打倒、女子アナ!│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#038

打倒、女子アナ!

2015-11-06 17:18:00

 先日夜、自宅で最近ハマっている海外ドラマを見ていたところ(もちろんパジャマ)、友人から電話があった。「何やってんのー?」とすでに酔った様子の友人に「家でゴシップガールを見てる」と言うと「遅くね?」と突っ込まれてから、「下北沢で飲んでるからおいでよ」とお誘いを受けた。私が「明日、仕事で自然薯を掘りに行くから朝早いんだよね」と答えると、しばし間をおいてから、友人が「え?何?」と聞き返してきた。「だから、仕事で里山に自然薯を掘りに行くから、朝早いのよ」と私が繰り返すと、友人は「もはや繭子の仕事がわからない」と言って電話を切った。私の仕事はウィキペディアによると女優で作家。まあだいたい合っている。でもバイトもしているから女優で作家でフリーターが正解。友人との会話に出てきた自然薯掘りは文章を書くためなので、作家としての仕事でありました。作家の姿とはかけ離れた泥まみれのハードワークだったけど。世の中にはたくさんの職業があって、それぞれの仕事に人々は固定観念を抱いていることが多い。例えば、女優だったら『わがままそう』、作家だったら『気難しそう』。おい、あたし、最悪じゃないか。こんな風に職業にはそれぞれのイメージがあります。その中にはイメージだけで女子力が高そうな職業というのがあります。それは男性が好きな職業と比例するのではないでしょうか。

 まずは男性の大好きな職業といえば、ぶっちぎりで女子アナではないでしょうか。これは日本だけかと思いきや、わりかし世界レベル。スペインのフェリペ皇太子は女子アナと結婚しましたし、スペイン代表のGKだったカシージャスは2010年の南アフリカW杯で、恋人である女子アナにインタビュー中にもかかわらず熱烈キッスをぶちかまして、世界中の女性に羨望のためいきをつかせました。あ、両方ともスペインだ。日本とスペイン、もしかしたら慶長遣欧使節団の文献に「女子アナがよろし」と書かれているのかもしれない。日本では野球選手は言わずもがな、ベンチャー系の社長等、お金と権力を持つ男は女子アナ大好き、セントフォース所属女性しか眼中にありませんといった感じ。私も生まれ変わったら女子アナになって、金持ちのいい男を見つけてさっさと仕事を辞めて、たまーに雑誌で優雅な暮らしをさらしながら悠々自適に生きたいです。言葉にすごく悪意を感じるでしょ?だって嫌いだもん、女子アナ。まあ9割はやっかみですけどね。以前、プロ野球選手の友人に「何で女子アナなの?」と訊くと「地元の後援会のおじさんたちも絶対に女子アナがいいって言ってる。頭が良くておしとやかでしっかりしてるからって」と答えました。ああ、後援会のおじさん、わかってない!そして彼は「絶対にダメなのは女優だって」と言葉を続けました。私が何故かと訊くと「わがままで料理もできないから」とな。超偏見!いや、私の場合、だいたい合ってる!でも女子アナという職業は、女子力という観点からみると、マックスレベル。女子力というのは、そもそも女を最大限、有効的に使って人生を謳歌することなので、女子アナはまさにその頂点なのではないでしょうか。そういえばこの前、幸田シャーミンさんの物真似をしたら若い子がきょとんとしていました。

 続きましてCA。年配の方にもわかりやすく言いますと、スチュワーデス、スッチーですね。これも男性が憧れる職業であり、女子力が高そうです。私の母は元CAで、姉は現CA(3児のおっかさん、現在育児休職中)であります。現役時代の母がどうだったかは知りませんが、写真を見る限りではパンツが見えそうなミニスカートの制服(参考までに着てみました)で微笑む母はたいそう美しく、まさかこの後、結婚した男に早々に捨てられ2人の幼子を育てることになろうとは知る由もなし。美人を有効的に使えなかった母は、残念ながら女子力が低いと言わざるを得ない。そして姉。一緒に暮らしていた時、私はCAの生態を目の当たりにしていました。国内、海外と飛び回るCAは想像以上のハードワーク。不規則な勤務時間のため、起床時間が3時という日もありました。二段ベッドの下で、夜中3時に目覚ましが時間差で5個鳴ります。姉は5つ目で起きます。1~4の目覚まし、いらないじゃんと何度も姉に言ったのですが、絶対に必要とのことでした。二段ベッドの上で寝ている私のことはガン無視です。パリ、NY、ミラノ、ロンドンと飛び回るCA、海外ステイの時は大きなトランクを持って行きます。雑誌などでCAの荷造り術を取り上げているものを見ることがあります。トランクを開けると大小さまざまなポーチが並んでおり、荷物が美しく整頓されている。そんなイメージがあると思うのですが、姉のトランクは開けてびっくり。「あれ?このトランクって地獄の入り口ですか?」みたいな感じでした。小分けしていない化粧品やシャンプーのボトルがジップロックに乱雑に入っていて(中でべっとべとに液漏れしてる)、しわっしわに丸められたストールとか、くったくたの部屋着とか、ストッキングがびよよーんとか。例えトランクから野良猫が「ニャー」と出てきても驚かないレベル。女子力の欠片もありませんでした。まあこれはCAというよりは、姉の問題か。でも世の中の男性が抱いている職業に対するイメージというのは、女から見ると「だまされやがって」というものが多いです。男性のみなさん、一番まっとうなのは女優で作家でフリーターだと思いますよ!

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。

 
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