さんきゅー2025年│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Cast

西山繭子

#281

さんきゅー2025年

2025-12-19 17:20:00

 毎年12月も中旬を過ぎると、身体が「来年はちゃんとするモード」に切り替わり、色んなことが投げやりになる西山です。来年は絶対に食べないと誓いながらポテトチップスのパーティーサイズを食べたり、来年は無駄遣いをしないと誓いながら日本橋高島屋でちょっとお高い服を買ったり、来年は人に優しくすると誓いながら退社間際に「西山さん、ちょっと良いですか?」と声をかけられ「良くないです。帰ります」とタイムカードを押したり、来年は美容に気をつけると誓いながら試供品でもらったオールインワンゲルを塗って眠りについたりします。12月後半の私はとってもダメな女です。でも、いいの。来年はちゃんとするから。何しろあたくし、年女ですからね。午年だけに何でもウマくいっちゃうぜってな感じで、今から2026年が楽しみで仕方ありません。ではその前に、年末の恒例となりました2025年の振り返りをしてみたいと思います。
 1月、年明け最初に観る映画は絶対に失敗したくない。昨年は『スーパーバッド 童貞ウォーズ』を選んで大満足だったが、今年の『市民捜査官ドッキ』も良きスタートとなる。どちらもシネマート新宿での鑑賞。いずれの配信サービスも利用していない私にとって映画館はとても大切な場所。同じビルにあるキノシネマしかり、たくさん足を運んで応援していく所存です。2月、ゲレンデで三上博史と出逢いたいと思いたち、スキー教室がついたバスツアーの予約をする。実に35年ぶりのスキーとあって不安が募る。遭難した時のためのチョコレートなどをリュックに忍ばせ早めに床に着いたが、緊張のあまりなかなか眠れない。翌朝、ああ寝不足でスキーなんて危険極まりないわと思いながらスマホを手にとったところ「大雪のためツアー催行中止」というお知らせが届いていた。集合場所に向かう前に気づいて良かった。三上博史はお預けとなる。3月、昨年仕込んだ味噌樽を開ける。大豆をつぶす作業に嫌気がさし、途中からかなり大雑把になった上に納豆菌が入ってしまったのではと心配をしていたが上々の出来栄え。発酵の力とはすごいものだ。そしてまた来年用の味噌を仕込むために大豆を茹で、つぶす。この地味で孤独な作業の傍らに三上博史がいてくれたら、さぞかし楽しかろう。4月、熱烈なジャイアンツファンの甥っ子2号と東京ドームに行く。初めての外野席。攻撃の間は座ることが許されず、また点数が入るとまわりの人とグータッチをする等、戸惑うことばかり。疲れた脳に甘いものをとサーティーワンアイスクリームに行きロッキーロードを頼みたいところ、間違えて「ロッキードください」と言ってしまう。どうせ間違うなら「まぁそのぉ」とモノマネでも入れて完璧にしたかった。5月、気分を変えたくて20年ぶりに新しい美容院を開拓する。美容師さんもお客さんも年齢層が高く、とても居心地が良い。『女性自身』などが置いてあるあたりもわかっている感じで素晴らしい。6月、ハノイでがっつり風邪をひく。空港に向かうタクシーで何度も鼻をかんでいると、運転手さんが翻訳アプリを使いながら鼻がスースーするスティックをくれた。「カムオン」と礼を言い受け取ったが、そのあと空港のゴミ箱に捨てた。本当に申し訳ないとは思っている。でも外国で知らない人から物を受け取ったら絶対にダメ。スティックの中身がコカインかもしれないし。映画『ブロークダウン・パレス』を見ればその恐ろしさがわかるはず。7月、新宿駅にある某チケット売り場のおじさんの態度が非常に悪かったので、ここぞとばかりに低姿勢に出ながら「こいつ、いつか誰かにぶん殴られるだろうな」と観察する。それからというもの、そこを通るたびにおじさんがいるかをチェックするのだが、見かけないので誰かにぶん殴られて退職したのであろう。8月、エルメスで担当さんとお喋りに興じているとバーキンが回ってきてしまう。お値段200万越え。「うーん、色が好みではないので」とそれっぽい理由を言ってお断りする。私の次に購入権がある中国人男性がガッツポーズをしていた。9月、20代の頃に一緒に仕事をし、あれよあれよと気づけばオータニの総支配人となった髙山さんからのご招待でプレス発表会&試食会に行く。うどんにキャビアがのっており、私の馴染みの丸亀製麺とはだいぶ違うことにたじろぐ。10月、昨年から気になっていたUGGの厚底ブーツを店で試着する。鏡の前に立ってみると、長年サーカス団にいる変なおばさんのようだった。厚底が似合わないなんてことがあるのかと驚くばかり。11月、あっという間に父の三回忌。いまだに片づかないこともあるが、この二年でかなりメンタルが鍛えられたので、どうってことはない。大切にしてきた信念をそのまま貫くだけ。12月、フラームの来年用のポストカードの撮影で「可愛い」「綺麗」とたくさん言われ、そんなはずはないと疑念が生じたが、あがりの写真を見るときちんとフラーム女優の顔をしていて安心。ふう。今年も無事に一年を過ごすことができました。来年も皆さんに楽しんでいただけるよう、まずは私自身が日々を幸せに生きていこうと思います。写真は、いつかの日にうつろな顔で中森明菜を歌う私です。こちらはフラーム女優の顔ではありませんね。

image2

2025.12.22 配信

最近のコラム

西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website