シャネルvsおかめちゃん
2020-10-25 18:25:00
ソフィア・コッポラの新作『オン・ザ・ロック』を観ました。NYを舞台にした父と娘の物語。上映時間は97分と短めで、内容もコメディなので『テネット』のように途中で離脱して寝るということもなく最後まで楽しめました。父親役のビル・マーレイが街を歩いているだけで「ああ!ゴーストバスターズ!」と胸がときめき、父娘がカクテルを飲むシーンでは「ああ!憧れのカーライルホテル!」とNYに行きたい熱がふつふつと沸いてきました。しかし次に行けるのはいつになるのだろう。一応、来年7月にボストンのフェンウェイパークで行われるニューキッズオンザブロックのコンサートのチケットを取っているので、今の状況が好転していれば、夏はボストン&NYの旅に出ます。現実的に考えて厳しいと思うけれど。そんなNY熱を盛り上げてくれた映画なのですが、もう一つ、私の欲望に火をつけたものがありました。ラシダ・ジョーンズ演じる主人公のローラは、作家でありながら幼い2人の姉妹を育てる母であります。保育園の見送りに、お稽古事の迎えに大忙しの日々。それらのシーンでローラの肩にはいつもストランドブックストアのトートバッグとシャネルのマトラッセがかかっていました。それが何とも素敵に見えたのです。知性と華やかさのダブル使いといった感じ。これぞ真の女子力。ストランドブックストアはNYにある1927年創業の老舗本屋さんです。私もNYに行くと必ずここを訪れます。古本から新作までありとあらゆる作品がところ狭しと並んでおり、本の遊園地のような場所なのです。その一角には店オリジナルのトートバッグが売られています。世界中から押し寄せる観光客にも大人気なので、街で見かけたことがある方も多いと思います。私が持っているのは表側に店のロゴが描かれ、ひっくり返すとそこには鬼才映画監督ジョン・ウォーターズの言葉がプリントされているもの。『If you go home with somebody,and they don’t have books.Don’t f**k’em!』要約すると『本を読まない奴とは寝るな!』ということですな。レジでこのバッグを出した時に、店員のおじさんは私の顔を見て大きく頷きながら「大切なことだ」と言いました。それ以降、私にとっては尊い教訓なのでありますが、以前、これを持って山手線に乗っていたところ、非英語圏の方と思われる外国人男性がニヤニヤしながら「あいはぶあぶっく」と私に囁いてきました。「あいはぶ、あ?1冊かよ!」ああ、読書家の男性ってどこにいるのでしょう。まあ、このデザインはあまりにもメッセージ性が強いので、今度お店に行った際はスタンダードなものを購入したいです。映画の中のローラが持っていたもののように。そしてそして、そのトートバッグと共にかけられたシャネルのマトラッセ。ハイヒールモモコさんが大好きなシャネル。小柳ルミ子さんも大好きなシャネル。女子にとってはまさしく憧れのブランドであります。このマトラッセはそのシャネルの代表的シリーズ。毎シーズン様々なデザインが売り出されますが、やはりここは定番の黒が欲しいところ。さて、お値段やいかにと調べてみたところ使い勝手の良さそうな25cmサイズで648000円とのこと。高っ!そんな高かったっけ?私の記憶では30万円台だったような。それもそのはず、マトラッセはこの10年で値段が2倍以上に高騰。シャネルいわく「需要がある限り、値上げし続けます」だそうです。あきんどやね。エルメスのバーキン同様、そのうち100万円の大台にのる日も遠くないのでは。しかしこれ、言い方を変えれば「金さえ出せば誰でも手に入れられるバッグ」ということ。世の中には「どんなにお金を出しても手に入れられるかどうかわからないバッグ」というものが存在します。実は今、私はそれを手に入れるために日々努力している最中なのです。そのバッグとは、おかめ納豆で有名なタカノフーズさんのキャンペーン用景品『おかめちゃんオリジナルエコバッグ』であります。先週はオータニのエグゼクティブハウス禅に宿泊した話を書き、今回もシャネルのマトラッセの話を書き、セレブ感を醸し出しながらもやはりここは西山繭子、このバッグを手に入れるためにせっせと納豆と豆腐を食す毎日なのです。両方とも大好きですし、身体にも良いので苦にはなりませんが、いかんせんおかめちゃんエコバッグが手に入るかどうかは神のみぞ知るという不確かさに心が落ち着きません。商品についたバーコードを2枚1口として応募ができるので、今のペースでいくとキャンペーン終了の12月15日までに20口以上は送れるはずなのですが、自分が欲しいとなると日本国民全員が狙っているように思えてきて、もっと食べるペースをあげようかなどと考えてしまいます。それを友人に話したところ「メルカリとかヤフオクに出るだろうから、そこで買えばいいじゃん」とのこと。そういうことじゃないんだなあ。それはおかめちゃんに対する冒涜なんだなあ。よし、ここはもう少しペースをあげてみよう。当選確率と共に女性に大切なイソフラボン摂取量もアップという一石二鳥。良いことづくめです。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website