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不具合
2025-08-11 13:04:00
右手指先の湿疹がなかなか治らなかったため、皮膚科に行きました。ルーペで私の指を見た先生は「これは痛痒いねえ」と。そして「これはね、主婦指なんて呼ばれたりもして、若い主婦の方に多いんですよ」と言いました。若くもなければ主婦でもない私は、いささか困惑しながら「へえー、そうなんですかあ」と頷きました。処方していただいた薬の使い方や、日常生活で気をつけた方が良いことなどを伺い、最後に「他に何か気になることはありますか?」と訊かれたので「ボトックスとか顔のリフトとかってまだ必要ないですかね?」と自分の頬に手を当てたところ、先生は真剣な目で私の顔を覗き込み、人相占いよろしくふむふむ眺めてから「まだいいんじゃない?」とカジュアルに言いました。こちらの皮膚科にはもう20年ほど通っておりまして、今回のような診察もしてもらいますし、レーザーでシミとほくろの除去をしてもらったこともあります。待ち時間に美容医療の広告を眺めてはハイフやヒアルロン酸注射などが気になっているのですが、今は先生の言葉を信じてもうしばらくナチュラルを貫こうと思います。
それにしても、この暑さ。体調や肌にトラブルが出るのは致し方ありませんが、先日はなんとパソコンまで壊れてしまいました。私は毎日眠りにつく前に「アップデートの必要がなくて100年間壊れないパソコンができますように」とお星さまにお祈りしています。Windowsは永遠に1で良いので、とにかく同じ仕様で使わせて欲しい。私と同じことを考えている人が世界中に10億人はいるはず。壊れてしまったパソコンは2020年の誕生日にフラームの社長にプレゼントしてもらったものでした。5年というのがパソコンの平均寿命であることは知っていますが、これだけ技術が進歩しているのだから寿命に特化した製品を作れば良いのに。まあ、そうすると新製品が売れなくなるからわざわざ壊れるものを作るのだろうけどさ。ああ、健全じゃない世の中。私はパソコンを抱えて大急ぎで修理店へと向かいました。担当をしてくれた加藤くん(仮名)は、私のざっくりとした状況説明にもイヤな顔ひとつせずに対応してくれます。「電源を入れてもすぐ落ちちゃうんです」「バックアップ?ちょっとわからないです」「OneDrive?聞いたことはあります」加藤くんの説明によると、これはVAIO特有の症状でマザーボードが云々。そちらを交換するか、もしくはデータを取り出すか云々。一応「へえ」とか「ほお」とか頷きながら聞いていましたが、正直さっぱりわからない。そのあとも加藤くんは、こちらのトンチンカンな質問にも丁寧に答えてくれて、しかも答えてくれたのに「全然わからないや。あはは」と言うおばさんにコブシをあげることもなく冷静沈着。結局データを取り出してもらうことにして店をあとにしたのですが、その1時間後にも「あの、さっきも教えてもらったかもしれないんですけど」と電話をしてもう一度説明を求める私。ごめんよ、加藤くん。パソコンのこと、本当にわからないの。そして3日後、再び修理店へ。カウンターの前に現れた加藤くんに「あら!髪切りましたね!」と言うと「あ、はい。旅行に行くのでその前にすっきりしようと思いまして」と加藤くん。「どこ行くの?彼女と?」という言葉が喉まで出かかりましたが、カスハラorセクハラになるのではと考え「で、パソコンですけど」とすくっと切り替えました。あとから姉に訊いたところ、旅行の話が向こうから出たのなら、行き先まで尋ねるのがマナーだとのこと。ほほう、メモメモ。無事に取り出したデータをUSBで受取り「本当に助かりました。また何かあったら加藤さんにお願いしますね!」と言うと、加藤くんは「何もないのが一番良いんですけどね」とめちゃくちゃ大人な対応。データを取り出す際に私のHな写真とか探したかもしれないけど、そこは許すよ、加藤くん。いや、ごめん。絶対に興味ないよね。そしてそのUSBを握りしめて眠ること数日、新しいパソコンが届きました。1月生まれの私に、社長からの真夏の誕生日プレゼント。先日は長濱ねるちゃんも加入し、ますます華やかになったフラームですが、地味にひっそりと生きている私のことも変わらず大切にしてくれる社長であります。新しいパソコンはこれまでと同じVAIO SX12という機種なのですが、コンピューターに疎い私が何故こんな高性能なものを愛用しているのかといえば、ただただ「軽い」というアナログな理由です。その昔、アップルストアでiphone4を手に取り「8GBと16GBは、重さも違うのですか?」尋ねた私。重さには人一倍こだわりを持っています。その軽いパソコンで今日も原稿をテケテケ。写真は先日発売になりました『ベストエッセイ2025』です。豪華なラインナップのなか、ありがたいことに私の作品も掲載されております。
2025.8.11 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website