至福の年末年始
2020-01-13 18:19:00
もう1月も中旬でありますが、みなさま、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。2020年はオリンピックイヤーということで日本中が盛り上がっておりますが、私はこれまでのチケット抽選にことごとくハズれているので、もうすでにどうでもいいという粋に入っています。でも水球男子だけはどうしても見たい。どなたかチケットを余らしている方がいらっしゃいましたら、連れて行って下さい。私をスイキューに連れてって。ああ、こんなことを言っていては今年も女子力倍増は前途多難。いや、しかし今年の西山はこれまでとは違うのです。みなさん今「おまえ、毎年言ってるだろ」とお思いでしょう?ええ、確かに。毎年言っていますからね。でも今年こそは本当に本当。2020年の西山繭子は違います。なぜなら最高の年末年始を過ごしたからです。2018年の大晦日、私はアウシュビッツにいました。その時のことはこちらでも第115回『アウシュビッツ』にも書きましたが、とても貴重な時間を過ごすことができました。そして2019年の大晦日、私はこれまた素晴らしい体験をしたのです。魂が震えるってこのことを言うのだなと思いました。大晦日、掃除を済ませて夕食の下準備をしてから私が向かったのはホテル・ニューオータニ。そこで私を待っていたのは、いつか行きたいとずっと夢見ていたエンターテイメント。コロッケのモノマネショーであります。ホテル・ニューオータニにはお正月プランというのがありましてこれがものすごいのです。館内では様々なイベントが行われており、それはそれは豪勢に楽しく年末年始を過ごすことができます。お値段ももちろんそれなりでありまして、1番お高いコースですと7泊8日で546,500円。これは1名の値段ですから家族4人で行ったら200万円以上ですね。それでもあっという間に売れてしまうのだから、金持ちっていうのは探さなくてもいるものですなあ。コロッケのショーはそのイベントの1つでありました。築20年以上の1Kに暮らす私がなぜそんなセレブなプランに?それは以前お仕事をさせていただいたニューオータニの方のご厚意で、プレス用のパスをいただいたからです。それがあれば館内で行われているイベントを楽しみ放題という夢のようなチケットなのであります。ただ、あくまでもお正月プランのお客様が優先(全て自由席)なので注意書きには「ご入場いただけない場合もございます」と書いてありました。コロッケに興味がない人など世の中にいるはずがない。これはひょっとしたら徹夜組が並んでいるかもしれないぞ。と思いましたが、そんな心配をよそにお一人様の私はすんなりと前から5列目に座ることができました。周りを見渡すと家族連れがほとんどでしたが、彼らの風情や佇まいを見ていると『本当のお金持ち』なのだろうなと思いました。ぱっと出のベンチャー系の成金はハワイに行く。昔ながらのお金持ちは老舗ホテルでのんびり過ごす。そんな感じ。そして始まったモノマネショー。キラキラと光るジャケットを身に纏ったコロッケがステージに登場したあの瞬間は、1992年東京ドームで見たマイケル・ジャクソンのデンジャラス・ツアーを彷彿とさせました。最初のネタはDAPUMPのISSA。私の目の前で、デフォルメしたおかしなかつらをかぶったコロッケが歌っている。もはや似てるとか似てないとかどうでもいい。モノモネを超越した唯一無比の世界観。素晴らしきコロッケワールド!もう声を出して笑いました。絶対に元ネタを知らないであろう子どもが五木ロボを見て大爆笑している姿を見て、鼻の奥がつんとなりました。昨年のアウシュビッツに引き続き、そこに見えたのは平和という光。アンコールで『シンデレラハネムーン』が始まった瞬間を私は死ぬまで忘れないでしょう。そして自宅で紅白歌合戦を一人楽しみ、0時5分には就寝して迎えた元旦、私は再びニューオータニへと向かいました。この日はバラエティ紀尾井亭というイベントへ。出演者はゲロゲーロでお馴染みの青空球児・好児、日本一うざいマジシャンからくりどーる、そして今チケットがまったくとれないと話題の講談師、神田松之丞であります。講談というものを私はこの日初めて聴きました。その迫力と面白さに大袈裟ではなく胸が熱くなりました。世の中にはまだまだ知らない素晴らしい世界がたくさんある。ああ、ライフイズビューティフル!これから始まる一年間が俄然楽しみになりました。そうだ、マジックにも挑戦してみよう!ゲロゲーロ!そして翌日もニューオータニへ。三日も続けて永田町に行くなんて官僚かと思いました。しかしそうまでして見たかったものがあります。それは『由紀さおり・安田祥子 新春童謡・歌曲コンサート』です。日本の心、そして日本の宝。西山姉妹が憧れを抱くこの姉妹を前に、人を感動させること、そして幸せにすることを考えました。2020年はきっとそれができる。頑張れ、私。みなさんにとっても良い一年になりますように!
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website