フラームだヨ!全員集合│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#146

フラームだヨ!全員集合

2020-05-11 16:36:00

 先日、1週間ぶりに食材の買い出しに行きました。ずっと質素な食事をしているのでたまには良いかと、愛するスーパー・オオゼキ店内に入っている美登利寿司の上にぎり、そして新発売のハーゲンダッツ、キャラメルホリック味を買いました。帰宅後、録画していた海外ドラマ『サバヨミ大作戦!』を見ながら、久しぶりの贅沢を味わっていたのですが、身体は突然舞い込んだブルジョアに驚いたのか、お腹をくだすという顛末。やはり外出自粛中は質素を貫こうと心に誓いました。緊急事態宣言が延長されて、この生活がさらに延びたわけですが、今の生活にほとんどストレスを感じていない私は、もはや再び会社に行って働くことの方が不安だったりします。毎朝5時のウォーキングと筋トレ、朝ごはん、午前のお勉強タイム、昼ごはん、午後の執筆タイム、夕方17時のウォーキングと筋トレ、夜ごはん、読書をして22時就寝。もうずっとこのルーティーンを1カ月間飽きることなく、というかむしろ嬉々としてやっている私なので、ちゃんと日常に戻れるかが心配。自粛疲れだなんだと連日報道されていますが、私のような人もたくさんおられるのでは。アイラブステイホーム。SNSもやっていない私はまわりと繋がることも、アホなことを口走って炎上することもありません。この1カ月間で言葉を交わしたのは母と姉のみだったのですが、先日めずらしくマネージャーから電話がありました。内容は私が所属する事務所フラームで動画をアップするので、今、自宅でどんなことをしているかを撮影して欲しいとのことでした。私はいまだにYouTubeというものに懐疑的な昭和おばさんです。この期に及んで、どうしてユーチューバーが儲かるのかもよくわからないし、どうしてみんなが寝不足になってまで見てしまうのかわかりません。昭和おばさんの私からするとYouTubeは「時間を消費するためのもの」という印象。もちろんためになるもの、感動するもの、便利なものがたくさんあるから、世界中の人々をここまで虜にしているのでしょう。しかしいまだに紙のページをめくることを愛する私が、YouTubeの魅力をわかるにはまだまだ時間がかかりそうです。しかし今回は事務所からの指令ということもあり、何とか挑戦してみることと相成りました。マネージャーから伝えられたのは「自宅で何をしているか」「1人15秒ほど」「明るくポジティブなメッセージにしたい」とのことでした。ブラックなことや、卑猥なこともたくさん考えましたが、言ってもフラームですからね、ここは普通にやった方が大事故にならないであろうといざ撮影。しかし、ここでいきなり問題勃発。高画質で撮るためにスマホの設定は4/K 60fpsにして下さいとのことでしたが、私が使っているiPhone5Sの最高画質は1080pHD/30fps。指定された画質の下の下の下の下。みんながキラキラしている中、一人だけ戦後まもない日本みたいな画質になったら恥ずかしい。マネージャーに相談したところ「あまりに酷いようでしたら××くん(徒歩30秒のところに住んでいるスタッフ)にスマホを持って行かせます」とのことでしたが、仕上がりを見たところ問題ありませんでした。新しく発売になったiPhoneSEに買い替えを考えていましたが、まだその必要はないみたいですね。数週間ぶりのメイクを施し、数週間ぶりに洋服を着ました。普段裸でいるわけではありませんがパジャマと家着の日々だったので、ニットに袖を通した時には少し心が踊りました。やっとこさ撮影までこぎつけましたが、いやはやここからが地獄でありました。もうね、あんな少しの動画を撮るのに2万回ぐらい撮り直しましたよ。煽りすぎると二重アゴになっちゃうけど、まっすぐにすると後ろのベッドが映っちゃう。あらあらまあまあ。あっちに寄せるとアレが映っちゃうけど、こっちに寄せると今度はコレが映っちゃう。あらあらまあまあ。そして撮り直してはチェック。ブス!撮り直してはチェック。デブ!撮り直してはチェック。おばさん!もうね、おばさんという事実はどうにもならないし、時間が経ちすぎて自然光が入ってこなくなっちゃったしで、最終的には「もうこれでいいか」になってしまいました。ふー、疲れた。この撮影をして一番思ったことは、ユーチューバーってすごい、です。普段、私たちの撮影にはたくさんのスタッフが携わっています。ヘアメイク、スタイリスト、監督、カメラ、照明、みんながプロフェッショナル。その皆さんのおかげで私たちは安心して自分の仕事に集中できるのです。でもユーチューバーはそれを全部一人でやっているわけですよね。いやはや、あっぱれ。私には絶対にできないわ。そして出来上がったのが『My favorite moment』です。いやー、みんな女子力高いですね。そんな中、一人だけ一般人のおばさんが混じっている感が否めないのですが、めげずにこれからもフラームで頑張ろうと思います。

2020.5.11 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website