https: アナログ手続き│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#250

アナログ手続き

2024-09-09 12:45:00

 「こんにちは!乃木坂46のまーたん(46)です!今日は最後まで楽しんでくださいね!めがねくんのために一生懸命歌います!」これは、先日乃木坂46のライブに行った甥っ子1号(通称めがね)に送ったLINEです。これに対する返事は「はい」でした。叔母さん、ものすごく適当にあしらわれています。ここ最近、私のタイムラインが乃木坂一色なのは、めがねが乃木坂のファンだと知り、検索をしまくった結果でありましょう。その昔、モーニング娘。のメンバーの顔の区別がつかないと言う母に驚愕したことがありました。あの日から数十年、今では私もそちら側に片足を突っ込んでいるようで、乃木坂のお嬢さん方の顔と名前をなかなか覚えることができません。みうらじゅんさんいうところの、老いるショックですね。日常生活においても、デジタル化の波についていくのが年々厳しいと感じる今日この頃。今のところ何とかスマホを使ってはいますが、家計簿は手書きだし、ネットバンクを使っていてもこまめな通帳記入はかかせないし、飛行機も新幹線も紙のチケットがないと不安です。すべてがデジタル化されたあかつきには、どうなってしまうのか。とはいえ、まだまだアナログなものも多い令和6年。それの最たるものは、行政手続ではないでしょうか。
 先日は行政手続行脚で千代田区、渋谷区、世田谷区の出張所などを回りました。その日は始発で家を出て、父の事務所であれやこれや仕事をし、そこから朝8時30分の開庁と同時に千代田区役所へ向かいました。休日はとにかく朝早くから動くに限ります。この千代田区役所は、父の住民票があったためにこれまで何度も足を運んでおり、手続きが非常にスムーズなことも承知済み。いつも待ち時間が少ないのは千代田区の住民が少ないからかなあなどと考えていましたが、ここ数年はマンション建設の増加により、人口がぐんぐん増えているらしいです。それでも23区内でみるとまだ圧倒的に少なく(1位の世田谷区は94万人、23位の千代田区は6万6千人)、この日もすいすい。受付の方がとても親切で、何をどうしたら良いかきちんと教えてくれます。役所といえば不親切というイメージがありますが、ここはそういったことはまったくありません。朝イチで1ミッション終了。そして、お次に向かう前に、サンマルクでチョコクロタイム。休日のこういう自由な感じ、たまらなく幸せです。レジで颯爽と株主優待カードを見せれば、お財布に優しい20%オフ。窓際の1人席で、チョコクロをさくさく食べて、アイスコーヒーをちびちび飲んで、そしてノートを開きます。これは何でもありの雑記帳。ここに近日中にやるべきことなどを書いていきます。このあたりも、やはりアナログ。スマホのメモ機能を使うこともありますが、文字を書くことで頭が整理されるのですよね。ついでに言うと、私は文字を書くのが好きなので、会社でも文字を書く業務があると率先して引き受けます。同僚たちの「いつもありがとうございます」に「とんでもない」と笑顔で返しているのは、本当に「とんでもない」と思っているからです。私の株もあがって一石二鳥だぜ。そしてチョコクロで元気になった私が次に向かったのは渋谷区の出張所。ここでは印鑑証明書をもらいました。マイナンバーカードがあればコンビニでも取れることは重々承知。それでも端末に手間取ることを考えると、手数料100円の差であれば出張所一択です。そしたら何と驚くことに、今年の4月から印鑑証明書のコンビニ交付は手数料が10円になったんですって。「わあ!安くていいですね!」よりも「今までの200円という料金設定は何だったのか」と思いました。まあ、それを聞いた上でもコンビニには行かずに出張所でとるのが私なのですけどね。横のカウンターでは何があったのか、おじさんが「何のためのマイナンバーカードだよ!上の人間出せよ!」と怒鳴り散らしておりました。上の人間と耳にして、河野太郎氏が出てきたら面白いなと思いましたが、古いビルの一角にある出張所の存在など、彼には興味のない場所でありましょう。絶対に総理大臣になって欲しくないなあ。増税する前に、お前らが世襲、世襲で免除されてきた相続税を払えよ、バカ。あら、失礼。税金のこととなると、どうしても心がささくれ立ってしまう西山です。まあ、みんなそうでしょうね。だから、きちんと声をあげていきましょう。そして渋谷区の出張所から自転車を走らせ、最後は世田谷区の出張所へ。本籍があるので戸籍謄本はこちら。1つの手続きのための書類を揃えるのに、これだけ回らなくてはいけないのですから、行政手続の一本化、デジタル化など、ほど遠い未来のように思います。ただ、私としてはこうしてひとつひとつを対面で片づけていく作業が好きなので、アナログな部分は残して欲しいなと願っています。写真は歴代の雑記帳(悪口多め)の一部です。

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2024.9.9 配信

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website