アディオス2017│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#089

アディオス2017

2017-12-28 12:27:00

 原稿につまるとネットで数独をやってしまう私なのですが、いつもやる数独サイトに繋げると、数日前からずっとパズルの横に必ずティファニーの広告が出ています。何もないくせに出来心でティファニーのサイトを一度覗いてしまったがために、こんなことになっているのですが、もはや嫌がらせようです。今、この原稿を書いているのはクリスマスの前。午後2時だってのにパジャマでパソコンに向かっている39歳のおばさんが、数独をやるたびにラブリングとかハートリングとか宣伝されて、もう私にどうしろって言うんですか?ティファニーさん!あ、数独やってないで原稿書けってことか。

 2017年もあっという間に終わりを迎え、昨年末に書いた『バイバイ2016』が昨日のことのようです。もう年末はこのスタイルでいこうってことで、今年も西山繭子が女子力溢れる1年を振り返ってみますよ!まずは1月!年明け早々、友人の漫画家まんしゅうきつこさんと代々木公園で遊ぶ。寒すぎて犬すら遊んでいない冬の公園で、おばさん二人でバトントワリングに興じる。「いつか二人で大会に出よう!」と言いつつも、その後練習はしていない。2月、ドラマ『相棒』の撮影をする。再放送を含めたら数百回は見ているであろうコアな『相棒』ファンの母から「まーたん、もうこれでいつお仕事辞めてもいいわね」と勝手に引退勧告を受ける。3月、引退せずに名古屋で映画の撮影。天候があやしいなか、朝いちで新幹線に乗り込む。朝食は東京駅で買った駅弁を車内でもぐもぐ。名古屋に到着するも、やはり天気待ち。お昼は共演者の方が差し入れてくれた『あつた蓬莱軒』のひつまぶし弁当を食べる。午後も天気待ちをしたが、結局撮影はなし。山本屋で味噌煮込みうどんを食べて東京に戻る。完全に飯食いに行っただけ。4月、2017年の、というか私の人生においてのビッグイベントとなったマンチェスターでの学生生活。あの時、寮から学校までの道のりはいつも『Another day of sun』を聴いていた。青空のLAと曇天のマンチェスターは全然違うけれど、私にとってマンチェスターで過ごした時間は『LA LA LAND』のようにキラキラとしていて色鮮やかだった。その色鮮やかさを言葉で描きたくて何度も挑戦しているけれど、なかなかうまくいかない。幸せな時間って本当に小説にならないのよねー。5月、フランス人歌手ZAZのコンサートに行き、彼女の歌声に涙する。その旨をマンチェスターで仲良くなったフランス人青年オスカルにメールすると「僕は彼女の政治的発言が好きじゃない」という返信。ひゃー、フランス人って本当に政治の話が好きなのね。面倒なので「Bonne nuit,mon cheri. Bisou! Bisou! Bisou! (おやすみなさい、ダーリン。キス!キス!キス!)」とぶった切る。オスカルからは「ああ!繭子!僕からもキス!キス!キス!」と速攻で返事があり、結局のところやはりフランス人は政治よりも恋が好きなのだと知る。6月、父の取材旅行のアシスタントでイタリアとフランスへ。アシスタントという名を借りた奴隷制度の復活に心身が衰弱する中、作詞の〆切があるというので、その手伝いも頼まれる。父が作った出来立てほやほやの詞を父の前で曲に合わせて歌うという、ほぼ辱めのような手伝い。工藤静香さんの曲だったので、途中で軽く物真似を入れてみたところ「ちゃんと歌って」と叱られる。まあまあ似てたと思うんだけど。7月、楽天がFCバルセロナとスポンサー契約をしたというパーティーへ行く。ネイマール、メッシ、ピケも来日ということで、報道陣もたくさん。私は一応、芸能人枠で呼ばれていたのでレッドカーペットを闊歩。「こちらお願いします!」「次、こちらお願いします!」と笑顔でフラッシュを浴びていたのだけど、その数時間前、私は田町でアルバイトの面接をしていた。8月、晴れてバイトの面接をパスし、週5でアルバイト。その合間に『スカッとジャパン』の撮影をしたり、原稿を書いたり、もう何が本業だかわからないまま夏が終わる。9月、さすがに週5だと小説を書く時間がないのでバイトを週4にする。しかし結局のところ、1日時間が増えたところで小説が書けるわけじゃないことに気づいたので「やっぱり週5で大丈夫です」とシフトを戻す。10月、とても楽しみにしていたエド・シーランのコンサートが、本人が自転車で転んで骨折したために延期になる。姉にその話をすると、エド山口のコンサートに行けばいいと勧められる。11月、来年40歳を迎える私のもとに渋谷区からガン検診のお知らせが届く。肺がん検診のために、事前に検査キットに痰を取らなくてはいけなかったのだが、まったくうまく出せなくて、道端で痰を吐いているおじさんたちを初めて尊敬する。12月、甥っ子1号の合唱コンクールで感動して号泣。隣で一緒に見ていた甥っ子2号、3号に心配される。

うーん、振り返ったところでやはり今年も女子力とはかけ離れた一年でした。もう皆さん、そんなことは百も承知でしょうけどね。そんなこんなで、2017年もご愛読ありがとうございました!2018年もどうぞよろしくお願いいたします!

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website