ゴッホ展│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#186

ゴッホ展

2021-12-13 16:51:00

 先日、上野の東京都美術館に『ゴッホ展』を観に行きました。展覧会とは不思議なもので「ああ、始まったなあ。早めに行かなきゃなあ」と思っているとあっという間に「ああ!もう終わってしまう!」となるのが常で、今回も何とか会期終了2日前に滑りこみセーフ。会場には私と同じく「ああ!気づいたら終了間近!」な上に「ああ!チケット予約の枠も全て埋まっている!」な方々が朝早くから長蛇の列を作っていました。それを横目に「あらあら、みなさん寒い中、大変でございますわね」と優越感にひたる私。自分だってぎりぎりでチケットをとったくせに、本当に器が小さい女です。いまだ女子力と無縁の世界。しかしコロナ禍になってからというもの、事前に予約をする日時指定のチケットが主流となりました。あらかじめ人数が制限されるので混雑を避けられるのは良いのですが、払い戻しがきかないため、急な用事が入ったりすると辛いですね。あと前売り券がないことも。前売り券のメリットは値段が安いだけではなく、チケットを無駄にしたくないから何が何でも行ってやるという気持ちになるところですね。今回展示されている作品の多くはオランダにあるクレラー・ミュラー美術館所蔵のもの。数年前にオランダに行った際、足を運ぼうか迷ったのですが、列車とバスを乗り継いで1日がかりになりそうだったので断念。こうして日本にいながら観られることは嬉しいのですが、その影で「え!あの絵、貸し出し中なのですか!?」と美術館で肩を落としている人がいることがいつも気がかりです。というのも、自分にその経験があるから。以前、NYの近代美術館で「アンリ・マティスのダンスはどこにありますか?」と学芸員に尋ねたところ、彼女は驚きと憐れみの表情を浮かべて「ジャパン…」と答えました。ああ、悲しきすれ違い。まさかこんな名画を貸し出さないよなあと思うものでも、わりと普通に海を渡っていたりします。ただ絶対に日本で見られないものもあって、その昔、仲良くしていた年下の男の子が「あー、最期の晩餐、日本に来ねえかなあ。見てーなー。来たら繭姐、一緒に見に行こうぜ」と言っていた時は「うーん、壁画だから、ちょっと難しいかもね」と優しく教えてあげました。荷物とコートをロッカーに入れ、前回取り忘れてしまった返却されるロッカー代100円を今日は絶対に忘れない!と胸に誓い、入場口へと向かいます。公共の場での検温、消毒が日常となった今、一連の動きももう慣れたものです。ペダルを踏んで手指に消毒液をプシュッとして手をもみもみ。お次は非接触型の顔認証検温器に顔を近づけます。これが結構うまくいかないことが多いのですよね。この日も然り。うんともすんとも言わないなあと顔を近づけたり遠ざけたりしていました。すると係員の方が申し訳なさそうに「…お客様、そちらはQRコードの読み取り機となっております」と教えてくれました。「あ…、すみません」赤面しながらスマホの予約画面をかざします。そりゃ顔を近づけても、うんともすんとも言わないよね。むしろ読み取られなくて良かったよね。ピッ、お客様はNiziUです。みたいな。よくわからないけど。いやー、それにしてもここ最近こういったミスがすこぶる多い。おっちょこちょいと言えば可愛いけれど、私の年齢からすると何かの病を疑うべきかもしれません。コーヒーメーカーにコップを置かずにボタンを押して、テーブルをびしゃびしゃにするとか、オオゼキのポイント10倍デーにポイントカードを忘れて行くとか、もう私の頭の中の消しゴムがフル稼働なのです。また、私は冬と夏で床に敷くラグを衣替えしているのですが、どうしてもへたってくるので2、3年ごとに買い替えているんですね。なので今年も寒くなる前にと10月初旬に冬用のラグをニトリに買いに行きました。今はそれを敷いているのですが、数日前、何と購入したラグとまったく同じものを天袋で発見しました。本当にどうしちゃったのでしょうか、私は。映画のように傍らに頼れるイケメン、チョン・ウソンでもいてくれれば良いのですが、今の私を気遣ってくれる男といえば、斜向かいで働いている工務店のおじさんだけ。朝早くにベランダで洗濯物を干す私に「いってきまーす」と車の窓から手を振って現場へ向かうおじさん。「いってらっしゃーい」と笑顔で手を振り返す私。夫婦かよ。まあ、それでも挨拶を交わすご近所さんがいるのは幸せなことですね。写真はゴッホ展で購入したタオルハンカチです。そして、その下に敷かれているのは家に2枚あるラグです。

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2021.12.13 配信

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website