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プラスチック
2022-09-23 12:32:00
毎朝NHKのワールドニュースを観ていると、毎日のように世界各地で起きている異常気象を目にします。これは地球温暖化が原因の一つと言われていますが、愛読している子ども新聞を読む限りではまだ確かなことはわかっていないとのこと。それでも環境問題に目を向けることは、今の時代、必須となっています。エコじゃない人間は遅れている。そんな世の中です。自分はどうかといえば、正直、意識は低いです。グレタさんに叱られても文句は言えないレベルです。とはいえ、私のような平民の質素な暮らしは、特別なことをせずとも環境問題を声高らかに訴えるセレブよりよっぽどエコだったりします。まず私は、プライベートジェットなどもちろんのこと、車すら持っていません。移動はもっぱら電車と自転車。先日、女性専用車両に乗ってしまったおじさんが「は!」と気づいて、大慌てで車両を移動しているのを目撃し「男はつらいよ」と思いました。私も、青少年専用車両があれば、素知らぬフリをして乗ってみたいものです。そして普段の買い物では、もちろんエコバッグを持参です。これはエコ云々ではなく、ビニール袋が有料だから。常に節約を心掛けて暮らせねばならぬ人間が、そんなところにお金を使うはずがないのです。そもそも有料になる前から過剰包装が苦手だった私は、極力ショップバッグをお断りしていました。その昔、ブラジャーを買った際「そのままで大丈夫です」と言い、驚く店員さんを前にむんずと掴んだブラジャーをバッグにしまいました。そして帰りの電車の中でのこと。携帯電話をごそごそとバッグから引っ張り出したところ、ストラップにひっかかったブラジャーが、まるで手品の万国旗のように出てきたのであります。思わず車内で拍手が起きるかと思いましたが、目の前に座っていたお姉さんが、ぎょっとしているだけでした。みなさんもブラジャーをバッグに忍ばせた際はお気をつけください。そういえば少し前も、購入したお酢を手にして歩いていたところ、友人に出くわし「酒瓶持って歩いているのかと思った。とうとうそこまで落ちたかと不安になった」と心配させてしまいました。
なぜ突然こんな風に環境問題について言及し出したのかと言えば、私が暮らしている自治体でプラスチックが可燃ごみから資源ごみに変わったからなのです。しかも7月から始まっていたというのに、今になって気づいたという意識の低さ。これは大変、と早速ガイドラインをふむふむと読みました。まあ44年も生きていますから、パッと見て何がプラスチックかというはわかります。故に、それほど大変ではなかろうと思っていたのですが、実際に始めてみると大変というよりも驚きの方が大きかったです。それはプラスチックの多さ。これほどまでにプラスチックと共に生きていたとは。特に食品関係にいたってはほとんどがプラスチックゴミと言っても過言ではないでしょう。チョコレートを食べれば、その2cm四方の袋にもプラマーク。こんにゃくゼリーの外袋にも小さな容器にもプラマーク。納豆は豆以外全てがプラスチック。容器、醤油袋、からし袋、そしてねばねばと糸をひくシート。私がこれまで出していた可燃ごみのほとんどがプラスチックであることがわかりました。ここまで生活に浸食していることに恐ろしさすら感じた私は、図書館でプラスチックの関連本を読み漁ったのですが、産業化されてから70年ほどしか経っていない事実にますます驚愕。今、叩いてるキーも、机の上に置いてあるボールペンも、ハンドクリームの容器も、かけている眼鏡のフレームも、全てがプラスチック。その昔、マンチェスターの学生寮のキッチンでフランス人が手にしていたALDI(激安スーパー)オリジナルの米を見て「それ、プラスチック?」と訊いて怒らせたことがありますが、知らず知らずのうちに私たちも食べているのでしょうね。と思って調べたら、私たちが1年間で口にしているプラスチックは何とヘルメット1個分だそうです。なんて秀逸な例え!グラムで言われてもピンとこないところをヘルメットに例えるとは。バリバリとヘルメットを食べている自分をイメージすることで、現実問題として捉えることができます。しかし、プラスチックが悪者であるという決めつけをすることは、何の解決にもなりません。この便利さを手放して生きて行くことなど不可能なのですから。まずは自分にできることを考える。私の場合は分別を頑張る。そして月曜日に寝坊をしない。なぜなら資源ごみの回収日だからです。しかし水曜日から日曜日まで会社で働いている私にとって、日曜の夜というのが、一番心が解放される時間なのです。気をつけないとなあ。写真は最近購入した英国老舗百貨店ハロッズのエコバッグです。3000円の送料を支払って空輸されているわけですから、まったくエコじゃないですけどね。
2022.9.26 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website