vs郷田真隆戦(2015年5月5日)│「清野茂樹の60分1本勝負」

全く新しい大人のwebマガジン

「清野茂樹の60分1本勝負」

#007

vs郷田真隆戦(2015年5月5日)

2015-06-29 17:56:00

 さあ、ジャンボ鶴田のテーマ曲「J」が鳴り響く中、入ってまいりました、プロ棋士の郷田真隆!王将のタイトルを保持する将棋界のチャンピオンを迎えてのダブルタイトルマッチ実現か!?温和な表情からは想像もつかないプロレス通と聞いております!

 「プロレスはたしか4歳か5歳くらいから見てると思うんですが、スポーツ好きの父の影響ですね。僕がいちばんプロレスに目覚めてきた時に見てたのが、ハーリー・レイスだったんです」

 なんと、この番組にぴったりな挑戦者。将棋の世界では一手に2時間かける長考派として知られる郷田さん、じっくり攻めるスタイルは、もしかすると、ハーリー・レイスのスローモーな試合に影響を受けているのでしょうか。

 概ね全日本プロレスがお好みで、試合が終了後は立てなくなるまで全力で闘う三沢光晴さんの姿が特に大好きだったとか。

 「勝負事って我慢なんですね。将棋の王将戦も非常に長い時間を闘ってるんで、我慢してる時間がほとんどなんです。だから、我慢しなくても済む瞬間っていうのは勝つちょっと手前であるんですけど、その瞬間っていうのは、ほんのわずか1分くらいしかありません」

 やはり、自身の仕事とプロレスラーの姿を重ねるのは、プロレスファンの証拠。

 小学校3年生の時からプロを目指した郷田さんは、11歳で試験を受けて養成機関に入り、19歳でデビュー。それだけと聞くと何だか早熟の印象がありますが、実は三沢光晴の前に立ちはだかるジャンボ鶴田のような存在があったようです。

 「王位というタイトルを当時四冠王の谷川浩司さんから奪取した一局は忘れられません。そのあと谷川さんとはタイトルをかけて何度も闘いまして、たいへん厳しいご指導を受けました(笑)。何度も“高速の寄せ”という技をされて…盤上では鬼です」

 一度勝ったはいいけど、その後、容赦なく襲いかかってくる先輩、つまりジャンボ鶴田のような存在があったから強くなったのだと郷田さんは語ります。

 そして意識する存在として、同期である羽生善治さんってやっぱり凄いのでしょうか、と振ってみると…

 「まあ、追いかけてる人ですけど、今、自分もタイトルを持っていますし、互角に渡り合えるというのはあります」

 相手に敬意を払いつつも、王者としての自信も物静かに語る…おお、まるで全日本プロレスのレスラーのようじゃないですか!そんな言葉が聞けたところで時間切れのゴングが鳴って試合終了。

 挑戦者のじっくりとした攻撃をなんとかかわしながら、辛くも229度目の防衛に成功したのでした。



2015年5月5日
NWA世界ヘビー級選手権試合60 分1本勝負

△清野茂樹(時間切れ引き分け)郷田真隆△
※王者側が229度目の防衛に成功


最近のコラム

清野茂樹さんのINFORMATION

Writer

清野茂樹

1973年神戸市生まれのフリーアナウンサー。1996年に青山学院大学卒業後に広島エフエム放送に入社。2006年よりフリーに転向し、プロレスを中心とした実況を務める。その実況の領域はウサイン・ボルトのウォーミングアップや遠藤VSホリエモンのわんぱく相撲、ももいろクローバーZの楽屋中継から細野晴臣のステージにまで及ぶ。著書に「真夜中のハーリー&レイス 大人のプロレス入門」(東京キララ社)、「もえプロ♡女子のための”萌える”プロレスガイドブック」(PARCO出版)がある。廃盤プロレスレコードは1000枚を所持するコレクター&テーマ曲研究家の一面も持つ。

清野茂樹さんのオフィシャルサイト
www.kiyonoshigeki.com

真夜中のハーリー&レイス
www.jorf.co.jp/PROGRAM/nwa.php

You tube

kiyoana on Twitter