値上げラッシュ
2025-10-12 10:35:00
とある休日、朝から映画館に行くと売店に並んでいる同僚の姿を発見。その傍らには可愛い彼女が。職場では決して見せない笑顔でお喋りしている彼を見て「休み明けにいじり倒そう」と心に誓い、声をかけずに素通りしました。そして数日後、彼は私に会うなり「西山さん、この前日本橋の映画館にいました?」と尋ねてきました。どうやら向こうも私に気づいていたようです。「あ、西山さんだ!と思ったんですけど、声かけたらぶっ殺されるんだろうなと思ったので、声かけませんでした」と。おお、さすが数年一緒に働いているだけあって、私の性格をちゃんとわかってるねえ。「何を観たの?」話しを続けると、彼も『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』を観ていたことがわかりました。そこから作品についての感想になったのですが「え?そんなシーンあったっけ?」「ビル・マーレイ?どこに出てた?」と首を傾げっぱなしの私。鑑賞中、私としては少し寝ちゃったなという感覚だったのですが、彼と話したところ6割ほど寝ていたようです。この翌週に観た『ブラック・バッグ』でもたいぶ寝てしまいまして、抱いた感想が「この秋は、茶色いニットを買おう」にとどまりました。劇中でケイト・ブランシェットが着ていて素敵だったんですよね。立て続けに寝てしまうなんて、きっと疲れているんだわ、私。と思いきやドニー・イェン兄貴の『プロセキューター』は目をらんらんとさせて最後まで楽しんでいたので、やはり私はわかりやすい映画が好きなようです。休日は、このように映画館にいることが多い私ですが、この秋の値上げの波はそこにも押し寄せておりまして、よく行く新宿ピカデリーのリピーター割引は1400円から1500円になるそうです。たかが100円、されど100円。通っているヨガスタジオなんて、月会費がいきなり2200円の値上げです。これは、かなり大きい。実はこの3カ月、私は朝から晩までApple Musicを楽しんでいました。サブスク嫌いの私が何故かといえば、フラーム25周年の時にもらったAir Pods Proを2年の眠りから目覚めさせて開封したところ、3ヶ月無料キャンペーンがついてきたからです。忘れないように料金が発生する期限をカレンダーに入れて3ヶ月だけと思い聴き始めたのですが、これがとっても良くって良くって。昔聴いていたあの曲からこの曲まで、エンドレスで聴きまくる日々です。掃除や洗濯、ほぼしない料理も、音楽を流しながらだといつもより楽しんでできる気がします。これは解約せずに続けても良いかなと考えていたのですが、そこにきてヨガスタジオの値上げ。Apple Musicは月々たったの1080円じゃないか!ランチ1回分にもならないじゃないか!とも思うのですが、堅実に暮らしていく上で固定費は抑えるに越したことはないよなと。そうかといって、ここ最近感じている更年期のだるさにヨガはとても有効なので、こちらを削るのは難しい。会社の若い子たちと話していると、みんなサブスク三昧で、どうやりくりしているのだろうと老婆心ながら心配になってしまいます。この前も私がアマプラに入っていないと言うと20代女子は「アマゾンで買い物しないんですか!?」と珍獣を見るような表情を浮かべていました。「買わない。むしろ何を買うの?」と尋ねると、日用品はすべてアマゾンとのことでした。それはスーパーや薬局ではダメなのかと訊くと「買いに行くのが面倒くさい」と。「だってお水とか重いじゃないですか?」「お水は買わない。水道水だから」野性味あふれるおばさんに唖然とする若者。その彼女はウォーターサーバーを使っていると言っていました。私はいまだにウォーターサーバーを成功者の証だと思っているふしがあるので、何だか少し悲しくなってしまいました。後日、私はウルフギャングステーキハウスのハッピーアワーで姉に尋ねました。「水道水を飲むのはいけないのかな?」「日本だから大丈夫だよ。私は絶対に飲まないけど」「ふーん」「それよりも鈴木亮平ってなんであんなにかっこいいの?」「Aくん(姉の旦那)と変わらないよ」「は?性別しか共通点がない」ハッピーアワーというのは、本来軽く飲んでつまんでという感じだと思うのですが、私たち姉妹はシャンパンを飲んでワインを飲んでワインを飲んでワインを飲んでを繰り返し、お会計1万3千円。わー、Apple Music1年間聴けちゃうー。でもまあ、それとこれとは別の話ということで。お金をかけたいところは人それぞれ。ウォーターサーバーの人もいればハッピーアワーの人もいるのです。しかし、この値上げの大波。日本のトップが変わろうと、国にはまったく期待ができないので引き続き己の努力で乗り切るしかないのかなと。写真はその努力が実を結んだキャンペーンの当選品であります。能登のお米食べ比べセット3kgです。繭子、嬉しい。
2025.10.13 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website