フィッシング詐欺│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子

#267

フィッシング詐欺

2025-05-26 11:48:00

 クリスピークリームドーナツのダズンボックスをお土産に姉の家を訪れたところ、甥っ子たちがとても喜んでくれました。高3、中2、小6、まだまだ可愛いなあ。このダズンボックスは、持ち運びやすいように6個を2箱に分けてもらうこともできるのですが、開けた時にドーナツが12個並んでいる方がワクワクするので、大きな箱を選びました。私のクリスピー愛は以前こちらでも書きましたが(第230回『ドーナツ』参照)、愛を貫き続けて今ではプラチナ会員ですので、このダズンボックスも20%オフで購入できるのです。愛しすぎてアメリカ本社の株まで購入したのですが、そちらは12ドルで購入した株が気づけば3ドル。とはいえ保有しているのは1株だけですし、何しろ「愛」ですから、頑張れクリスピーという気持ちしかありません。甥っ子たちに「食べる時はこの帽子をかぶってね」とお店でいただいた紙の帽子を渡したのですが、高3男子まで素直にかぶるあたりは、姉の教育の賜物だなと思いました。そしてその夜、ベッドに入った小6男子が姉にこう言ったそうです。「あんなにたくさんドーナツを買えるなんて、まーたんってお金持ちだね」ダズンボックスは、どのドーナツを入れても金額は変わらないので、私はここぞとばかりに単価の高いものを選びました。その叔母さんをお金持ちだなんて。無印良品の野菜が長持ちするポリ袋を1回で捨てるのがもったいなくて、何度か繰り返し使用している叔母さん。出なくなった歯磨き粉のチューブをハサミで切って中身をこそいで最後まで使い切る叔母さん。近所のスーパーで卵が179円という特売日に意気込んで開店の少し前に行ったら私しかいなくてちょっと恥ずかしいと思った叔母さん。その叔母さんをお金持ちだなんて。子どもの発想の純粋さと12個並んだドーナツの力はすごいものですね。
 もちろんお金持ちではない私なのですが、そんな私からお金を奪おうというヤカラが世の中にはいます。その最たるものは税金です。しかしこちらは払わないわけにはいかないので、「コメを買ったことがない」という大臣から「コメが減価償却される」という大臣に変わっても、お国のために涙を飲まなくてはいけません。少し前に、株を保有している会社からお知らせがありました。これまで株主優待で2kgのお米をもらっていたのですが、今回はそれが抽選になると。抽選にはずれた人は、もれなく横須賀海軍カレー5パックになるそうです。いや、カレーも好きだけどさあ。やはり米が欲しい。米、当たれ!こんな風に国民はみな日々努力と試行錯誤をしているのですから、政治家にはもう少しまともな仕事をしていただきたいですね。話がそれましたが、税金だけではなく私からお金を奪おうというヤカラは他にもおりまして、顔の見える相手ならば対処もできるというものですが、実態の掴めないものが厄介なのであります。これまで、オレオレ詐欺やフィッシング詐欺といったニュースを目にするたびに、私には無縁のことと思っていました。それでも念のため母には「こういった類の電話がかかってきたら『美人な娘と相談します』だよ。自分が使っている銀行の支店を名乗る電話でも、まずは『美人な娘と相談します』だよ」と常々伝えていました。しかし!なんとその美人な娘がまんまとフィッシング詐欺にひっかかるというマヌケっぷり!結論から言いますと、金銭的な被害には遭っていないのですがクレジットカードは作り直しました。自分でもどうしてこんな不注意なことをしてしまったのか、「ひどく疲れていた」としか言えないのですが、酷似したカード会社のメールに対応してしまったのですよね。カード情報を登録して最後のクリックをした瞬間、「あれ?」何かがおかしいと気づきました。すると間髪入れずに群馬県から私のAmazonアカウントにサインインをしたとの通知。仕事が早い!でも私だって仕事は早いのよ!会社を定時で帰るための日々鍛えている創意工夫と集中力は伊達じゃないのよ!まずはカード会社のサイトからすぐにカードを止め、登録しているサイトで不安があるものはパスワードを変更したり、紐づけをやめたりと設定をし直しました。あとは支払いが滞ってはいけないので止めたクレジットカードで払っていたものを諸々変更。おかげで水道料金は口座振替の方が割引があってお得だと知りました。煩わしい作業ではありましたが、色んなことを見直す機会にもなったなと思います。そしてこのタイミングでお財布も新調。これまでずっと100均のビニールケースを使っていて、まわりの人には「貧乏くさい」「ありえない」「集金袋」と揶揄されていました。とても使いやすいので意に介さずだったのですが、先日、八王子の道の駅で素敵な財布に出逢いました。サイズもちょうど良いピンク色の可愛らしいお財布。こちらは福岡刑務所で作られたものだそうです。これを作った受刑者の罪状がフィッシング詐欺だったとしたら、それはそれで縁を感じますね。

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2025.5.26 配信

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website