梅雨の女子会│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#127

梅雨の女子会

2019-07-22 12:53:00

 先日、アイロン台を出すのが面倒で、横着をしてラグの上でアイロンをかけたらラグが焦げました。そして別の日には、ラーメンの生麺をゆでようとしたところ、蕎麦のゆで時間と間違えてノビノビのラーメンになってしまいました。ああ!これも全て湿気のせい!太陽が大好きな私としては、ここ数週間の天気は非常につらいものがあります。気分は滅入るし、布団は干せないしで、そりゃ女子力もなくなるってものですよ。こんな時はね、やっぱり仲良しの友だちと集まって笑いまくるしかないってことで、久々に中高大の同級生と集まることになりました。
 もうこのコラムでも何度も登場している私の大切な仲間たち。いかんせん13歳の時からのつきあいですからね、そろそろ30周年のお祝いも考えなくてはいけません。今回集まったのは総勢11人。第1回目のコラムに書いた時は15%だった既婚率が、何と今では45%に飛躍!高度経済成長期の日本かと思うほどの伸び率ではありませんか!と言いつつも、現実に目を向けるとまだ半分以上が独身という、かなり残念なアラフォーであります。いつも話すのは、なぜ結婚できないんだろう?ということ。「みんな良い子なのにねー」「うんうん。ブスでもないのにねー」「そうだよね。ブスなのに結婚してる人もいるのにねー」と、はたから聞いている人から「だからだよ!」という言葉が飛んできそうですが、本人たちは首を傾げるばかり。ここ最近は、子どものいる家に持ち寄りでお邪魔するパターンが定番になってきました。今回は昨年出産をしたMさんの家へ。見晴らしの良い広いリビング、そして隣の和室では赤ちゃんがスヤスヤと眠っています。窓の向こうは電線という1Kのマンションで『おばけのアッチ』のぬいぐるみと暮らす私としては、もうそれだけで溜息が出てしまう素敵なお家。そこにドヤドヤとやってくるおばさん軍団と3人のちびっこ。赤ちゃんだけがメンズという一見、花の園ではありますが、まあ言ってもおばさんですからね。そんな私たちの、ここ最近の悩みは体型のおばさん化がとまらないということ。「太る」ことよりも「厚み」が気になり始めました。「そうなんだよねー。あつみがねー」「そうなんだよねー。きよしがねー」と会話まで完全におばさんですが、確かに厚みは私も気になるところ。実は6月のフランス・イタリア旅でかなり太ってしまったのです。数年前であれば特別に何かをしなくても、普段通りの生活をしていれば自然と元通りになっていたのですが、1ヵ月経っても全然変わらない!夏のコンクールに向けてバレエも週3で頑張っているというのに!中年って色々大変です。そんなことを若者の1.5倍の声量で話しながら、それぞれが持ち寄った品をテーブルの上に並べていきます。しかし、この持ち寄り制度でいつもおかしなことがおこる私たち。第1回目のコラムでも書いたように、5年前は「持ち寄りは市販でもババァでも可(お母さんの手作り)」というルールでした。さすがにもうお母さんに作ってもらう人はいませんが、以前3人が稲荷ずしを買ってくるというまさかの稲荷地獄になってしまったことがあるので、一応事前にそれぞれの持ち寄り品をメールで報告。そこで「何かつまみ系を持って行くね」というざっくりな言葉が行き交っていたのですが、みんなそれを「うんうん、よろしくね!」と了承。そして当日、なんと残念なことに3人が唐揚げかぶり。さらに手作りの品を持ってきた女子力の高い2人がいたのですが、驚くことにまさかの煮卵かぶり。11人に対して18個の煮卵。全てを並べてみると、もうテーブルの上はまっ茶色です。もちろんサラダを買ってきた子もいましたが、他にはメンマ、餃子、シュウマイと総じて色味がおじさんなものばかり。写真を見ていただくとわかりますが、これほどインスタ映えしないホームパーティーの画像はないでしょう。何人かはインスタをやっているはずなんだけどなあ。まあそれでもね、みんなが集まれば箸が転がらなくても楽しいわけで、こんなに笑ったのは久しぶりだなってぐらいに腹筋が鍛えられるわけですよ。一昨年結婚したFは今、妊婦さん。「赤ちゃんなのか脂肪なのかわからない」というぽっこり出たお腹をみんなでさわって「これは脂肪だね」といじわるな私たち。元気な赤ちゃんが産まれますように。13歳の頃に出逢って、28年の月日が流れました。その間、それぞれの人生には色んなことがありました。仲が良いとはいえ、私たちは全てを共有しているわけではありません。それぞれの悲しみや苦しみに寄り添えなかった時の方が多いでしょう。それでもね、私は、このみんながいるだけで心強いなと思うのです。この日、私が持っていたLLビーンのトートバッグは18歳の誕生日の時にMちゃんからもらったものでした。それをMちゃんに話すと「え?あたし、そんなのあげた?憶えてない」だって。なんだよ、もう。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website