ステイホーム│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#145

ステイホーム

2020-04-27 17:33:00

 緊急事態宣言が出てから約3週間、ひたすら外出自粛を守っている西山繭子です。どこにも行けなくて辛いなあ、働くって素晴らしいことだったんだなあ、友だちとごはんを食べに行きたいなあ、などと思っていたのは最初の3日間で、今はむしろ家にいる時間を心ゆくまで満喫しています。これは私が一人暮らしだからできることなのでありましょう。男児3人を抱える姉などは「もうね、ずーーーーーっとご飯作ってるの」とのことで、先日は1日で米を14合炊いたそうです。これはケータリングをやっている友人いわく、35人分の弁当に相当するとのこと。姉は性格的に大らかというか、こまかいことは気にしないというか、大雑把というか、いい加減というか、まあ無頓着な人なので、何とかやっているようですが、子どもたちに1つだけ約束をさせたそうです。「今度から、朝ごはんの時にママに『お昼ごはん何?』と聞いた人は、お昼ごはんも夜ごはんもなくなります」子どもたちは、こくりと頷き、それ以来、誰かが「ねえ、ママ~、今日の」と言いそうになると「おい!聞いちゃダメだぞ!」と兄弟で協力し合っているそうです。色々と大変ですね。もちろん私も、14合も米を炊く必要はありませんが、ごはん作りに関しては、外出自粛が始まった当初は課題でありました。私は美味しいものが大好きです。年齢を重ねるごとに食への執着が激しくなってきたのは、元気に美味しく食事ができる残り回数が減っていることを本能で感じているからなのでしょう。もともと外食よりも自炊が多い私ですが、さすがに毎日3食を家で作るとなると頭を悩ませます。今日は何を食べよう、明日は何を食べよう。これは日持ちするかな、他にはどんな料理に使えるかな。気づけば、一日中食べもののことばかりを考えていました。付随してエンゲル係数は爆上がり、体重も増加の一途を辿っていきます。これが1週間ほど続いたある日のことです。昼下がり、私は出がらしのような女子力をふりしぼりダイエット用のおやつである黒糖寒天を作っていました。これにきなこをかけて、黒蜜をかけたら、ヘルシースイーツの出来上がり。これを食べたら激やせ間違いなし。まあ食べなきゃもっと痩せるんだろうけどさ。うん、食べなければさ…。木べらを回す私の手がふと止まりました。「もういろいろ食べなくて、よくない?」ここから全てがストップ。最低限の栄養がとれていればOKということにしました。米、納豆、キムチ。ひとまずこれがあれば大丈夫。スーパーも恐ろしいほど混んでいて、行くたびにナーバスになっていたのでちょうど良い。ついでに12時間ダイエットも始めたので、ケンダル・ジェンナーになる日も近いです。ごはんのことは、これにて解決。では毎日、家で何を満喫しているのかといえば、まずはフランス語の勉強。今年の1月からフランス語の学校に通っているのですが、3か月の入門科ですでに授業についていけなくなりました。これは教室でクラスメイトの顔色を伺う限り、私だけではないと確信しています。12名ほどでスタートしたクラスでしたが、次々に脱落して最終授業に来ていたのは6名でした。高校生の時、数学で「あれ?わからないな」を放置していたら、もうその後は「わからない」が雪だるまのように大きくなって取返しがつかなくなりました。その経験は二度としたくない。支払った授業料も無駄にしたくない。幸い、次のクラスはコロナの影響で開講が延期になったので、今のうちにみっちり勉強しておくぞ!っと1日2時間ほど、うぃ、うぃと頑張っております。(写真参照)それ以外には、世界史のおさらいとか父の病気をきっかけに興味を持つようになった脳に関する本を読むとか、小説を書くとか(これが1番大事)、完全に自分のやりたいことだけをやっています。だから、人に会いたいとか、遊びに行きたいとか、今はまったく思わないんですよね。私って骨の髄までおひとりさまなのだなあ。朝夕の1時間のウォーキング以外は、こんな感じでひたすら家にいます。あ、筋トレも頑張っています。だってケンダル・ジェンナーだから。ここ最近では芸能人の方々がこぞって動画をアップしていますが、歌も上手くない、話術もない、逆立ちもできない私ができることと言ったら、もう片乳を出すことぐらいしかないのですが、私が片乳を出したところでコロナが終息するわけもないので、大人しくブラトップの中におさめておきたいと思います。エアロビチャレンジにしてもね、せまい我が家では不可能なのです。でもね、この外出自粛中に地味にチャレンジしていることがあります。それは鼻の下の産毛がどこまで伸びるかです。撮影に行くとヘアメイクさんに「シェービングしても良いですか?」と言われてしまうことがよくあるので、人より濃いのだと思います。だから誰にも会わないこの絶好の機会を使って、いざチャレンジ。私の予想では、フレディ・マーキュリーぐらいにはなるのでは?と踏んでいます。そしたらボヘミアン・ラプソディを熱唱する動画をアップしますね。

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2020.4.27 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website