女子力ウェイクアップ│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#022

女子力ウェイクアップ

2015-03-09 05:50:00

 へろぅー。はうあーゆーどぅーいん?皆さま、ごきげんよう。ぺこり。だんだんと暖かくなってまいりましたわね。ハイドパークの木々も少しずつ芽吹いてきました。春の美しい庭園を眺めながらのアフターヌーン・ティーが今から楽しみざます……、あらやだ、私ったら、ごめんあそばせ!先日までロンドンに行っておりまして、どうにも気分が女王陛下です。先日はウィリアムがお世話になりました。ぺこり。それにしてもロンドン!実は生まれて初めてだったのですが、私は何でこんなに楽しい街に今まで足を運ばなかったのだと後悔するほどでした。私が思うにロンドンは世界一シャレオツな街なのでは?雑貨も洋服も素敵なものがたくさん売っていて、私の中に眠っていた女子力がむくむくとウェイク・アップ!ロンドンにはパリからの移動だったのですが(その間にマンチェスターでチャンピオンズリーグを観戦しましたが、その話は女子力皆無なので割愛)、パリで買ったものといえば大好きなポアラーヌのクッキーぐらいで、それもぼりぼり食べ過ぎてロンドン到着までにはなくなり荷物は軽々。しかし恐るべきロンドン、往路に羽田で量ったところ7kgだったスーツケースが22kgになって帰って来てしまいました。買い物嫌いの私が珍しい!ビバ破産!

 一日目、フーリガンしか住んでいないマンチェスター(超偏見)から列車に乗ってロンドンはユーストン駅に到着。「ああ、憧れのロンドンだべ」ときょろきょろしながらタクシー乗り場へ。途中、階段のところでスーツケースを持ち上げようとすると、すかさず英国紳士が「手伝いますよ」と手を差しのべてくれました。ほぼおじいちゃんという年齢の紳士。その優しさに感謝しつつ、どうせだったら若いイケメンが良かったなと、もう一度階段を下りようかしらと考えたバチ当たりな私です。タクシーはもちろんブラックキャブ。窓から行先であるホテルの地図を運転手のおじさんに渡し、うきうきしながらブラックキャブに乗り込むイエローキャブ。って、誰がイエローキャブやねん。窓にへばりつきながら初めて観るロンドンの街に私は胸をときめかせていました。途中、おじさんが何かを話しかけてきました。んんん?さっぱりわからん!これはマンチェスターでも痛感したことなのですが、普段耳にすることが多い英語ってやはりアメリカ英語なんですよね。ばりっばりのイギリス英語はロシア語のように聞こえることすらありました。100万回訊き直してやっと「ロンドンは初めて?」「どこから来たの?」といった高尚な会話を交わすことができました。窓から見える茶色いレンガ建ての家々に「おお!メリー・ポピンズ!」、曇天の空に「おお!さすがロンドン!」、いたるところにある緑の看板に「おお!スターバックス!」といちいち感動しているところ、美しい広場的な空間が見えてきました。これは、あの!と思い、私はおじさんに「えくすきゅーずみー、いず でぃす ばっきんがむきゅうでぃん?」と訊きました。おじさんは「は?」と。そりゃそうだよね。私、「きゅうでぃん」って英語風に言ったけど完全に日本語だった。正しくはバッキンガム・パレスです。そんなこんなでホテルに到着。ロンドンだけに言えることではありませんが、大都市はとにかくホテル代が高い!節約のため、私が予約した格安ホテルはヴィクトリア駅近くの8㎡のシングルルームでした。鍵をもらうと部屋が地下だということも判明し、暗い気分になりましたが、部屋に入るととても清潔で問題なし。しかもそんな小さな部屋なのに、紅茶セットが置いてありました。さすがイギリス!テレビをつければBBC。さすがイギリス!もうこれは心ゆくまでイギリスを堪能しようということで、街を歩く時は常にビートルズを聴いていました。ただ『HELP!』がかかると『開運!なんでも鑑定団』ばかりがちらついちゃって、ロンドンの街でテレビ東京の底力を知ることになりました。ちなみに私、以前あの番組の『出張!なんでも鑑定団in世田谷』の観覧に応募しまして見事当選。ON‘AIRを観たら私と母が並んで嬉しそうに手を叩いているところが映っていました。ロンドンの話が見事にそれたかと思いきや、ノーノーノー。鑑定団といえば骨董品、ロンドンではノッティングヒルの骨董市にも行きました。この時はもちろんエルビス・コステロの『She』を聴きながら。映画『ノッティング・ヒルの恋人』のように街角でジュースをぶちまけられるのを期待していたのですが、それはありませんでした。チッ。骨董市では銀製のティーポットを探していたのですが『なんでも鑑定団』で培ったはずの私の目利き力は女子力ばりに低く、本当に銀なのかすらわからない。結局、マフィンとかブラウニーとかクレープとか買い食いばかりで終わりました。骨董市はハードルが高いですね。ここはやはり安心安全の老舗デパートへということでウェスト・エンドにある『LIBERTY』へ。もうここで完全に私の眠れる女子力がウェイク・アップ。見るもの見るもの可愛い!有名なのはテキスタイルですが、眺めているだけでうっとりなのです。ふつふつと湧きおこる物欲を落ち着かせるために、店内にあるカフェに行ったのですが、そこのアフターヌーン・ティーのセットも可愛くて、もう理性が崩壊。結果、荷物が15kgも増えてしまったのです。スウィーツやフィッシュ&チップスで体重も増えました。ああ、それでも今すぐにでもまた行きたい。ロンドンの魅力に完全にはまってしまいました。

最後の夜にはロイヤル・バレエも見に行ったのですが、ここはオシャレして行かないと!ということで、ワンピース、靴を新調。MOSCHINOのワンピースに身をつつみ優雅な気分ではい、ポーズ。かなり女子力の高い写真が撮れましたが、撮影場所はなんと厠です。宿泊した部屋よりも広い厠があるSavoy Hotel、いつか泊まってみたいなあ。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。

 
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