ぼんじょるの│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#126

ぼんじょるの

2019-07-05 12:33:00

 ぼんじょるの!今回初めて読まれる方は、ぜひ前回から読んでみて下さいね。さてさてフランスでの撮影を無事に終え、イタリアへと向かった私たち。まずはフィレンツェに到着です。フィレンツェに来るのは10年ぶりで、その時は旅行会社の格安ツアーだったので充分に楽しむことができませんでした。何しろ他のツアー客が気になってしかたがない。母と二人で『ウフィッツバカ』『植毛グッチ』『エロ神父』などとあだ名をつけて噂話に興じておりました。私たちもきっと陰で『悪魔の親子』などと呼ばれていたのかもしれません。旅行会社で添乗員をしている友人いわく、客の中で一番注意しなくてはいけないのが母&娘という組み合わせだそうです。断トツでクレームが多いんだと。うーむ、気をつけよう。
 10年ぶりに訪れたフィレンツェはパリ同様、観光客で溢れ返っておりベッキオ橋なんて崩れ落ちやしないかと不安になるほどでした。その旧市街をぬけてチェックインしたのは素晴らしく豪華なヴィラ。街を一望できる高台にあり部屋数はわずか18室の全てがスイートという素晴らしさ。1泊600ユーロなんて、自力じゃ絶対に泊まれない。ベッドは女子力マックスの天蓋付き。以前、ケニアで泊まったロッジで「天蓋付きのベッドですよ」と言われたのは明らかに蚊帳だった。ああ、これがずっと憧れていた天蓋付きベッドか。しかし、いざ寝てみると夜中に目覚めた時、黒々とした巨大なものが自分を覆っているという光景に「ひゃっ!」となりました。パリで3泊したあとだったのでランドリーサービスを利用しようと思ったのですが、サービス料金は靴下が一足3ユーロ。GUで3足580円だったものをその値段で洗濯するのは憚られ、ジャグジーまでついた素敵なバスルームで靴下とパンツを洗う西山繭子なのでありました。今回は父の仕事の手伝いなので自由時間はほとんどありません。しかしそれでも何とか隙を見つけて遊びたい私。わずか1時間の空き時間を見つければダッシュで水着を購入し、ヴィラのプールで泳ぐというアクティブさ。朝食時には冷えたプロセッコを必ず飲むというアルコホリックさ。自分で言うのもなんですが、私は旅先での時間を謳歌するのが得意です。朝の誰もいない時間にミケ・ランジェロ広場までウォーキングをし、そこから美しい街を眺めながらエンヤの『Wild Child』を聴けば、もうそこは完全に『冷静と情熱のあいだ』の世界!私はマユー・チャン!そして横にはタケちゃーん!(ケリー・チャンと竹野内豊さんのことです)。人が聞いたらアホかと思うようなことが、私にとっては至福の時間で、あまりの幸せに涙が流れたりするんですよね。あら、これって更年期障害かしら?幸せといえば、ちょうどこの頃「日本は結婚ラッシュだよ」と姉と電話で話していたのですが、山ちゃんと蒼井優さんはさすがに芸能情報に疎い姉でもわかっていましたが、もう一つの情報に関しては『EXILEの人とユーリンチー』と言っていました。お姉ちゃん、それ唐揚げだよ。
 今回のフィレンツェでは開館前のウフィッツ美術館で撮影をしました。普通であれば大混雑の館内。そこでダ・ヴィンチ『受胎告知』やボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』を一人占めできるというのは、もう二度とない体験でありましょう。ちなみにフィレンツェのあとに訪れたミラノでは『最期の晩餐』も貸し切りで撮影をすることができました。そのミラノでは甥っ子から頼まれていたクリロナのユニフォームを買いにACミランのオフィシャルショップに行ったのですが、店員のお兄ちゃんに「あいつ、うちのチームじゃねえから」と軽くキレられました。「今度、ミラノに行くよ」「じゃあクリロナのユニ買って来て!」という流れだったので、彼がユヴェントスだなんて思いもしませんでした。甥っ子もざっくり頼むんじゃないよ、まったく。ミラノは2泊したのですが、夕飯は2回とも寿司というね、普通の人だったら耐えられない状況でありましょうが、父との海外取材ではこれが当たり前のことなのです。そこで溜まったフラストレーションをどう解消するかといえば、やはりそこはミラノ、お買い物でありましょう。恥ずかしながら西山繭子、完全に普通女子です。今回は行く前から目星をつけていたので、店でそれを見つけた瞬間に「これください」とお買い上げ。店員さんも「ワーオ!クイック!」と驚いておりました。写真の紙袋の中には女子力あげあげのアイテムが入っています。何だかこう書くとずっと遊んでいたように思われそうですが、今回の父との海外取材も本当に本当に大変なことばかりでした。でもそれは暴露本を出すその日まで、胸に秘めておこうと思います。まあ、現実的にはそんなもの出した瞬間に私は消されてしまうんですけどね。家族でも容赦しない、それが私の父であります。

image2

最近のコラム

西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website