https: マルサの男│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#236

マルサの男

2024-02-12 01:55:00

 この数ヵ月ずっとモヤモヤしていることがあります。それは2023年11月30日をもってBSプレミアムが放送終了し、実質的にチャンネルが半分になったのに受信料が220円しか値下げされていない(クレジットカードでの継続払いの場合)ことです。「このホールケーキ、半分にしましたけど値段はほとんど変わりません」そんな阿漕なケーキ屋がいったいどこにあるのでしょう。NHK側の言い分としてはBSプレミアムがBSプレミアム4Kに形を変え、より良い画質で番組をお楽しみください!なのでしょうが、私が勤める会社で20~50代の男女16人に調査したところ、4K放送が観られる環境にあるのは、たったの1人。ほとんどの人が「4Kって何ですか?」状態でした。観られないものに受信料を払わなくてはいけないって納得がいきません。これまでたくさんの番組をBSプレミアムで楽しんでいた私としては本当に腹立たしい。「Netflixとかアマプラ観れば良いじゃないですか?」「そういった類のものは一切入っていないのよ」「え!じゃあ、どうやって映画観るんですか?」「映画館」「映画館で観られなかったものは?」「縁がなかったと割り切る」「昭和感すごいですね」Netflix、アマプラ、U-NEXT、Hulu、ディズニーチャンネル。その20代男子は全て加入しているそうです。金持ちだな。交通費を浮かせるために自転車フル活用の私からすると考えられません。そういえば、区民交通傷害保険もしれーっと値上げしていたなあ。ヘビー自転車ユーザーなので、万が一のことを考えて数年前から加入しているのですが、継続の手続きをしよう申し込み用紙を記入したところ、補償内容は何も変わらずに保険料が300円値上がりしていました。前回の『資産運用』に引き続き、こうお金のことを書いてしまうのは、それにまつわる鬱憤と不安が蓄積しているからであります。
 実は、昨年、あたくしのもとに税務調査が入りました。税務調査というと、私の世代では伊丹十三監督の『マルサの女』が有名です。家のなかのいたるところを調べられて、お金を持っていく。とても面白い映画でした。でも実際に税務調査に入られると、面白いことなんて何ひとつありませんでした。19歳でこの仕事を始めて収入を得るようになってからこれまで、私は自分で確定申告をしてきました。税理士にお願いするほどの収入がないからです。毎年、パパーッと計算してパパーッと書いてパパーッと提出。それぐらいの収入なのです。そうして何も指摘されることなく25年間を過ごしてきました。それが昨年、突然税務署から電話がかかってきたのです。私1人では対処できないと思い、税理士さんにお願いをすることにしました。まずは一緒に管轄の税務署へ。若い税務官2人から聴取を受けます。その時は、わりかし和気あいあい。税務官の1人は「ぼくジャニーズファンなので、西山さんが出たドラマ観たことあります」なんて話していました。その後、税理士さんも何とか修正申告だけ済ませられるように尽力してくれたのですが、どうしても2人が私の家に来たいということでしたので了承いたしました。しかし、これまで我が家には、多くて3人しか入ったことがありません。私、引っ越し屋さん2人という内訳。それが今回は私、税理士さん、税務官2人、マネージャーの5人。このコラムでは何度も書いていますが、私の家は狭小1Kです。そこに5人って!完全にキャパオーバーです。しかも我が家には椅子が1脚しかないので、ずっと立ち話。もちろん悪いのは、正しい確定申告をしていなかった私です。経費になると思っていたものが、経費として認められなかった。その分、本来納めなくてはいけない税金を納めていなかった。それにより、今回は追徴課税も支払うことに。今年からは、しっかりと税理士さんにチェックをしてもらった上で確定申告をしなければと反省しています。一方で、40代女性の平均年収とほぼ変わらない私に対しては、わざわざ家までやって来て「これは経費としては認められないです」と責め立てるくせに、政治家には3年間で3500万円の書籍代を認めるこの国って、やはりおかしいと思うのです。私の場合、今年は相続税も支払うことになりますが、政治家は政治資金にさえしてしまえば非課税なので、相続税も贈与税もかかりません。国民の多くが腹を立てているのに、何も変わらない。毎回選挙に行っているのに、何も変わらない。いったい、どうしたら良いのでしょう。助けて、大谷くん。

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2024.2.12 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website