チャオ2018│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#113

チャオ2018

2018-12-20 14:10:00

 月日が経つのが早すぎて、もう毎日が大晦日みたいな感覚です。今年も朝ドラで主演とか芥川賞受賞とか結婚とか結婚とか結婚とか、大きな出来事もなく、ごくごく普通の40歳独身契約社員としての一年が過ぎていきました。それでは年末恒例となりました西山繭子の2018年を振り返ってみたいと思います。1月、40歳になる。さすがにズンっとくる。当日は事務所の社長と鉄板焼きでお祝い。アラカルトで好きなものだけバンバン頼み、シャンパンもガブ飲み。大満足。社長に「死ぬまで1月21日の夜は空けておいて下さい」とお願いする。2月、大家仁志さん、大杉蓮さんという大切な役者の先輩を立て続けに失う。文化庁海外研修で行っていたパリの話を大家さんから聞くのが私は大好きでした。蓮さんに芝居で褒められたことはないけれど、蓮さんのサッカーチームで点数を決めた時は随分と褒めてくれました。大家さん、蓮さん、ありがとうございました。3月、契約社員として週5日もくもくと働く日々。働き始めて8ヵ月、任される仕事がどんどん増えていく。そのため、働かない人間に対して「何であんな奴が私よりも高い給料もらってるんだ!」と腹を立てることもしばしば。働くって大変ですなあ。4月、母親を連れてアメリカへ。ホテル代が高騰しまくりのワシントンDCとNYで初めての民泊。ワシントンDCで泊めていただいたジョンさん宅の食器棚に星条旗柄のマグカップがずらりと並んでいて、軽い闇を感じた。NYでは必死で予約をとったティファニー・カフェで朝食を食べたり、セントラルパークでピクニックをしたりと大満喫。母親の笑顔、プライスレス、と思いたいところだけど、2人分の旅費でほぼ破産。ちーん。5月、サボることしか脳がない男の同僚に「ちゃんと仕事してもらえますか?」と言うと「うるせえな!なんなんだよ、てめえ!」とぶちキレられて唖然。姉に話すと「まーたん、和民で働いてるんだっけ?」と訊かれたので「豊田商事だよ」と答える。6月、映画『名前』の完成披露試写で舞台挨拶。NYで14ドルで買ったワンピースで登壇。撮影時のエピソードを訊かれ「駒井蓮ちゃんは膝の裏まで美しい」とどうでもいいことを話すと、同じ壇上にいた波岡一喜さんが「西山さんの膝の裏も美しいですよ」と笑いをとりつつ、すかさずフォロー。初めてお会いしましたが、素晴らしい役者さんっていつでも機転がきくのだなあ。7月、ニューオータニさんからナイトプールのプレオープンパーティーの招待状が届く。招待状には2名様までと書かれていたが、特に誘う人もいないので一人で行く。みんながインスタ用にばしばし写真を撮っている横で、がしがし泳ぐ。途中、何かの間違いでナンパされたが、丁重にお断りして再びがしがし泳ぐ。帰りの電車の中で、小学生時代のプール後のような懐かしい疲労感に襲われる。8月、トミヤマユキコちゃんと芥川賞直木賞の受賞パーティーに行く。選考委員である伊集院先生から「私は仕事で行けないけど、二人で銀座の寿司でも食べて帰りなさい」と嬉しいお言葉。そのあと会場で会った星野概念さんに「一緒に行こうよ。2人も3人も変わらないよ」と銀座の寿司屋は2人と3人じゃえらい違いだと思うが、恐縮しまくる星野さんを拉致して3人で感動の寿司を堪能。お父さん、ありがとう。9月、1年と少し頑張った糠漬けを辞める。始めた当初は楽しかった糠漬けも、一人暮らしだと来る日も来る日も糠漬けを食べなくてはならず、もう糠漬けに追われる人生になってしまい、お別れをすることに。次はキムチを漬けたい。10月、半年ぶりに東京を離れ、仕事でいざ北海道へ。旭川駅から美深駅まで車窓を眺めながら松山千春さんの『大空と大地の中で』を聴いてみたところ、あまりの素晴らしさにしばし震える。美深では仕事の合間に美味しいものをたらふくいただき、いっぱい笑い、ゆっくり眠ってフルチャージ。11月、週5日だった出勤を週4日に減らしてもらう。もっと執筆の時間が欲しいという理由で。急な撮影やオーディションの時も、同僚たちが「大丈夫だよ」と私の穴を埋めてくれる職場には本当に感謝です。ちなみに5月に私に怒鳴った男は10月をもって退社。本人は私に「お先に卒業します」とAKBみたいなことを言っていたが、実際のところは誰がどう見てもクビ。お疲れさまでした。12月、小田真規子さんの『まいにち小鍋』というレシピ本を買ってから、ひたすら鍋。今月は、私にしては珍しく5回も外食の予定が入っているので、体調を崩さないためにも鍋は最高。と、こんな2018年でありました。来年は平成が終わります。私の青春が終わります。それでも、このコラムにもっともっと楽しいことが書けるように、刺激的な日々を過ごせたらと思います。あれ?女子力、どこいった?まあ、いいか!2018年、ご愛読ありがとうございました!そして来年も、どうぞよろしくお願いいたします!写真はジョンさん宅の食器棚です。

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website