「がーさすファンキー大統領」
2014-06-30 14:11:00
はじめまして。渡辺祐と書いてワタナベタスクです。自称・街の陽気な編集者。なにせ編集業と駄文業でもう33年。思えば遠くへ来たもんだ。いや、ここは「遠くへ来たもんたよしのり」の方がいいかしらね。または「遠くへ来たもんでーる副大統領」。後の駐日大使。いらないですね、このくだり。
さて。
そんな中年男性に何か書いてちゃぶ台という指令が電子メールにて飛んでまいりまして、薄い頭で考えたのが「20世紀のファンキー遺産」を21世紀に紹介していこうという本稿。しかも動画付き。おお、さすがは21世紀。IT革命。まさに動画共有時代にふさわしいと来たもん……でーる副大統領。
タイトルは「LAND OF 1000 DANCES(邦題:ダンス天国)」。ご通家はおわかりの通り、1966年にウィルソン・ピケットさんというやや柄の悪いR&Bシンガーが歌って大ヒットした曲から拝借いたしました。「♪ナーナナナナ」のあの曲ね。わかります? なお「邦題」の部分は必要なのかというご指摘もございましょうが、これは邦題界における傑作でありますからして外せません。いいでしょ「ダンス天国」。だって、まんま訳したら「千の踊りの地」ですよ。ジブリ?
余談ですが、このウィルソン・ピケットの「ダンス天国」誕生秘話も登場するのが2014年7月に公開されるドキュメンタリー映画『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』。それはもう奇跡と呼びたいほどに、数々のヒット曲がレコーディングされたフェイム・スタジオとマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオのまさに泥臭い物語。これが面白い! 常套句ですが「音楽好き必見」。先ほど故人に向かって「やや柄の悪い」などと書いてしまいましたが、この映画を観ればおわかりいただけるかと。
とまあ、前置き駄文が長くなりましたが、第1回は、泣く子も黙る、もしくはさらに泣くという(笑)、ジェイムス・ブラウンさんの強烈なダンス・パフォーマンスをご覧いただきましょう。ジェイムス・ブラウンさん(以下JB/1933年5月3日生まれ-2006年12月25日没)がいかに偉大なるエンタテインナーであるかということについては、あちこちで書かれておりますのでここでは省略。なにせ見ればわかりますから。
こちら、1964年(東京オリンピックのあった昭和39年です)にJBがかの有名な『T.A.M.I Show』で披露した壮絶なパフォーマンス。18分ぐらいあって長いので、お時間のない方、または食わず嫌いの方は「12:45」ぐらいからの「汗だくでバラードを歌いきってそのまま次の曲(NIGHT TRAIN)を歌い踊り出すJB」だけでも見てください。
[James Brown - Full T.A.M.I Show Performance, 1964]
あははははは。あ、笑っちゃった。人間は、凄すぎるモノを見ると笑います。いやあ、凄い。どうなっちゃってんだよ、その脚。JBは昭和8年生まれですから、この時点で31歳。痙攣しながら後ろに下がる動きはマイケル・ジャクソンのムーンウォークの原型だし、お得意のケープアクト(日本ではマント・ショウという言い方の方が一般的ですな)は忌野清志郎さんも横山剣さんも導入してますし、ラストでステージの去り際に見せる「股割りからーの直立」は、プリンスはもちろん藤井フミヤさんの得意技にもなっているわけで、その影響力たるや計りしれません。
これでまだお腹いっぱいになってないというファンキー食いしん坊の方には「James Brown Italy 1971」という動画もオススメです。「SEX MACHINE」の頃ね。検索推奨。グッゴウ。
ちなみに『T.A.M.I Show』には、他にチャック・ベリー、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、ビーチ・ボーイズ、マーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームス。そしてローリング・ストーンズなどが登場。いやはや(笑)。常套句ですけどね「音楽好き必見」。現在Amazonなどで輸入盤DVD(リージョンフリー)で入手可能です。タダで映像を見たら御礼に何か買う。芸にはご祝儀。それが大人というものだから。(以下次回に続く)
1959年7月3日生まれ、神奈川県出身。自称「街の陽気な編集者」。
80年代前半に雑誌「宝島」編集部に潜り込み、80年代中盤にふとした理由でフリーに。
以来、編集者、雑文業者、放送作家(など)として活動。
編集プロダクション「ドゥ・ザ・モンキー」を主宰する傍ら、
東京のFM局J-WAVEの番組「Radio DONUTS」ではDJも務める。