TOEIC
2025-04-14 09:01:00
毎週金曜日は新しい映画が封切りになります。4月11日には観たい映画が7本も同時に公開になり、何から観ようか頭が痛い西山です。なかでも前評判があまり良くないジャッキー・チェンの最新作『A LEGEND 伝説』は特に気になるところ。AIのジャッキーなんて観たくもないけれど、本物のジャッキーも出演しているわけですから、ファンとしては見逃せません。ああ、ジャッキーにブリジットにリーアムにアマチュアにゲッベルスにシンシンにファン・ジョンミン!何としてでもすべて観たい!そんなことを考えていたら、TOHOの会員制度が変更になるとのお知らせ。なんと6回観たら1回無料がなくなる!年会費も500円に値上げ!新しいポイント制度は、毎回ポップコーンとドリンクを買って映画を観る富裕層にとっては良いことずくめ。一方で私のように飲食もしなければパンフレットも買わない、そもそも割引になる曜日にしか観に行かないという貧乏人はばっさり切り捨てられた感じです。そりゃあ、どこも財政難ですから富裕層を大切にしますよね。でもね、今読んでいる河上肇の『貧乏物語』には書いてありましたよ。富裕層の贅沢がさらなる貧乏人を生むのだと。世の中の多くが富裕層のために仕事をし、その結果、必要のないものばかりが生産されるのだと。これは大正時代に書かれた本ですが、私たちは今もずっと同じ問題を抱えているように思います。そこにきてこのトランプ関税。これまでは「トランプ、ウケるw」という感じでしたが、ここまでくるともう笑えません。ああ、世界はこの先どこに向かっていくのでしょう。そんなことを考えながら、関税はtariffとつぶやく私。import、export、persuade、exempt、Trump、Ishiba、Mukatsuku。ふむふむ、メモメモ。なぜ私がこのように英単語をつぶやいているかと言えば、先日、初めてTOEICを受けたからであります。
春の小雨が降るなか迎えた試験当日、忘れ物がないように受験票や筆記用具をいまいちどチェックする几帳面な私。普段から愛用しているトンボ鉛筆の他にもう1本、特別な鉛筆をしのばせます。それは第16代アメリカ大統領リンカーンの第二の故郷であるイリノイ州スプリングフィールドを訪れた際に購入したもの。英語の問題を解くので、なんとなくのゲン担ぎです。試験会場は都内の某大学。学生時代に戻った気分でウキウキ、なんて思っていたのですが、会場はわりかし張りつめた空気で、私の隣の青年などは試験開始ぎりぎりまで鬼の形相で参考書とにらめっこをしていました。確かに、仕事や留学など必要にかられている人にとっては大切な試験ですものね。いっさい勉強をせずに「とりあえず受けてみよー」という呑気な私とはワケが違います。そして、しんと静まり返った教室で、いよいよ試験開始です。まずはリスニング45分間。TOEIC経験者の姉から「最初の写真描写はほぼサービス問題」と聞いていた通り、まあそんなに難しくはない。いい調子。しかしそのあとの問題は少しでも集中力を欠こうものなら、もうお手上げ。後半になるほど適当にマークシートを塗りつぶすことが増えていきました。リーディングの前にすでに疲労困憊です。しかしここからは75分間。それだけあれば時間が余っちゃうでしょ、とちんたらやっていた私が70分後に泣きを見るのでありますが、TOEIC初心者の私はそんなこと露知らずじっくりと問題を読んでいきます。それにしても、わからない単語が多すぎる。「えーっと、ナンチャラカンチャラ。ナンチャラmaterial。ん?material?」その瞬間、脳内に響くはマドンナの『Material girl』。「さむぼーい、きすみー、さむぼーい、はぐみー♪」ピンクのドレスを着たマドンナとタキシードの男たちが頭のなかで踊り出します。AメロBメロ、サビ。そしてまたAメロと繰り返しましたが、結局、何だか愉快な気分になっただけでmaterialの意味はわからずじまい。何をしているんだ、私は!次だ、次!初めて目にする単語の荒波にもがきながら、必死に読み進めます。えーん、難しいよお。あまりのわからなさに涙目になった私は、そうだ!これはもうリンカーンの力を借りるしかない!とトンボ鉛筆からリンカーン鉛筆に持ち替えました。そして、きっとこれであろう答を塗ったその時、ほぼ色づいていないマークシートに驚愕。「薄っ!リンカーン薄っ!」HBなどの表記が何もないリンカーン鉛筆は100Hを疑う薄さです。薄いの薄いによる薄いのための鉛筆!慌ててトンボ鉛筆に戻しましたが、残り時間5分をきったにも関わらず、まだ手をつけていない問題が20問ほど。ダメだ、こりゃ。あとはひたすらマークシートを塗りつぶす作業です。ABCDをまんべんなく。でも私A型だから、ちょびっとAを多めにね。とまあ、こんな具合に受けたTOEIC、私の予想では300点とれれば御の字と思っていたところ、なんと480点。志の低い私としては大満足でありますが、リスニング320点に対してリーディングがその半分の160点というのは、英文科卒の人間としてはかなりまずいのでは。うーむ。では、こう考えてみるのは、どうだろう?今回は初めてのTOEICで時間配分などがわからなかった、ゆえに次回受けた時の点数が本当の点数。うん、それでいこう。ということで、早速6月開催のTOEICに申し込んだ私。次回も勉強はせずに臨みますが、リンカーン鉛筆は絶対に持って行きません。
2025.4.14 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website