愛のセレブレーション
2014-11-24 08:00:00
先日、初対面の方に「おいくつなんですか?」と訊かれ「36歳です」と言うと「えーーー!若く見えますね!32、3歳かと思いました」と微妙なことを言われた西山です。最近、巷(これ私、よくミナトって読んじゃうんだけど、チマタね)では『見た目年齢』などという言葉を耳にすることも多いです。世間で女子力が高いと言われている人たちは、総じて若く見えるというか、見せるというか、「年齢なんて記号です」と言う人こそ、すんげえ年齢にこだわっているように思います。年齢と女子力というのは切ってもきれない、これは大問題なのです。
ついこの前までルーズソックスを履いて、センター街で喧嘩ばかりを繰り返して悪そうな奴はだいたい親戚だと思ったら、いつの間にか36歳。あと二ヶ月もしたら37歳で、高校2年生の時の出席番号に追いつくわけです(どうでもいい情報)。しかも独身だし仕事も会社勤めじゃないしで、あまりの責任の無さに実年齢に自分が追いついていないことを日々感じています。だから、たまに「ああ、私ってもう36歳なんだ」と改めて思うと、今問題になっている老人破産や孤独死が他人事ではないと気づくのです。いや、大げさじゃなじゃく本当に。どんなに見た目が若くても実年齢は変わらない。なので、私は若く見られても嬉しいと思わないんですよね。これが「えー!若く見えますね!5歳ぐらいかと思いました」と言われたら、え?どういうこと?犬年齢?何?謎!フォーリンラブ!となるかもしれませんが、「二十代に見える!」とか、どうでもいいんです。先日、結婚相談所に入会している同級生から話を聞いたのですが、世の中は本当にシビアです。そこの相談所はまず男女共に文字情報だけで相手を選び、向こうもOKだったら写真が送られてくるシステムだそうですが、彼女は1977年生まれということで、もうそれでハジかれることが多いというのです。相手の男性は40代でも希望欄に「1985年以降生まれの方のみ」とか書かれているんだとか。私、以前ハローワークに行ったことがありますが、自分を文字情報で表すと本当に何もない人間なんですね。年齢いってるわ、職歴ないわ、資格ないわでハローワークの方も頭を抱えていました。相談所に行ったらそれに趣味と特技などが加わるわけです。私の趣味は妄想で、特技は酩酊ですから、これは入会しても誰にも相手にされないと思います。彼女はその相談所で出会った40代半ばの方と何度かデートをしたのですが、最終的に「僕はちゃんと結婚して子どもも欲しいから、あなたの年齢では厳しい」と言われたそうです。私はその彼のことを『オニギリ』と呼んでいたので、彼女からその話を聞いて「焼きオニギリにしてやる!」なんて息巻いておりましたが、自分が男だったら、やはり若い子がいいなと思います……。以前、男友達が若い女の子と私たち世代の女性の違いについて話してくれたのですが「肌は風船と布ぐらい違う」と言っていました。私が「シルク?」と言うと「いや、穀物の入った袋だ」と。いやん!超丈夫!まあ、私が若い子がいいなという理由は容姿もあるけれど、それよりも素直さ。もちろん年齢を重ねても素直な人はたくさんいるけれど、賢さ、プライド、経験値に邪魔されることが多いかなと思います。ちなみに私は3つともないから、超素直です。はい。西山繭子は素直ですよー!竹野内さーん!あ、竹野内さんも若い子に……。
流行の『美魔女』や『大人かわいい』という言葉も好きじゃないなあ。『美魔女』は、若さを保つためにみんなやっていることが同じだからクローン化しているし、『大人かわいい』は稚拙であることを誤魔化しているような印象がある。やはり、人は年相応が素敵です。じゃあ年相応に何をすればいいのかな?37歳、37歳……ググってみたら、小柳ルミ子さんが結婚式で『愛のセレブレーション』を踊った歳のようです。やだ、ますます何をしていいかわからない!そういえば先日、父と会った時に父が『白蛇伝』の話をしているのに「ああ、あの小柳ルミ子さんの」と『白蛇抄』の話をして父を呆れさせました。あの映画、子どもの頃にテレビでやっているのを見ると母親にチャンネル変えられましたねー。渋谷公会堂に『8時だよ、全員集合』を観に行った時のゲストも小柳ルミ子さんだったなー。『お久しぶりね』と『今さらジロー』はいまでも大好きな曲です。と、今気になって小柳ルミ子さんのブログを覗いたらヘッダーの写真が超パワフルでびっくりしました。アメリカに行きたくなりました。でもアメリカに行くとさらに若く見られてしまいます。昨夏、アトランティック・シティで行われたニューキッズオンザブロック(TV&smileでの登場回数多し)のコンサートの時など、こんな格好をしているわけですからね。そりゃ「Are you student?」と言われてしまうわけですね。目指せ、年相応!
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
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