シルク│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#298

シルク

2026-09-13 23:43:00

 東京の最高気温が前日と比べて一気に8度も下がった日、モンベルのスペリオシルクのインナーを開封しました。こちらは数カ月前にモンベル会員限定のキャンペーンで当選して手に入れたもの。モンベルさん、ありがとうございます。シルク100%ということで、七分丈タイプはお値段も1万円越えの高級品です。そんな高級なインナーに袖を通すのは初めてのこと。さて、どんなものかと着てみたところ、あまりの着心地の良さに思わず声が出ました。「わー、気持ちええー」しっとりとした生地は肌に吸いつくようで、そしてほんのり暖かく、身にまとっているだけで多幸感に包まれます。良質なものってこんなにも違うのですね。シルクは言わずと知れた高級素材ですが、私は名前が繭だけにシルクとは人一倍相性が良いと思っています。数年前の誕生日にフラームの社長にプレゼントしていただいた真綿の掛布団で眠るようになってからというものの毎晩ぐっすりです。この布団を選ぶ際、コレド日本橋の西川本店で布団マイスターのようなおじさんと一緒に真綿を引っ張り合いっこしたのも良い思い出。これは手引きという伝統的な手法で、こうしてもちぎれないというのが真綿のすごいところだと教えてくれました。先日は高崎の多古碑記念館で糸つむぎの体験をさせてもらいましたが、繭から生まれた生糸というのはとても強いのです。おお、私の目指すところですね。何だか自分の名前がますます好きになってきます。その昔、父と編集者と一緒に食事をしていた時、編集者が私の名前の由来を父に尋ねました。私の名前の由来は、以前もここで少し触れたことがありますが「姉の名前と同じ画数」というかなりテキトーなもの。ですので、改めて父の口からそんな話を聞かされるのはイヤだなあと思っていたところ、父がこう答えました。「繭からできる絹というのは、昔から世界や文化をつなげる要になっていたからね。そういった価値のあるものであり、人々に大切にされてきたから。この子にもそんな人間になって欲しいという思いがあってね」それは、初めて知る自分の名前の由来でした。そんなことを考えていてくれたのかと思わずじんとしました。「素敵なお話ですね」編集者の言葉に「私も初めて聞きました」と娘がちょっと照れたように笑うと、父が言いました。「うん、いい話だろ?今、思いついたんだ」大笑いする編集者の横で、怒り心頭の娘です。じんとして損したわい。「本当はね、上の子と同じ画数にしたの。だって上の子は難しい字なのに、この子だけ簡単な字だったら不公平でしょう」と父はよくわからない持論を展開。姉の場合はきちんとした由来がありまして、それは韓国の名付けの慣習『行列字(トルリムチャ)』に則してのこと。父の名前にある『忠』の長子には『顕』の字を使うといった一族のルールがあるたからです。そうしてしっかりと大切に名付けられた姉の1年半後に生まれた私には「考えるの面倒なんで!じゃ、同じ画数で!」と両親が話したかどうかは知りませんが、その頃父は絶賛不倫中でしたから、心ここにあらずだったのでしょう。それでも鎧子、甕子、蝉子、このあたりが選ばれなかっただけでも感謝します。
 そんな繭子のためのシルクでありますが、1つ難点がありまして、それは手入れが大変だということ。このモンベルのスペリオシルクも中性洗剤で手洗いをするわけですが、ここまでは良いんです。問題は脱水。10年以上前にリサイクルショップで購入した我が家の洗濯機は、脱水時間の設定ができません。そうなるとタオルドライをしてから干すことが推奨されるわけですが、ちょっと待って。タオルの洗濯物が増えるじゃん!なんですよ。そんな面倒なことを日常的にやっている人なんているのでしょうか。モンベルのスペリオシルクを持っている人にどうしているのかぜひ訊いてみたい。それでも家で手洗いできるシルクはまだ良心的だと思います。以前持っていたシルクのワンピースやシャツなどは1回着たらクリーニングに出していて、その都度3000円ほどかかっていました。そうなると、どうなるか。まあ、当然着なくなりますよね。ですので、今の私のクローゼットには手入れが楽ちんなものしかありません。本当はね、パジャマと枕カバーもシルクにしたいです。でも洗濯のことを考えるとやはり綿100%。ちなみに愛用している枕カバーは、もともとシーツだったもの。シーツってだいたいお尻のところが薄くなってダメになるのですよね。でもその箇所以外はほぼノーダメージ。ということで母に頼んで枕カバーを作ってもらいました。何と4枚もできましたので、もう一生足りると思われます。と、貧乏くさい話を書いていたところ宅配便が届きました。何とまさかのモンベルから。トレールチャイがご当選ですって。モンベルのキャンペーン、私しか応募していないのかしら。何はともあれモンベルさん、ありがとう。今後も会員継続いたします。

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2026.9.14 配信

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website