https: ミス・ズボラ│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#247

ミス・ズボラ

2024-07-22 10:30:00

 「西山さんって料理するんですか?」「まったくしない」「じゃあ、毎日外食してるんですか?」「外食は月に2、3回ぐらいかなあ」「え?じゃあコンビニとか?」「コンビニは行かない」「え?ごはんどうしてるんですか?」「自炊」「・・・。料理しないんですよね?」「しない。料理というほどのものは作らない」「何を作るんですか?」「毎朝、お味噌汁は作るよ」「それ、料理ですよ」「えー、違うよ」これは、先日繰り広げた20代の女の子との会話です。彼女には、私の考えはうまく伝わらなかったもよう。私のなかで料理というのは、いくつかの材料をいくつかの工程を経て作るもの。例えばハンバーグやカレーなどですね。なので、毎朝台所には立っているものの料理をしているという自覚はまったくありません。ごはん、お味噌汁、目玉焼き、納豆、ぬか漬け。これが私の定番の朝ごはんです。定番というか、面倒なので毎朝これ。完全にルーティーン。ごはんは週1で3合炊いて冷凍。お味噌汁も都度、具材を冷凍ストック。目玉焼きはフライパンに卵を割るだけで、ぬか漬けは野菜を取り出して切るだけ。納豆にいたってはパックを開けるだけ。これのどこをもって料理と言えましょう。たまにこれに加えて焼き魚が並んだりする時もありますが、切り身を焼くだけですからね。魚をさばくところから始めれば料理という気もしますが、魚焼きグリルに入れるだけですから、やはり料理ではないなあ。一人暮らしを始めた時は色々と頑張っていたのですが、今ではもう料理をする必要性をまったく感じなくなりました。ズボラ万歳。そして少し前、そんなズボラーな私の食生活に、さらに強い味方が加わりました。それは発酵器であります。
 きっかけは『はじめての発酵ごはん』という本でした。そこにのっていたカキしょうゆ麹という発酵調味料に興味深々。カキの旨みをぎゅっと凝縮した濃厚なオイスターソース。読んでいるだけで、絶対に美味しいやつ!これをゆで卵に添えるだけで、私の人生はさらに豊かになるであろうと思いました。これまでヨーグルトメーカーなるものの存在は知っていましたが、それはあくまでもヨーグルトを作るものという認識でした。それが調べてみると、ずいぶんと色んなものが作れるではないですか。わー、なんか楽しそう。ということで早速、タニカ電器のヨーグルティアSを購入。届いたそれは想像していたよりもずっと軽くてコンパクトなのに、同梱されていたレシピ本によると低温調理でローストビーフまで作れるとな。すごい。ドラクエ8の錬金釜みたい。とはいえヨーグルティアという商品名なのだから、やはりここはまずヨーグルトから作るのが正攻法。いたって保守的な私であります。まずは説明書の手順に従って電子レンジで容器を消毒。そしてレシピ通りに牛乳1リットルとプレーンヨーグルト100gを混ぜて設定温度を40℃にセット。そして7時間待ちました。ドキドキしながら外蓋を開けると、そこには美味しそうなローストビーフが・・・できていたら恐ろしくて返品しましたが、もちろんそんなことはなく、容器にはなみなみとヨーグルトができていました。とても美味しかったのですが、レシピには保存期間が1週間程度とあり、1週間で1kgのヨーグルトを食べるのはちょっとしんどかったです。そしてヨーグルトの次に挑戦したのは甘酒。カキしょうゆ麹じゃないんかい。そうなんですよ、カキをゆでて細かく刻むのが、ちょっとハードル高くてね、だからまずは甘酒。飲む点滴との異名を持つほどに美容効果が高く、健康に良いといわれる甘酒です。こちらは炊きたてのごはんと米麹とお水を混ぜて60℃で6時間。砂糖を入れていないのに、なぜこれほどまでに甘くなるのかとっても不思議。美容効果を期待して、今では朝食後のデザートの定番になりました。そして、その次に挑戦したのは塩麴。なかなかカキしょうゆ麹を作らない私です。こちらは塩と米麹とお水で作ります。塩麴はまさに万能調味料。毎朝食べる納豆は、付属のたれではなく塩麴を入れようになりました。いやー、昨年購入したバルミューダの扇風機と肩を並べるほどに『買って良かったもの』な発酵器です。これもすべて、私の心を動かしたカキしょうゆ麹のおかげ。まだ作っていないけど。だってほら、Rのつかない月にカキを食べるなって言いますからね。ちなみにローストビーフはね、レシピをよく読んだら「フライパンで表面に焼き色を付けます」と書いてありました。えー、だったらそのままフライパンで作った方が良いじゃん。西山繭子、ズボラに拍車がかかっております。

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2024.7.22 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website