コロナの影響│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#143

コロナの影響

2020-03-23 14:58:00

 1月中旬に日本国内で初めてのコロナウィルス感染者が確認されてから2ヵ月。世界中が大変なことになっています。私はといえば1月下旬に父が倒れてからというものの、正直それどころではなく、連日報じられるニュースにもほとんど関心がありませんでした。父がお世話になっていた病院も、今月に入ってからは面会が原則禁止になっており、時期が時期ならば、毎日父の顔を見に行くことができなかったのだなあ。心配だけど、それはそれで楽だったろうなあと複雑な思いです。あ、ちなみに父はもうリハビリの病院も退院いたしました。ご心配いただいた皆様、応援してくださった皆様、そして何よりも「繭子ちゃん、大変だね」と私を労って美味しいものを食べさせてくれた方々に、心よりお礼申し上げます。おかげで激太り。ここ最近の習慣ですが、私は朝起きると体重計に乗ります。最初はパンツ一丁で乗っていました。しかし寒い冬の朝にあたたかい布団から出て、すぐにパンツ一丁になるというのはというのはヒートショックの危険性があると思い、そりゃダイエットよりも命優先だろということで、今ではパジャマと腹巻きを着用して体重計にライドオン。そこから300gを引くのですが、先日は未知の領域が見えてきました。これまでもイチローになってしまったことは何度かありますが、少しずつ選手時代の井上真二の背中が見え始め、その先には神々しい松井秀喜の偉大な姿が見えてきた今日この頃、やはり何が何でもここはせめてクロマティに留まっていなくてはいけないと気を引き締めるようになりました。何の話だかよくわからない人は背番号をお調べください。この激太りの要因には、もちろんコロナの影響があります。バレエをやるにもチャコットのスタジオは休業、マッチョな同僚と始めた筋トレ部もジムが使えないため休部。その上、契約社員として働く職場では、コロナ対策による勤務形態でひたすらデスクワーク。休日はせっせと歩くようにしていますが、それでも運動量が足りない。これまでの人生で間違いなく一番の運動不足期。うう、汗をかかないと肌の調子も悪くなってしまう。せめてもと毎日しっかり湯舟につかるようにしています。ひゅー!女子力高めの発言!ポーランドに行った際に購入したヴィエリチカ岩塩坑のバスソルトが2年間開けられぬまま埃をかぶっていたので、それを浴槽に投入。伯方の塩とどう違うのかはよくわかりませんが、たぶん良いのでしょう。半身浴をしながらはだいたい『小説すばる』を読んでいます。今月から始まった北大路公子さんの新連載『キミコ、墓を買う』が面白すぎて幸せ。あとは友人から誕生日プレゼントにもらったモイスティーヌというメーカーの浴用美容器も使っています。これはですね、美容液を投入したあとに親分を風呂に浮かべて親分に繋がった子分を5分間握るというシロモノなのですが(写真参照)、正直、そのからくりは何が何だかさっぱりわかりません。でも肌の調子はすこぶる良くなるので、余計なことは言わずに黙って握っておきます。なぜこれほどまでに美容を気にするのかといえば、先日一緒に仕事をした同じ事務所の紺野まひるちゃんが、きちんと『女優』だったことにあります。最近の私は完全に『ちょっと綺麗な疲れたおばさん』なので、気を引き締めていかねばなりません。まあ、今は美容よりもコロナなんでしょうけどね。イタリア北部の街に暮らす友人のマルコからは『僕も家族も大丈夫だよ。学校が休みだからたくさん娘と話ができるのは良いね。ただ、そろそろワインが底をつきそうだ。ははは』という大人なメールがきました。数年前、イタリアで私の父と一緒に食事をしたことがあるマルコは、この数ヵ月私に温かい言葉をたくさんかけてくれました。『大丈夫。君たち父娘がとても強いことを僕は知っているよ』マンチェスターでの学生生活、唯一年上のクラスメイトはすごく紳士です。一方、パリに暮らすフランス人青年オスカルは『外出禁止で仕事も行けないから、実家に帰ろうかなと思ってるんだけど、それも退屈だから、今、どこかやってるスキー場を探してる』とすこぶる呑気。まあ私もどちらかといえばそちら派だなあ。マスクつけるの嫌いだし。『東京も外出禁止なの?』と訊かれ『学校は休校になっているところもあるけど、わりと普通にみんな仕事はしているよ。朝のラッシュもいつもよりは少しすいているかなという程度』と答えました。それに対する彼の返信は『それってすごく日本的だね』と。いまだに日本人は働きすぎという印象があるのですね。まあバカンスが1ヵ月ある彼らから見たらそうだわな。しかしこのままだと旅に行くことさえできません。早く終息することを願うばかりです。

image2

2020.3.23 配信

最近のコラム

西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website