全く新しい大人のwebマガジン

#109

祝20周年

2018-10-18 14:05:00

　隣人のゴミ出しマナーに頭を悩ませている件を前々回（♯107『盆と正月』参照）のコラムで書きましたが、その「歌とダンスでみなさんに愛を届けたいけどゴミ出しに関してはサイコパス」な彼女がどうやら引っ越しをしたようです！やったー！バンザーイ！どうしてわかったかと言うと、マンションの前に大量の粗大ゴミが出ていたからです。その出し方があまりにも酷かったので、もしやと思い粗大ゴミシールの名前を見たら案の定、ピンクの丸文字で書かれた彼女の名前がありました。粗大ゴミをいくつか出す場合、まともな人間であれば一箇所にまとめて置くと思うんですけど、彼女の場合はそうはいきません。今、私のマンションの前には食器棚、カラーボックス、ちゃぶ台、座椅子、ガスコンロ、スツールがでん、でん、でーんと置かれています。もうね、屋外なのに普通の部屋みたいになっちゃってるんですよ。しかも収集日の日付を見たら、２週間も先！モラルのある人だったら計画的に粗大ゴミセンターに連絡をすると思うんですけどね。とほほ。でも彼女がいなくなった今、この粗大ゴミが片付けば、もうゴミ問題で頭を悩ませることはない。いや、しかし本当に引っ越しだろうか？ただの大掃除だったらどうしよう？と思い彼女のブログを覗いてみました。やったー！『引っ越し』というタイトルの記事がある！鼻息荒くクリック、クリック。するとそこには、素敵な新居で笑顔を浮かべている彼女がいました。築20年のこのマンションを去って新築物件に引っ越した彼女。システムキッチンで得意満面な笑みを浮かべる彼女。追い炊き機能がついていることに喜んでいる彼女。大きな窓の向こうの景色を堪能する彼女。あああああああああああー。むーかーつーくー。くそっ！その新居に幽霊出ろ！夜な夜な、落ち武者とか中世の騎士とかナントカ・ハーンとか世界中の幽霊が出ろ！くぅー、私もいつか新築の家に住んでやるぅー！

　とひとしきり吠えたところで、たまには素敵な話題でも書きたいと思います。先日、私が所属する事務所フラームの20周年パーティーがありました。ネットの芸能ニュースでも取り上げられていたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。「豪華女優陣集合！」的な記事と、所属タレントのSNSから拾った写真が掲載されていました。記事の多くは「広末涼子、有村架純、吉瀬美智子、戸田恵梨香、山口紗弥加ら」となっていて、もちろん私は、いつも通りの「ら」です。まあ当然といえば当然。普段の姿は週5で働く契約社員ですからね。それでも一応は所属タレントなので、声はかかります。はあー。華やかでキラキラしているみんなと会ったら、また落ち込むんだろうなあ。当日、私は心苦しさを引きずりながらも、会場である船が出発する日の出桟橋へと向かったのでした。自分が所属している事務所を「家族のよう」と言うのは何ともこっぱずかしいのですが、ヨン様がファンのことを家族と呼ぶよりはしっくりきます。何しろこの日は完全に内輪だけのパーティー。これだけの女優が揃っていれば、普通はテレビ局、映画会社、広告代理店のお偉いさんを招待して営業的なパーティーもできるはず。しかし、フラームはわざわざ船を貸し切って総勢33名（女優とスタッフ）の家族のためにパーティーをする事務所なのであります。日の出桟橋に着くと、早速、緑のレッドカーペットという演出。フラームのロゴカラーですね。そして船のタラップを上がる前には、ロゴが入った巨大なバスマットみたいなやつが置いてありました。「わー！」と感動しつつも、何だか踏み絵のようで端っこを歩いてしまいました。しかしやることがにくいぜ、フラーム。そして会場に入り、ここで気になるのは席次であります。例えばマユくくりで「西山繭子、福田麻由子、山口まゆ」とか、東京都出身くくりで「西山繭子、小篠恵奈、福田麻由子、小野莉奈、山口まゆ」（トリプルマユはみんな東京なのね！）とか、はたまた鳴かず飛ばずくくりで「西山繭子」の一人席とか……などと考えていましたが、私に用意されていた席は「広末涼子、吉瀬美智子、山口紗弥加、紺野まひる、西山繭子」という大人席でありました。こんな豪華な顔ぶれですが、席についておしゃべりが始まれば同年代の私たちは和気藹々。いつもここで書いている同級生の女子会とあまり変わりません。まあ、ビジュアルは激しく違うけど。宴の中盤では、この日のためにスタッフが作ってくれた40分にもわたる映像が流されました。フラーム女優のこれまでの歩みを、一人一人丁寧に愛情を込めて編集してくれていたのです。これを見た時に、お世話になってきた20年という重みと、社長はじめスタッフの愛情をひしひしと感じました。また頑張ろう。恩返しできるように頑張ろう。パーティーの最後には、みんなでフラームのロゴの入った緑色の風船を東京の夜空に飛ばしました。秋の風に流されていく風船を見ながら、心新たにすがすがしい気分になりながらも、今回の20周年記念で作った豪華フラーム写真集がヤフオクに出たら、一番最初に私が疑われそうだなあとぼんやりと考えていました。