なんか賞くれや
2015-10-09 11:56:00
近日はノーベル賞の話題がニュースにのぼっていますね。寝る間を8時間におしんで世界平和を考えている私としては、毎年、ひょんなことからノーベル平和賞に選ばれるのではないかとドキドキしているのですが、今年もひょんなことにはなりませんでした。いやー、欲しいなー、ノーベル平和賞。他の候補者を殺めてでもノーベル平和賞が欲しい。もう女子力がつけられないならば、箔だ箔!箔をつける受賞歴だ、このやろう!
ひと月ほど前、私が所属している事務所フラームの社長の誕生日にサプライズパーティーをしました。全スタッフ&所属タレントが集まるのは初めてのことで、とても素敵な宴になりました。18名の女優が、所属が新しい順に挨拶をしていったのですが、私は大トリの広末涼子ちゃんの前という、無駄に所属期間だけ長い『フラームきっての鳴かず飛ばず』みたいな立ち位置で恥ずかしかったです。でも、ポジティブにいえば『西山繭子37歳、全てがのびしろ』ということ。まあ、それをそのまま挨拶で話したら社長も苦笑いだったんですけどね。そんなフラームの美しい面々の受賞歴はといえば
広末涼子(2013年 第36回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞)
戸田恵梨香(2009年 エランドール賞新人賞)
徳永えり(2011年 第65回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞)
吉瀬美智子(2011年 エランドール賞新人賞)
涼子ちゃんにいたっては他にもたーくさん受賞しています。『おくりびと』で本場のアカデミー賞の舞台にも立ったんだもの!がーさす!Majiでがーさす5秒前!では、ここでそんな美しい面々と肩を並べている(つもり)の西山繭子の受賞歴を見てみましょう。
1984年 世田谷春の写生会 入選
1985年 世田谷春の写生会 入選
1986年 世田谷区立小学校児童作品展覧会 書写部門 入選
1987年 世田谷区さくぶん応募作品 詩部門 選外佳作
1987年 世田谷区小学校児童作品展覧会 図工部門 入選
1988年 世田谷春の写生会 入選
1989年 世田谷区立小学校児童作品展覧会 家庭部門 図工部門 入選
1989年 世田谷春の写生会 入選
ワオ!全部、世田谷区!私の才能を認めてくれるのは世田谷区だけということか!今は渋谷区民だけど、やはり私には世田谷の水が合っているのかもしれない。世田谷区の水道水が……。と、まあ見てわかるように全て小学生の頃の話です。四度入選した写生会はもちろん絵、水彩画ですね。小学生の頃は絵を描くのが好きだったのですが、中学生になってそこに技術的な指導が加わるようになると、途端に嫌いになりました。「アートってもっと感覚的なものでしょ?私はパッションをキャンバスにぶつけたいだけなのよ」とか言ってみたいけど、かのピカソはデッサンの技術も天才的でした。私はただの落ちこぼれということですね。女子力が低い上に落ちこぼれ。とほほ。1989年の展覧会では、家庭部門と図工部門でダブル受賞!あたしの人生のピーク、ここだったか!家庭部門では、エプロンに刺繍をしました。真ん中にポケットがあるエプロンなのですが、デザインを考える時に小学生の私は「うーん、評価を得るならば、ここはダイナミックな子どもらしさで攻めよう」ということで、みんながポケット部分にちょこまかと刺繍をする中、私は半円に裁断したポケットを口にみたてて、大きく口を開けた食いしん坊な子どもの顔をエプロン全面に刺繍しました。私がもくろんだ子どもらしさは見事大人の心をとらえ、受賞とあいなったのです。図工部門は版画。障害物競争でネットをくぐる子どもを係のおばさんが見ているという運動会の一コマでしたが、これも子どもらしさを前面に出したダイナミックな構図で見事に受賞。子どもの時の創作活動において大切なことは、何よりも子どもらしさだとわかっていた嫌な子、それが西山繭子であります。1987年に選外佳作に選ばれた詩に関しては、まったく憶えていない。自分でも改めて賞状を見て「え?詩部門?」と驚いたほどです。まあでも、これもきっと子どもらしさで攻めたのだろうな。お母さんの手、とかね。こんな風に小学校6年間は毎年何かしらで表彰される華々しい時代でしたが、今では賞など無縁であります。芸能界にはそれこそ数々の賞があります。ベストジーニスト、眼鏡ベストドレッサー賞、ジュエリーベストドレッサー賞。うーん、どれも取れる気がしないなあ。ベストパジャマニストとか作ってくれないかなあ。連載第1回目にも書きましたように、パジャマを愛しすぎるあまり甥っ子には病気と思われ、パジャマtoパジャマなんぞしてしまう私。今だってもちろんパジャマです。ぜひこんな私にベストパジャマニストを!あ、でもその賞をとるには手ごわいライバルの存在が!『パンケーキ・ノート』でもおなじみのトミヤマユキコさん。彼女もこよなくパジャマを愛しています。ツイッターでは、夕暮れ時に「まだパジャマだ」みたいな彼女のつぶやきを見かけることがあります。つまり彼女も女子力とは縁遠いというわけです。ベストパジャマニスト=女子力ナシスト……。うーん、ベストパジャマニスト、やっぱり私は辞退してトミヤマさんに譲ることにします。トミヤマさん、おめでとう!
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
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