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TUBE
2022-09-12 08:44:00
9月に入り、風が秋めいてきた今日のこの頃ではありますが、先日、やっと私の夏が始まりました。花火大会にも行かず、バーベキューにも行かず、ナイトプールにも行かず、このまま夏を始めることなく秋を迎えると思っていましたが、やっと始まりました、私の夏。ストップ、シーズンインザサン。夏休みなんて取れなかったけれど、あー夏休み。だって夏じゃない。ここでピンときた人、あなたは同志。そうです、私の夏を始めてくれたのは日本を代表するバンド、TUBEです!今回はコロナ禍を経て3年ぶりの開催となった横浜スタジアムでのコンサートのお話です。
TUBEは子どもの頃から知っているバンドではありますが、コンサートに行ったのは今回が初めて。結論から言うと、こんな最高のイベントを30年以上スルーしていた自分を全力で叱りつけたい。来年からは毎年行くと心に誓ったのであります。このコンサートのことを知ったのは、コロナに感染した自宅療養中でした。何もできなくてひたすらネットを眺めていたことが功を奏しました。そう考えるとコロナに感染したのも悪くなかったのかもしれません。チケットを手に入れてからは、まず予習のために『BEST of TUBEst』 をゲット。曲を知らないとコンサートを楽しめないものね。そう思い聴き始めたこのCDでしたが、そもそもそんな心配は無用でした。なぜなら聴く曲聴く曲、どれも知っているのです。恐るべしTUBE。そしてさらにTUBEの凄さを痛感したのは、この夏の猛暑。外を歩くたび、うだるような暑さに顔をしかめていたのですが、TUBEを聴き始めた途端あら不思議!真夏の強烈な日差しでさえもが、喜びに変わるのです。これは家族や友人たちにもお薦めしました。「騙されたと思ってやってみて。TUBEの曲を聴きながら歩くと、猛暑が俄然楽しくなるから」最初はみんな「まさか~」と信じてくれなかったのですが、実際にやってみると「本当だ!すごい!」と感動していました。恐るべしTUBE。
そしてコンサート当日、少し前までは雨予報が出ていて心配だったのですが、横浜は見事な快晴。スタジアムは全国から集まったTUBEファンの熱気が渦巻いていました。私が座った1塁側スタンド席は、ステージからは遠いものの見晴らしが良く、すこんと抜けた空は爽快です。何よりもまわりの人々の楽しそうな顔を見ていると、昨日のイヤなことも、明日の仕事も、今この瞬間はすべてを忘れて楽しもう、そんな気持ちになりました。そして『だって夏じゃない』から始まったコンサートは『ガラスのメモリーズ』『さよならイエスタディ』と続いて、もう最初から悶絶です。ここ最近、色んなライブや舞台を楽しんでいますが、これほどまでに心が高まるのは久しぶりのこと。気づけば、目には涙。胸の裡では、懐かしさとか、喜びとか、喪失とか、色んな感情が交じり合っていました。楽しいのだけどせつなくて、戻りたくても戻れなくて、前田さんの歌声が心に響きまくりなのです。コンサート中に、昔のMVを流しながらのメドレーがありました。『SUMMER DREAM』『Beach Time』当時、それらを見ていた私は小学生でした。もう30年以上も前のことなのに、昔の映像を目にした途端、当時抱いていた感情が鮮やかに胸によみがえってきました。大人って、なんて楽しそうなんだろう。青い海をバックに歌うTUBEはその象徴だったように思います。時代がバブル景気に沸いていたこともあるのでしょう。私の目に映る大人たちは、いつも楽しそうでした。DCブランド、ディスコ、アッシーくんにメッシーくん。大人になったら私もかっこいい彼氏とシーマで湘南をドライブするぞと輝かしい未来を夢見ていました。思い返すと当時は今と違って子どもと大人の境目というのが、もっとはっきりしていたような気がします。ああ、大人になったらこんなことをしよう。あんなことをしよう。そんな風に胸をときめかせていた子ども時代でした。そして大人になった今、私はやりたかったことをできているだろか、そして大人を楽しめているだろうか、そんなことをふと考えました。目の前にはTUBE、手にはコンサート限定サワー『湘南ゴールド』、そしてもう片方の手には初体験のフリフラ(遠隔操作で色が変わる摩訶不思議なライトです)。うん、大丈夫だ。相当大人を楽しんでいる。イヤなこともツラいこともあるけれど、こうして心から楽しいと思える瞬間があるのだから、大丈夫。私は、大人を楽しんでいる。
コンサートが終わって10日ほど経った今ですが、TUBEへの熱は冷めぬばかりか、ますますヒートアップ。毎日のようにYouTubeで動画を眺めては胸をときめかせ、もう大好きすぎて、前田さんのモノマネをするTUBEリスペクト芸人マエダ夏男さんのスケジュールまでチェックし始めました。ああ、来年の夏が待ちきれない!それまで私も一生懸命頑張るから、このヒビ割れたiPod nanoも頑張れ!
2022.9.12 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website