iPhoneSE│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#192

iPhoneSE

2022-04-11 11:39:00

 ここ最近、一気に暖かくなったので気分は上々。何か明るい色のお洋服が欲しいなと思いお買い物に行きました。百貨店などを覗きつつ、若い子に混じってGUにも入ってみました。ふむふむと洋服で溢れ返る店内を物色していたのですが、多くのTシャツが寸足らず。流行りなのでしょうが、こんなに丈が短かったらもう数百円安くしても良いのではと思うほどの寸足らず。しかし、見ているうちに感覚が色々と麻痺してきて「着たら可愛いのかもしれない」という考えがむくむくと生まれてきました。パンツを何本か試着するついでに、せっかくだから着てみようと寸足らずな赤いボーダーTシャツを持って、試着室へと向かいました。あんなに安価な洋服を売っているというのに、試着室のお兄さんもお姉さんもとっても親切でおばさんは感動。そして外側に5の札をかけカーテンを閉めて、レッツトライ。ワイドパンツ、テパードパンツは、どれも若い子だったら許されるけれど、40代の私には厳しい質感とライン。昔だったら「まあこの値段だったら良いか」と買っていたかもしれませんが、プチ終活に入っている今、余計な荷物は増やさないようになりました。そして問題の寸足らずTシャツはといえば、鏡にうつった姿に唖然。そこにはいたのは、サーカス団の団員でした。先日観た映画『ナイトメア・アリー』にこんな人いたかも。GUで売っているのは普段着のはずなのに、おかしいな。高校生の頃は、SPEEDの『Body&Soul』よろしく寸足らずにぶかぶかのデニムでも可愛かったんですけどね。まあそれから30年も経っているわけだから、団員になってしまうのも致し方ないか。優しい店員さんたちにぺこぺこと頭を下げて、お店をあとにしました。ここ最近、加齢をびしばし感じます。20代の野球男子に「ササキが完全試合やったんすよ」と言われ「ササキ?大魔神?」と真顔で訊いてしまったり、タクシーの運転手さんにミッドタウンのことを旧防衛庁と言って「どこですか、それ?」と言われてしまったり、すこぶる昔を生きている私。そんな私が先日、5年ぶりにiPhoneを新しくしたのだから、それはもう大変。そろそろ一ヵ月が経ちますが、いまだにその機能の5%も使えていないと思われます。
 新しくしたiPhoneは3月18日に発売されたiPhoneSEの第3世代。これまで使っていたiPhone5Sから物凄い飛躍です。ほぼタイムスリップ、『バックトゥザフューチャー2』ですよ。これは今年1月の誕生日プレゼントに事務所の社長に頼んでいたもので、もともとSEを希望していたのですが、どうせなら新しい物が出るまで待とうということで、先月の発売と同時に買っていただきました。社長が買ってくれるのならばと、図々しい私は一番容量が大きな256GBの物をお願い。まずここで問題勃発です。私のこれまでの5Sの容量は16GB。これを買う時にアップルストアで「16GBと32GBだと重さが違うんでしょうか?」と尋ねて、店員さんを苦笑いさせたのは良い思い出です。その16GBがいきなり256GBに。これはワンルームに暮らしていた人が豪邸に引っ越したものの、荷物がまったくなくて家がスカスカという状態です。「でも、それがあっという間に足りなくなっちゃうんですよお」と一緒に働く20代女子が私に言っていましたが、写真もあまり撮らない、動画や音楽をダウンロードすることもない私の場合、死ぬまで埋まらないのではと思います。しかし、せっかくそれだけ容量があるのならばとフランス語の学習用にリスニングの音声教材を入れることにしました。これで移動中もフランス語の勉強ができるぞ、と意気込んで外出した時のこと。電車の中でiPhoneにイヤフォンをさそうとしたのですが、何とイヤフォンジャックがないではないですか!最近、山手線内でiPhoneを四方八方から凝視して穴を探している中年女性を見かけた方がいらっしゃいましたら、それは間違いなく私です。いやー、驚きました。デジタル機器は常に進化していますね。iPhoneにもともと入っているアプリも何に使うのかよくわからないものや、わかっても使うことがないだろうなと思うものがほとんどで、それをフォルダにひとまとめに片付けたら、既存のアプリが6つしか残りませんでした。宝の持ち腐れとはまさにこのことですね。そして、その進化で何よりも驚いたのは写真の綺麗さです。もう自撮りなんて二度とできないであろう鮮明さ。これまでは、きちんとお化粧をしている時に30枚撮ったら1枚使えるぐらいが私の自撮りレベルだったのですが、もうこれでは1万枚撮っても無駄になってしまいそう。これに怯むことなくパシャパシャしまくっている若者たちって本当に凄いのだなと心から思いました。写真は新しくしたiPhoneで初めて撮った記念すべく1枚。『賛否両論』のお弁当です。しかし、この写真のLiveっつーのは何なんですかね?写真が勝手に動いていて奇妙です。

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2022.4.11 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website