https: インディ!│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#222

インディ!

2023-07-10 11:00:00

 私が暮らす東京の本日の最高気温は36℃。本当に暑い。寝ても覚めても暑い。日が昇ってからは、みるみる気温が上がるので、ここ最近のウォーキングは5時までには終わらせないと厳しいです。それでも汗だく。歩いている時は、来月の横浜スタジアムのコンサートに向けてTUBEを聴いているので(昨年の様子は第202回『TUBE』参照)爽快な気分なのですが、家に帰ってシャワーを浴びてからもなかなか汗がひきません。それでも朝早くからエアコンをつけるのは気が引けるので、団扇でぶんぶん仰ぎます。そのたびに扇風機が欲しいなあと思います。使っていない時の収納場所に困るという理由でずっと購入を躊躇しているですが、今年こそは買おうかなと。加齢とともに高まる熱中症の危険性、私も気をつけなければです。少し前にテレビをつけたら、私が15年ほど前に出演したドラマが再放送されていました。その時は「へー、そんなに変わってないなあ」と思ったのですが、先週からスタートした『初恋、ざらり』の第1話を見たら「あ、やっぱりめちゃめちゃ変わってる」だったのです。それが良いとか悪いとかではなく、ちゃんと45歳だなあと。この世の中、歳をとることだけは誰しもが平等。ここ最近で、そのことを強く感じたのは『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観た時でした。私の世代で「これまでに一番観た映画は?」と問われた時、『インディ・ジョーンズ』を挙げる人は多いのではないでしょうか。あとは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。何しろテレビで放映した回数がとても多いですからね。私も1980年代に公開された3作のうち、劇場で観たのは『最後の聖戦』のみで1作目の『レイダース 失われたアーク』と2作目の『魔宮の伝説』はテレビでの鑑賞。当時、放送を録画したVHSをテープが擦り切れるほど観ました。大袈裟でなく、観すぎてそらでアフレコができるレベルです。そして今はDVDボックスを持っています。ほとばしるインディ愛。しかし2008年に公開された4作目『クリスタル・スカルの王国』は、期待が大きすぎたというのもありますが、なんだかなーというのが正直な感想でした。ただ、その時は代々木体育館で行われたジャパン・プレミアにゲストとして呼んでいただいたので、レッドカーペット上でハリソン・フォードに逢うことができ大興奮。彼は当時すでに66歳。アクションをやるにはすでにしんどい年齢でありました。作品内でもバックショットになった瞬間にスタントマンであることがバレバレで、ちょっとがっかり。だからこそ世界中のファンはそれが最後のインディだと思っていました。しかしそれから15年の時を経てまさかの最新作。ハリウッドって恐ろしいところですね。今年でハリソンは傘寿の80歳。もう立派なおじいちゃんです。さすがにここまできてアクションを期待するのは酷というもの。インディファンとしては、ただただ温かい目で見守ろうではないかと劇場に足を運びました。それが冒頭のシーンでまずはびっくり。映画の舞台はナチスが台頭していた時代から始まるのですが、そこには若かりし頃のハリソン・フォードが。え?どういうこと?昔に撮影していた未公開シーンなの?混乱しながらも、昔のままのインディの姿に胸が熱くなります。あとから調べたところ、CG、VFX、AIなどを駆使して30代のハリソン・フォードを蘇らせたとのこと。率直にすごい。すごいとは思う。でもこれ、役者をやっている人間としては、恐ろしさを感じてしまいます。だって「この役、20代の頃の××さんでやりたかったなあ」「じゃあ作ります?」みたいなことが起きるわけですよね。グレタ・ガルボとケイト・ブランシェットが共演なんて夢のような映画が作れたりするわけですよね。そりゃ観てみたいですよ。でもやっぱい怖い。ChatGPTが何たるかもいまいちわかっていない私、老いとともにテクノロジーについていけなくなることには危機感を憶えます。使い慣れたものが、進化という名のもとで世の中から消えていく。新しくなったシステムに対応できなくて、人の手を借りないと何もできない。自分がそうなるとツラいなと思うのです。映画の中で、インディは老体に鞭を打って敵と闘います。インディファンとしては、ひたすら応援するのみ。だって今回こそ、本当に最後のインディ・ジョーンズでしょうから。そしてエンドロールでテーマ曲が流れた瞬間には涙がじわり。何十年と愛した映画が終わりを迎え、懐かしさで胸がいっぱいになりました。ありがとう、インディ。写真は1989年に映画館で買ったパンフレットです。リバー・フェニックスだけ写真で付け足された雑さが良いですね。

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2023.7.10 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website