おっちょこちょい
2015-11-20 00:24:00
ごきげんよう。先ほど「なんだかこの小説、なかなか頭に入ってこないなあ」と30ページほど読んで、自分が下巻から読み始めていたことに気づいた西山です。以前、外国に向かう機内でも手荷物に入っていた『海辺のカフカ』は下巻で、貨物室のスーツケースに上巻ということがありました。一瞬、下巻からでもイケるかな?と思いましたがジョニー・ウォーカーもナカタさんもホシノくんも、なんのこっちゃわからず断念。ちなみに今回、下巻から読み始めたのはゲーテ著『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』。これ、上中下巻があるにもかかわらず、下巻から読み始めてしまったなんて、あたくしってば、何ておっちょこちょいなんでしょう!ああ、おっちょこちょい!広辞苑によると【ちょこちょこしていて考えの浅いこと。軽薄。また、そういう人】となっています。ものすごい言われようだな。よく女性で「私って本当におっちょこちょいなんだよね。てへ」という人がいて、それが可愛いらしいみたいなことになっていますが、考えが浅くて軽薄な人ですからね!世の中の男性は騙されないで下さい。女性が自分の性格を語る時、モテたいとか、自己防衛とか理由は様々にしろ、そこには少なからず計算が入っているように思います。しかし計算が働いているということは、女子力がある証。
このコラム、本来は『女子力について考えることで、女子力を高めていこう』という目的があるのですが、連載40回を目前にしても私の女子力は上がる気配を見せません。まあ、上がったら連載終わっちゃうんだけどね。そんな、なかなか女子力が身につかない私ではありますが、女子力がない自分に悦に入らないよう心がけて執筆をしています。私は自ら「私ってオヤジだから~」「私ってすごくガサツで~」と堂々と言う女性が好きではありません。以前、女性数人で食事をしている時にNちゃんが「私、まじオヤジで本当にイヤになっちゃう。Eちゃんみたいに女子力高くなりたーい」と言いました。物静かで清楚なEちゃんはにこにこと笑っていました。その後もNちゃんはいかに自分がオヤジかを声高に語り、そのたびに「もう、オヤジな自分、まじイヤだー。Eちゃんみたいになりたい!」と繰り返すのです。いい加減飽きてきた私は「Nちゃん、そんなにイヤなんだったら、努力しなよ」と真剣な顔で言いました。「オヤジな自分がイヤなんでしょ?Eちゃんみたいになりたいんでしょ?じゃあ、努力しなきゃダメだよ。Nちゃんだったらできるよ!」。Nちゃんは、予想もしていなかった展開に「あ、う、うん。そうだね」とうろたえていました。Nちゃんのオヤジ話はそこで終了。ちょっと意地悪だったなあとも思いますが、許しませんよ!自分を卑下して安全な場所に行くことを、お母さん許しませんよ!という心情が働きました。まあ、Nちゃんの話がクソつまらなかったというのが一番の理由ですけどね。「人によく変わってるって言われるんです」と困った様子の人にも、私は「大丈夫だよ!全然変わってない!フツーだよ!」と言って、変わってる自分アピールを全力で阻止します。世の中に変わってる人なんて、そうそういないと思うんですよね。ちなみに私は、変わっているところなど微塵もありません。冒頭には自分のことをおっちょこちょいと書きましたが、自分ではしっかり者だと思っています。小心者だから用意周到だし、全て順序立ててきちきちっとやるタイプ。ただ、下巻から読み始めるという自分しか困らないようなミスを犯す時がたまにあります。以前ゲオ(ツタヤの方がわかりやすいけど、ゲオだった)でレンタルDVDを物色していたところ「お!これ、面白そう!」と手にとった作品があったのですが、残念ながら貸し出し中。しょんぼりと帰宅したところ、そのDVDを借りていたのが自分だったことに気づき、びっくり。借りたことを忘れてしまうなんて、見たかったんだか、見たくなかったんだかわからない。ちなみに作品は『Mr.ウッドコック―史上最悪の体育教師』でした。女子力のかたまりみたいな映画ですね。写真は家にあるDVDたち。こちらも女子力高めですが、やはりここでもニューキッズオンザブロック。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
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