今年もよろしくお願いします│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#162

今年もよろしくお願いします

2021-01-11 13:47:00

 あけましておめでとうございます。2021年最初の『女子力って何ですか?』でございます。みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。と形式的に新年の挨拶をしてみましたが、おめでたい空気なんてどこへやら、私が暮らす東京ではコロナの新規感染者数が年末に1000人を越え、あれよあれよと2000人を越え、再び緊急事態宣言が発令されることとなりました。とはいえ昨年4月のように街から人が消えるといったこともなく、何とも中途半端な対策だと言わざるを得ません。事実、私も週に何日かは満員電車に揺られて仕事に行っています。テレワークが推奨されているのはもちろん知っていますが、テレワークが不可能な仕事もあるわけで、それなのにニュースでは品川駅の朝の通勤風景を映しては「何をやっているんだ!自粛しろ!」と言わんばかりの報じ様。私だって、できることなら家でおとなしくしていたいわよ!でも仕事しなきゃ生活できないのよ!ああ、これがコロナの怖いところです。気づかぬうちに不寛容になっている自分、人に対して思いやりを持てなくなっている自分がいます。今年ひいたおみくじに「人のために生きよ。さもなくば死」的なことが書いてあったので改心せねばと思ったばかりなのにね。ちなみに凶をひいた小4の甥っ子は「区って何?」と首を傾げていました。
 今年は私のラッキーナンバーである21の年。一年を振り返った時に「今年は頑張った!」と胸をはって言える年にしたいです。そのためには、まずスタートが大切。一年の計は元旦にあり、ということで元旦からいつも通りの朝4時起床。ここ30年ほど、大晦日は0時まで起きているのが当然だと思っていましたが「家で一人なのに、わざわざ起きている必要もないよな」ということに気づき、夜9時には寝てしまいました。新年のおめでとうメッセージで起こされるのも嫌なので、携帯の電源も切って爆睡。コロナ禍とはいえ、日本中で「あけましておめでとう。今年もよろしくね」と温かな挨拶が交わされているところ、西山繭子は深い眠りの中におりました。二年前の大晦日、ポーランドのクラクフで将棋倒し寸前のカウントダウンをした私が幻のように思えます。そして数時間後、目覚めたらそこは2021年の世界。わざわざ電源を切った携帯でしたが、チェックしてみたところ届いていたメッセージはたったの1件で、事務所の社長からでした。今年もどうぞよろしくお願いいたします。そして、そんなに早く起きて何をするのかといえば、日課となったウォーキングです。履き慣れたナイキのスニーカーでいざ2021年の世界へと飛び出していきます。ナイキといえば、年末に初めてナイキ原宿に行ったのですが、ついていけないことばかりで己のおばさん化を痛感しました。その日私は、取り置きしてもらった靴下を買うためお店に足を運びました。オッシャレーな店内には、スニーカーが美術館のように並んでいます。そして、それを手にとる若者たち。たくさんの若者たち。どこもかしこも若者たち。パーカーにスウェットにスニーカーの若者たち。だめだ。誰が店員だかわからない。もうこの時点でつまずいてしまいました。その後、彼らの動向をしばし眺めてから確実に店員であろう男の子に声をかけ、何とか頼んでいた靴下を持ってきてもらったのですが、ここからがまた大変。その靴下は友人へのクリスマスプレゼントだったのでラッピングをお願いしたところ「ラッピングはアプリ会員限定のサービスです」とのこと。お兄さんにまずは使えるwifiを教えてもらい、そこに繋げ、アプリをダウンロードし、そして登録。ああ、充電がなくなりそう。焦って適当に入れた誕生日はまさかの1990年元旦生まれ。それでもお兄さんに「できた!これでラッピングしてくれるのよね!?」と鼻息荒く登録画面を見せたところ、彼は「はい!お手数おかけしてすみません!ありがとうございます!」と笑顔。あらあらまあまあ、良い子じゃないの。と、そう思ったのも束の間「ラッピングなんですが、こちらの箱か、こちらの袋になります」と目の前に出されたものを見て、思わず目が点になるおばさん。「え?これ?」目の前にはロゴの入った簡素な箱とただの布袋。「はい。どちらか選んでいただいて、自分で入れて下さい」「え?自分で?」「はい」相変わらず笑顔の彼。かたや動揺を隠せないおばさん。ラッピングといえば「包装紙は何色になさいますか?」「シールはどのタイプになさいますか?」の百貨店スタイルが当然だと思っていた私。ナイキにそれを求めたことがそもそもの間違いなのですが、けっこうな衝撃を受けました。今年はそんなカルチャーショックにも怯まず、未知の世界にも果敢に挑んでいこうと思います。ということで、改めまして2021年もどうぞよろしくお願いいたします!写真は、結局自分でラッピングした靴下です。

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2021.1.11 配信

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website