鹿の一つ覚えのように「うざべ、ぷいぃふゅめ?」と流暢なフランス語でオーダーして、英語で返されるという繰り返しでした。最近、呑むのはもっぱらワインが多いです。ただ詳しくはありません。よく耳にするワインの比喩表現ってありますよね。あの「雨に濡れた子犬が…、可愛くてお母さんにねだったけど、うちのマンションはペット禁止でした」みたいなやつ。あれとかよくわかりません。美味しいかどうか、それだけ。以前、仕事でボルドーのワイナリーに行ったことがあります。そこでオーナーが当たり年のワインを出してくれました。シャトー・ラグランジュ、1990年。グラスを回して香りをかいで、舌でずずずと転がすようにワインを口に含むオーナー。その横で私はぐびっ、ごくん。「うん、美味しい」という、まったく駄目レポーターっぷりを発揮してしまいました。その後、実景を撮りに行くというスタッフと別れ「せっかく空けたのだから、全部呑みましょう」とオーナーとぐびぐび。スタッフが帰ってきた頃には、ほろ酔いの西山でした。まあ1本ぐらいでは乱れません。年々、弱くはなってきているものの、わりかし呑めるクチであります。というわけで今回はお酒と女子力。
よく「お酒強くていいね」と言われますが、良いことは一つもないように思います。だって今までの呑み代、それに付随する交通費を考えたらマンションの頭金ぐらいにはなっているはず。それぐらい呑むのです、あたしゃ。ただ呑まなきゃ手が震えるとかそんなことはなく(そんなことがあったら大変だ)数週間1滴も呑まないこともざらにあります。何故なら「この辺でやめておこう」というのが出来ないからです。呑み始めたら、とことん呑む。呑んだら呑んだだけ酔う。翌日はかなりの確率で二日酔い。今まで色んな二日酔い対策を試しましたが、どんなことをしようと呑みすぎたら何をしても無駄ということが今はわかりました。だから翌日に何もない時に呑むことが多いです。だいたいパターンとしては、友だちと呑む→別れてから一人で呑む→もう一軒いっちゃう?→さらにもう一軒いちゃうぜ→帰宅。起きると、財布の中がやたらと小銭だらけ、こんなことを十年以上繰り返しています。呑んだ翌日のあの小銭の多さは一生治らないだろうなあ。でも、もちろん学んでいることもありますよ。
一つ目、ドンキホーテの近くで呑まない。私は以前、酔いに任せてコンポを買って帰ったことがあります。朝起きて、部屋に置いてあるコンポを見て一瞬「サンタクロース?」と思いましたが、真夏だったし財布にはしっかり領収書が入っているしで、二日酔いの頭がますます痛いみたいな状況でした。家のコンポが壊れていたとはいえ、もっと吟味して買うべきだったなあ。酔って気が大きくなった時に買い物ができる場所に行ってはいけない。しかし女子力が高い子は、それを利用して酔わせた男を連れて行き何かを買ってもらったりするのかもしれませんね。あー、それ目指そう。コンポ買ってもらおう。
二つ目、好きな人の電話番号は携帯に登録しない。今まで、酔った翌日のリヤイダルを見てぞっとしたこと百万回。「いやいや、夜中だし向こうは寝てたでしょ~。話した記憶もないし~」と思っても通話履歴にはしっかりと痕跡が…。これは本当にやったら駄目ですね。「酔っ払っちゃって、ちょっと声が聴きたくなっちゃって…」と言えたら女子力が高いのだろうけど、私にそれができたら今頃幸せな結婚生活を送っている。私の場合は、夜中に自分で電話をしておいて「えー!何で出るの?こんな時間にかけるなんて、酔っ払ってるに決まってるじゃん!出ないでよ!」と支離滅裂。でも出なかったら出なかったで、出るまで鳴らし続ける。どうですか、この女子力の低さ。書いててもイヤになっちゃう。だからもう電話番号を入れないことにしたのです。メールアドレスもね。かなりの確率で誤字脱字メールになりますから。
呑むいじょう、お酒とはうまく付き合っていかねばなりませんね。そして、これを機に女子力を高める呑み方というのも研究していこうと思います。まずはカルーアミルクをオーダーすることから始めよう。甘いカルーアミルクを細いストローでちゅうちゅう吸いながら上目遣い。いける、いけるよ。半分呑んだところで「何か酔っちゃったみたい」ととろーん。いいね、いいよ。で、向こうが可愛いなあと思ったところで「コンポ買って」と一言。きまった!何だかできそうな気がしてきました。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website