カーシェア
2023-12-11 10:27:00
先日、家の近くに新しくできたタイムズのカーシェアを利用しました。車種はコンパクトなトヨタのAQUAです。運転しやすそうだなとルンルンとエンジンをかけましたが、何故かうんともすんともいいません。あれ?おかしいなあ。色々と探ってみますが、それでもやっぱりエンジンがかかりません。刻々と過ぎていく貸出時間。これはもったいない、とおばちゃんはいそいそとカスタマーセンターに電話をしました。「あのー、エンジンがかからないんです」「今、お客様の前にはPと表示されていますか?(だいたいこんな説明だった)」「はい。出てます、出てます」「ではエンジンがかかっている状態ですね」「え!今、これでエンジンかかってるんですか!?すごく静かなんですけど!」「はい。ハイブリッドカーなので」恐るべし、ハイブリッドカー。赤子もスヤスヤ眠れる静かさではないですか。ボタンエンジンに慣れた矢先に、今度はこの静粛性。そしてややこしいシフトレバー。適応するのが大変です。それでも、ここ最近はなるべく間隔を開けずに運転をしているので、運転に対する恐怖心は軽減されてきました。この日も母の家に、いただきもののワインを届けてさくっと帰宅。そしてAQUAを返却しようとしたところ、カーステーションである駐車場の入り口には『満』の表示が。あわわわわ。その瞬間、顔面蒼白の私です。実はここ、かなり細い路地の住宅街の中にあり、他の車が全て入っていた場合、私の運転技術では駐車が非常に困難と思っていました。1時間前に借りた時は1台も停まっていなかったのに!たぶんバックから入るのが正解なのでしょうか、ひとまず頭から突っ込んで停車。しばしシンキングタイム。ふとバックミラーを見ると、そこには駐車場の端にしゃがみこみ煙草を吸っている青年の姿が。窓を開け、大声で彼に話しかけます。「今から、何度も切り返すけど気にしないでね!」青年は「あ、はい」と驚いたように立ち上がりました。そして私は必死でハンドルを切り返し、お前、駐車する気あるんか?という謎の軌道を行ったり来たり。見かねた青年が声をかけてきました。「あのー、後ろ見てましょうか?」「見られたところでわからないから大丈夫!ありがとう!」これもすべて、私に免許を与えた東京都公安委員会のせい。無下に断ったにも関わらず、心優しき青年は「はい!そのまま!OKです!1回右にきりましょう!」と声をかけてくれたり、自販機の横にあるゴミ箱をぶつからないようにどかしてくれたり、本当に親切です。そして何とか無事に駐車。これだけ助けを借りておきながら、車を降りて「バッチリじゃない?」と言ってしまうあたり、己の図々しさに驚いてしまいます。「お礼に焼肉でも行く?」と言い出しそうな私に気づいたのかは知りませんが、青年は「バッチリっすね」と言って足早に去って行きました。今度会ったら行こうぜ、焼肉。
そして夜になり、この日は母と二人でコベント・ガーデンにある英国ロイヤル・オペラ・ハウスに。(またもや流れが雑!前回の『やっとロンドン』の続きです)私のバレエの発表会での『ドン・キホーテ』しか観ていない母が、英国ロイヤルバレエって何とまあ贅沢なのでしょう。本当はナタリヤ・オシポワがキトリをやる予定でしたが、出発前に怪我で降板とのアナウンス。残念ではありましたが、それでもマヤラ・マグリとマルセリーノ・サンベのキトリとバジルは素晴らしかった!本当に素晴らしかった!でも、本当に申し訳ないことに時差ボケに勝てず!上演前から、自分でも第二幕の『夢の場』は危ないなーと思っていたのですが、まずは母が隣でゆらゆら、かくん、はっ!ゆらゆら、かくん、ぐー。そして私も、いつの間にかドルシネア姫に導かれて夢の中へ。それでも第三幕の楽しい宴はしかと見届けましたので、大満足の『ドン・キホーテ』でありました。そして翌日は荷作りをして、花の都パリへ!ユーロスターに乗るのは私も初めてだったのですが、今回は母のためにとにかく利便性を考えてビジネス・プレミア席を予約。優先チェックインだったり、スーツケース置き場の争奪戦の必要がなかったり、ラウンジが使えたりと良いこと尽くめです。まあ、もちろんそれなりのお値段もしますからね。ゆったりとした席で母と向かい合ってシャンパンで乾杯です。バイバイ、ロンドン。いざ、パリへ。さあ、そこで娘は2020年から通い始めたアテネ・フランセでの成果が発揮できるのか?そして、母をもてなすことができるのか?何よりも、娘はパリ編をきちんと書くのか?写真はユーロスターのグラスです。「これ、持って帰りたいんですけど、ダメですか?」と尋ねたところ「ダメです」と。ユーロスターの料金、2人で650£でしたけど、やっぱりダメですよね。
2023.12.11 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website