https:
アメリカ
2026-02-09 11:27:00
立春を過ぎましたが東京でも雪が降り、春はまだまだの今日この頃。昨年、北海道美深に行くために購入したサップランドという最強のスノーブーツを履けるので雪が降るのは嬉しいのですが、気温が下がると困るのが我が家の結露です。私が暮らし始めた時は築17年だったマンションも、気づけば今では築29年。結露は建物の築年数が古いほど深刻になることが多いそうで、我が家もご多分に漏れずであります。窓に貼るテープや防止スプレー、はたまた雑巾、結露とりワイパーと色々試しましたが、ここ数年は洗車用の拭き取りクロスに落ち着きました。超吸水をうたっているクロスですが、それでも家中の結露をすべて拭くためには、何度も絞っては拭きを繰り返します。何しろ窓の下に水たまりができているぐらいですから。そのうちアメンボが住んでしまうかもしれません。ですので放置という選択肢はないのです。それゆえに他の住人がどうしているのかが気になるところ。数カ月前に引っ越してきた、両腕にタトゥーをびっしり入れた緑色の髪の毛をしたお兄ちゃんが、毎朝結露を拭いているとは考えられないしなあ。ああ、いつの日か結露をしない家で暮らしてみたい。そんなささやかな夢を抱きながら生きている私でありますが、先日久しぶりに心が震える体験をいたしました。それはレディ・ガガのコンサートです。もうね、すべてにおいて桁違い。歌もダンスも演出も。あれほどまでに凄いコンサートを見たのは、マイケル・ジャクソン以来でした。才能のかたまり。正真正銘のモンスター。そんなガガ様を見つめながら私は思いましたね。「アメリカ、恐るべし」と。
私は終戦から33年後に生まれました。もちろん銀座に米軍はおらず、「ぎぶみーちょこれーと」なんて言わずとも家でカバヤのチョコレートを食べられる豊かな時代に生まれました。日本はとっくに独立国として歩んでいましたが、それでもGHQのプロパガンダはまだまだ根強く残っていたように思います。幼い私も、これといったきっかけもなく物心ついた時には「アメリカはすごい国である」と思っていました。それは映画や音楽にふれるようになるとさらに大きくなりました。この連載でも幾度となく登場しているアイドルグループ、ニューキッズオンザブロック(おじさんになった現在も元気に活動中)をきっかけにアメリカンな情報を追いかけるようになり、そのなかでも大きな影響を受けたのは『ビバリーヒルズ高校白書』でした。日本では1992年にNHKのBSで放送が始まったのですが、我が家では見ることができず、同じく洋楽洋画好きのクラスメイトが録画したVHSを借りて見ていました。彼女は神奈川県に住んでいたので、当時めずらしく洋楽MVが見られるTVKの音楽番組『ミュージックトマト』もいつも録画してくれました。Sちゃん、元気かなあ。『バックトゥザフューチャー3』も一緒に観に行ったね。当時、校則が厳しい女子校に通っていた私にとって、おしゃれをして車で学校に通い、授業中にガムを噛み、ダイナーでアルバイトをし、やたらめったら恋をするビバヒルの彼らは、まさにアメリカが提言する自由の象徴でした。以前、携帯サイトで連載していた小説『校長先生がやってきた!』は、日本のド田舎の高校に突如としてアメリカ人の校長先生がやってくるという物語なのですが、ビバヒルがなかったら生まれなかった作品であります。そんな青春時代を過ごした私が初めてメインランドを訪れたのは2001年のNYでした。クリスマス・シーズン真っただ中の華やかな街は、これまで何度も観てきた映画の世界そのままで、極寒のなかを歩いているだけで胸が躍りました。それからも遊びに行くこと数回、NYは何度行っても気持ちが高揚する街で、定期的に発作のように行きたい欲が沸き起こります。先日は映画館で『メラニア』なんて観ちゃったものだから、さらに行きたくて仕方がない。物議を醸している『メラニア』ですが、アメリカ国民ではない私は何も考えずに楽しめて面白かったです。国民が汗水垂らして納めた税金をばんばん使うことを屁とも思わず、ドレスの襟元をミリ単位で直させ、パーティーのテーブルクロスのうっすい柄にさえこだわりを見せ、しかもそれを映画にして公開するなんて。ここでもやはり「アメリカ、恐るべし」なのです。以前、NY在住の友人が「あいつらはそもそものポテンシャルが高い」と話していたことがありました。学校の授業で講師に「中世の騎士になれ」と突然無理難題を言われても、全員がものすごいテンションで中世に騎士になるのだと。「演劇経験なんて誰もないのにすごいんだよ」「あなたもやったの?」「俺もやったけど、この顔だからさ、完全にチンギス・ハーンだよね」その彼は、才能があるんだかないんだかよくわかりませんが、今でも映像クリエーターとしてNYで暮らしているので、それだけで尊敬に値すると私は思っています。あんな物価が高いところで、私だったら生きていけない。最後に訪れた日からそろそろ10年。また行きたいなあ。でも自腹で行くのは大変なので『アメリカ横断ウルトラクイズ』が復活すれば良いのにと思います。写真はワシントンDCで、愛国心あふれるジョンの家に民泊をした時のものです。「これをつけて写真をとると最高よ!」とのことでした。アメリカ、恐るべし。
2026.2.9 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website