全力で夏!│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#130

全力で夏!

2019-09-09 16:50:00

 ひたすら働いた夏が終わり9月になりました。「ああ、夏らしいこと何もしてないなあ」と小言を繰り返すだけの人生には、もうおさらばよっ!ということで、まだ夏の日差しが残る先日、女友達と連れ立ってホテルニューオータニのプールに行ってきました。今回は何とビュッフェがついた平日限定のお得プラン!どれくらいお得かと言いますと、本来ならば20000円のプール使用料と4800円のビュッフェ料金がかかるところ、なんと2つがセットで11000円!57%オフ!どんだけお得だよ!そりゃ「オータニサーン!」とメジャーリーグの実況アナウンサーも叫んじゃうよね。
 当日は11時半からビュッフェを予約。休日をフルに満喫したい私は、その前に国立新美術館でやっていた『クリスチャン・ボルタンスキー展』へと行くことにしました。フランスを代表する現代アーティストの過去最大規模の回顧展ということで、展示室は開館10時からたくさんの人で溢れておりました。しかし、ふむふむ見て回りましたが、何が何だかさっぱりわかりません。唯一何かを感じたといえば『アニミタス』という作品です。そこでは吹雪の中で風鈴がチリンチリン鳴っている映像がスクリーンに映し出されており、その前の床には丸められた白い紙がたくさん転がっていました。それを見て「ああ、風邪をひいた時の私の部屋みたいだなあ」と思いました。現代アートって難しいですなあ。鑑賞に1時間とっていましたが30分ほどで終了してしまったのでベンチに座って、これから行くビュッフェのメニューをチェックすることにしました。うーん、スーパーショートケーキとローストビーフは絶対だな。ああ、でもあれもこれもどれも美味しそう!全部食べたい!私はさほど大食いではないのでビュッフェでは計画性をもって行動しなくてはいけません。頭の中でシミュレーションを繰り返しながら、いざオータニへと向かいました。オータニにはいくつかビュッフェがあるのですが、今回は一緒に行くS子の希望でかき氷があるタワービュッフェへ行くことに。40階にあるレストランの大きな窓からは青空の下の東京が一望できます。「綺麗だねえ」とウキウキする私たち。するとそこへマネージャーらしき男性がやって来ました。「すみません。実は昨日で氷が終わってしまいまして、かき氷をお出しすることができないんです」えー!がびーん!実はこの男性、私たちを席へと案内してくれた方なのですが、その時に私たちは「かき氷、2種類あるんだって」「わーい」という話をしていたんですよね。きっとそれを聞いていたんだなあ。彼は「お詫びといっては何ですが、こちらからドリンクをお選び下さい」と有料メニューをサービスしてくださりました。ああ!さすが日本を代表するホテルニューオータニ!このおもてなし、素晴らしすぎるだろ!オータニサーン!(再びメジャーリーグの実況アナウンサー登場)こんな素敵な出来事もあって心ゆくまでビュッフェを堪能することができました。もちろんどれもこれも美味しかったのですが、一番感動したのは唐揚げです。私のざっくりした計算では、これまでの人生において3000個以上は唐揚げを食べていると思うのですが、ホテルの唐揚げってこんなに味わい深いのかあとしみじみしました。そしておなかをパンパンに膨らませた私たちは、窓から見下ろしていたプールへと向かいました。9月になったとはいえ、この日は真夏日ということもあって多くの人が最後の夏を楽しんでいました。浮き輪を持参したS子の横で「私も持ってきたー!」と競泳用の水中眼鏡を装着する私。もはや女子力なんて知らん!プールに来たんだから、泳ぐしかないだろ!バタ足、平泳ぎ、クロールをする私に「まーたん、じょうず~」と笑顔のS子。まわりを見れば、なかなか水に入らないインスタ命の自撮りギャルばかり。そんな中、アラサーとアラフォーの仲良しコンビは指先がしわっしわになるほどプールを満喫したのであります。ビーチサイドで飲んだピニャコラーダも美味しかったなあ。まあ1600円払ってまずかったら怒るけど。勝手に「近藤くん」と名づけたライフガードの男の子に胸をときめかせたり、「プロデューサーと地下アイドル」と推測したカップルの一挙手一投足を見守ったり、飛び込み台に挑戦する幼児を「勇者現る!」と称賛したり、ひたすら2人で笑った休日でありました。その間、「彼氏欲しいね」という言葉をお互い100万回ずつ言いましたが、こういう風に楽しい休日があると「まあ、いっか」とも思ってしまいます。後日、絵描きであるS子が「楽しかったから絵にしてみたよ」とこれを送ってくれました。さすがプロだなあ。ボルタンスキー展はよくわからなかった私ですが、これは何となくわかります。私のおっぱいの谷間がないあたり、たぶん写実主義ってやつです。

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website