デンジャラス・ゾーン
2014-10-27 08:05:00
先日、初めてDJなるものに挑戦いたしました。最初DJと聞いて「吉田照美さん的な?」と思いましたが、そちらではなく「DJキャオリーーーー!」の方でした。お世話になっている須永辰緒さんからのお声がけということもあり快諾させていただいたのですが、前日、持って行く曲を選ぶ時点になって、何で引き受けてしまったのだろうと頭を抱えました。「好きな曲をかけてくれれば良いよ」と言われてはいたけれど、私の音楽センスは本当に見境がなくて、しかもやや古い。それが80年代とかだったら格好良いのだろうけど、90年代前半という何とも微妙な感じ。いまだに『Informer』で一世を風靡したsnowのCDを聴いているし、ここだけの話、タワレコ新宿店で開催された彼の握手会にも行ったことがある。クアトロでやったLIVEも行ったけど『Informer』以外そんなに盛り上がっていなかったなあ。勝手な想像だけど三木道三さんのLIVEもそんな感じになるのかな。
とにかく私の音楽センスには女子力がない!今だって『トップガン』のサントラをかけながら、これを書いていますから。私の女子力、まさに『デンジャラス・ゾーン』なのであります。女子力が高い子が聴いていそうな音楽って、切なくて寂しくて会いたくて震えながらメールを待っていたりするような曲だと思うのです。そして、そういう子たちの彼氏が聴いている曲は、あの頃の俺らバカばっかやってて友だち最高、母さんまじでありがとうな曲だと勝手に予測。うーん、足を踏み入れたことのない世界。年々、紅白歌合戦の初出場歌手が大晦日に初見という確率がかなり高くなってきた私、女子力を高めたいのならば、きちんと音楽にもアンテナを張っていないといけませんね。
私が音楽という世界に触れ始めたのは小学生の時に見ていた『ザ・ベストテン』『歌のトップテン』『夜のヒットスタジオ』などの歌番組でした。アイドルたちのきらびやかな世界に魅了され、ああいつか自分もこんな風になりたいなとアクロバティックなセイントフォーを見ながら思っていました。ちなみに以前、小金持ちベンチャービジネスマンに「どうせセイントフォーの女の子と結婚したいとか思ってんだろ」と言ったことがあるのですが、明らかにセントフォース(フリーアナウンサーが数多く所属している芸能事務所)の間違いでした。セイントフォーと結婚したい男性は少ないと思われます。しかし先ほどwikipediaで調べましたところ、セイントフォーが橋幸夫さんプロデュースと知ってびっくりしました。アクロバットと橋幸夫さんがあまりにも繋がらない。私がメキシコを旅した時に、橋幸夫さんの『恋のメキシカンロック』をメキシコ人に聴かせたところ「メキシカンでもロックでもないけど、ご機嫌でいい曲だね」とお褒めいただきました。と、完全に脱線してしまいましたが、歌番組の放送時にはラジカセをテレビの前に置き録音するというのが常でありました。経験のある人はわかると思いますが、絶対にどこかでお母さんの声が入っちゃいますよね。「早くお風呂に入りなさい」みたいな言葉が。今となっては良い思い出です。そんな歌謡曲大好きっ子だった私がいつの間にか洋楽の世界にどっぷり。そのきっかけは、シコウヒンTVでも紹介した我が永遠のアイドル・ニューキッズオンザブロックです。アイドルを好きになるあたり、女子っぽくて可愛らしいですよね。でもそれはティーンエイジャーの頃の話で、36歳になった今でも彼らが大好きで海外までLIVEを観に行っています、となるとちょっと怖いですよね。女子力の低さ半端ないですよね。でも好きなのだから仕方がない。彼らのおかげで中学生の時から洋楽雑誌を読むようになり、神奈川在住の友だちに『ミュージックトマト』という番組を録画してもらい、CDを買うお金がないから学校帰りはタワレコで試聴ばかりして、ミートローフって言ったら料理じゃなくて音楽だぜ、という女になってしまいました。
こんな音楽センスの私が恵比寿のシャレオツなBATICAでDJなんて恐れ多かったわけですが、お客様が温かく耳を傾けてくれて何とか無事に終えることができました。1曲目にJimmy Castor Bunchをかけたところ須永さんに「西山さん、本当はいくつですか?」と言われてしまったので、2曲目にBruno Marsをかけて若さをアピールしました。でも結局、ニューキッズをかけた時に一番目が輝いてしまう私。これからも90年代前半の曲をこよなく愛していこうと思うのです。それにしてもDJって昔はレコードのイメージだったのですが今ではCDどころかデータでできるのだから手軽になったものですよね。もしレコードでDJをと言われたら、我が家には写真の2枚しかないので、かなり厳しいDJタイムになりそうです。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
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