シャンパーン!
2015-12-25 12:27:00
みなさま、ごきげんよう。年の瀬ですね。怒涛の忘年会シーズンを終え、肝臓がお疲れの方も多いのではないでしょうか。最近は若者の忘年会離れがすすんでいると、今、『とくダネ』でやっていました。お金を払ってまで上司に気を遣って飲みたくないとのことで、それを引き止めるために、忘年会に謎解きゲームなどのイベントを取り入れているそうです。そこまでしてやりたいのか、忘年会。確かに私よりも少し上の世代のおじさま方って忘年会が好きなイメージがあります。「今日は無礼講」と言いいながら、部長に「おい、ハゲ、酒つげや」とか言ったら怒られるんですよね。やだわー、そんなの。女性社員がお酒をつがなきゃいけないんでしょ?やだわー、私、箸より重いものは持てませんもの。その昔、サッカー日本代表監督だったザッケローニ氏と一緒にお食事をした時、彼は日本代表監督にもかかわらず、ひたすら女性陣のグラスにワインを注いでいました。自己紹介をした時に、私が「何とお呼びしたらいいですか?ザックでいいですか?」と尋ねたところ「アルベルトと呼んでくれ」とウィンク。さすがイタリア男!カルボナーラ!しかし、ここは日本。まだまだ女性がお酌をするのを当たり前と思っている殿方は多いです。だから女子力が高い人にとっては、忘年会は自己の評価を上げる機会にもなるのでしょうね。
15年ほど前までは所属事務所の忘年会がありました。まだ女優、スタッフ合わせて10名にも満たないという時代。広末涼子ちゃん、小雪ちゃんと共に焼肉を食べ、忘年会の最後には社長から早めのお年玉をいただくという素敵な宴でした。今はもう人数が多いのでスタッフだけで開催しているらしい。お年玉だけもらいに行きたいなあ。まあ、その時の忘年会はとても静かなものでした。お酒を飲まない社長の手前、へべれけになる人もいなく綺麗に終了。この忘年会は正しくないですね。正しい忘年会というのは、酒に飲まれて乱れに乱れて記憶が吹っ飛び、翌日、財布の中はすっからかん。携帯を見ると記憶にない発信履歴、憶えのない誤字脱字メール。そういうものです。ああ、懐かしい。私にもそんな時代がありました。しかし今はもう大丈夫。なぜなら今年になってから、お酒を辞めたからです。まあ乾杯程度に口をつけることはありますが、それもシャンパンに限ります(むかつく女!)。お酒を辞めたと言うと、みんなに大層驚かれます。それほどまでにお酒のイメージが定着していたことに、自分でびっくりです。まあ、飲んでたからな、浴びるほど。大抵の人は、病気を疑うと同時に「何かあった?」「やらかした?」と訊いてきます。身体はいたって健康ですし、お酒を飲んでいた時はやらかしてないことなんてなかったから、何かをやらかしたなんて今さらジロー。お酒を辞めた理由はふと「もういいかな」と思ったからなのです。いざ辞めてみて、生活が激変などということはなく、これといって変わらない日々。飲みの場にも普通に行くし。ただ、二日酔いがなくなったのは大きなメリットですね。以前は二日酔いで何もできないという日も多く、私の一年は300日ぐらいしかありませんでしたが、今年は365日ありました。よく「我慢できるの?」と尋ねられるのですが、これまでも1週間、10日飲まない時もあったので、我慢とは無縁。こんな風に本人はいたって問題ないのですが、むしろ周りが難色を示したりします。「どうして飲まないの?」「少しぐらい飲みなよ」、こういう人、けっこういるんですよね。まあ気持ちもわからなくもないけど、私が飲もうと飲まいとおめーに関係ねーだろというのが本音です。飲んでなくても楽しい時は楽しい。つまらない人とは、飲んでいたってつまらない。そんな何も変わりばえのない日々ですが、デメリットを一つあげるとしたら、男を口説けなくなったことぐらいかな。(何を言ってるんだ、西山繭子)今までは、恋のはじまりにはお酒がつきものでした。「ちょっと酔っちゃったみたい」なんて女子力が高い可愛いものではなく、泥酔して「好きだ、このやろー!」という猪木イズム。あ、でも振り返っても、それで成功した試しがないからデメリットではないのかもしれない。ただ、別にアル中で断酒をしているわけではないので、この先また飲むかもしれないし、飲まないかもしれない。なので、飲んでいる私を見かけても「何だよ!飲んでるじゃないかよ!」と言わないで、そっとシャンパンをごちそうして下さいね。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。
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