再び韓国│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#301

再び韓国

2026-10-26 11:19:00

 この夏、20年ぶりに韓国を訪れた際、たくさんの人がリピーターになる理由がわかるなあと納得して帰国したわけですが、私も見事にそのうちの1人になりまして、3ヶ月も経たずに再び渡韓いたしました。しかし今回はいつものぶらり1人旅ではありません。なんと大好きな姉との旅行です。私が姉のことをどれぐらい好きかと言うと、もし神様が1つだけ願いを叶えてくれるとしたら、姉が私よりも1秒でも長生きしますようにとお願いします。それぐらい好き。姉がいない世界なんて、ちょっと想像しただけでも寂しくて涙が出ちゃう。そんな姉がここ最近、韓国ドラマにハマっているのは少し前に書きましたが(第299回『ヘイニーズ』参照)、そうなるとやはり韓国に行きたくなるわけですよ。しかしながら、姉は仕事の休みも取りづらいし、三男児(19歳、15歳、13歳)の母親ですから、旅行なんてとてもじゃないけど無理。いつか一緒にハワイに行きたいねえ、香港で美味しいもの食べたいねえ。それに対して姉も「そうだねえ。行きたいねえ」と言うものの、叶わぬ夢だと思っていました。それなのに今回の韓国に関しては突然「休みとった!あの子たちも大丈夫!」とこの20年間見たこともないフットワークの軽さを出してきやがって、このおばさん、どれだけヘインが好きなんだよとちょっとムカつきました。
 今回の旅行は2泊3日。CAをしている姉ですが、プライベートでの旅行となるとてんでダメな感じになります。オンラインで事前に申請する入国カードも苦戦していましたし、ZIPAIRはターミナル1だと100回説明しても「LCCだからターミナル3じゃないの?」と101回尋ねてきたり、さらには「向こうで100ml以上の化粧水とか買ったら荷物預けなきゃいけないよね?」と言って私に「おたく、何年航空会社で働いてるの?」と呆れられる始末。年子で一緒に育ってきたのに、性格もまったく違います。私はけっこうきっちりしているタイプなので『今日できることは今日やる』の人ですが、姉はとても大雑把なので『今日できるけど明日もできるなら明日でいいかとのばしのばしで気づけば大晦日』という人です。そしてすこぶる楽観的。心配性でネガティブ思考の妹は、この姉の性格にいつも救われています。普段から気づけば2時間も長電話しちゃう私たちなので、2人での旅行なんてテンション爆上がりでスカイライナーからお喋りがとまりません。成田空港の免税店では私がシャネルの口紅を試したところ、姉が「わ!まーたん、可愛い!石原さとみみたい!」とわざと大きな声で言い、販売員さんの失笑を買うという嫌がらせを受けましたが、そんなところも大好き。機内では1つ後ろの席に私の中高の同級生が座っているというミラクルも起き、飛行機は韓国に無事到着。仁川空港からホテルまでは事前に購入していた空港バスのバウチャーを窓口で引き換え「6A乗り場だよ」と姉を先導、運転手さんには「チョンノイガ」と降りたい場所を伝えて通り過ぎを防止します。「ああ、まーたんトラベルは楽ちんだわあ」と笑顔の姉。バスの車内、昔だったら窓側はマンネ(韓国語で末っ子の意)の私と決まっていましたが、私はいつでも来られるので姉に譲りました。窓にへばりついた姉は「わ!ヘインの広告!」「お!ここはBTSが無料ライブをやったところだ!」と大興奮で、隣の妹はそんな姉の姿に「うん。良き良き」と思いつつ、おば、BTSにも足を踏み入れちゃったかあーとやや心配。だって本当にチケット取れないって聞くもの。そしてバスはチョンノイガに到着です。今回の宿泊は前回気に入った東横イン江南がすでに満室だったため、ドーミーイン仁寺洞を予約しました。大浴場もあるし、夜鳴きそばも食べられるし、日系ホテル最高です。しかし私たち姉妹の場合、ホテルに対する感覚の違いが非常に大きい。姉がステイ先で宿泊するのは4つ星レベルのホテル。一方、妹は世界各国、独房のような部屋で過ごしてきました。今回はそんな姉に気を利かせて少し広めのスーペリアツインを予約したのですが、やはり姉は「すんごい狭い。バゲージラックは?」と言い出す始末。「お客様!そんなものはドーミーインにございません!」姉はしぶしぶ床にビニール袋をひいて荷物を置いていました。直で床置きしたくないらしい。私が「良かった。ビニール、お姉ちゃんが持ってるだろうから持ってこなかったんだ」と言うと「あのね!ビニールを笑う人間はビニールに泣くよ!」と謎の説教。姉の荷物には様々なサイズのビニールが入っていました。さすが、おば。そして気づけば文字数に到達。韓国の旅行記を書くつもりが、チェックインまでしか行きつきませんでした。写真は美味しかったカンジャンケジャンです。旅行だというのに、これを含めて3枚しか写真を撮っていなかったので、何かないかと姉に尋ねたところ「え?写真?カンジャンケジャンしか撮ってない」とのこと。このあたりの感覚は姉妹で一緒のようです。

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2026.10.26 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website